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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
会長、大人気なく学生相手に無双する・本戦【前編】
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【7】

 三回戦第一試合は、パラスを中途半端な形で破って来た、前回大会優勝者でもあるユニクス。

 そして、フラウの先輩でもある。


 フラウとユニクスにどんな過去があるのかは、私には知るよしもない。

 けれど、これだけは言える。

 フラウ……お前は十分強くなった。


 だから、きっと勝てるぞ、ペッタン子!

 さぁ! 無い胸を張れ!


「へぇ……アナタ程度でもここまで勝ち上がる事が出来る様になったのねぇ………ふふふ。この大会もレベルが低くなってしまったものだわ」


「それは違う。ユニクス姉さん。私はあなたの知るフラウではない。十分、あなたに勝てるだけの実力を付けた………と、思う」


「あははっ! 面白い冗談ねぇ……泣き虫フラウがまさか、私にそこまでの口を効く様になるだなんて……正直、虫酸が走るわっ!」


 完全に見下す態度のユニクス。

 本当、この二人の過去にどんな馴れ初めがあると言うんだろうね。

 後で、それとなく聞いてみるか。


 そんな事を考えつつ、試合が開始される。


「始めっ!」


 炎神アグニの盾


 開幕、フラウは炎神アグニの力を惜しみなく使う。

 もう、最初から本気モードだ。


 他方のユニクスは余裕も良い所で、その状況をゆっくりと眺めてみせた。


「へぇ……そんな事が出来る様に。つくづく思うわ。あんた程、無駄な努力の似合う子はいないとね」


 むっかぁぁぁっ!

 本気で腹立つなぁ、こいつ!

 余裕の笑みでふふふと笑いながら悪態をついていた。

 努力に無駄などない!

 例えそれが他人にはちっぽけで、意味のない物に映っても、当人にとってはとても大切で、かけがえのない物なんだ!


 飽くまで価値観の違いなんだ!

 ひたすら努力する、その人の頑張りを、無駄な努力と鼻で笑うお前の様なヤツには分からないだろう。


 人間は、頑張る事で無限の可能性を秘めていると言う事実に!


「ユニクス姉さん。努力の数だけ、人は強くなれると私は思ってる。きっとそれは間違いではないと思う!」


 そして、それを証明して見せろ!

 私は心からそう思ったね。


 思いきり気合いを言霊に乗せ、フラウは高慢女に叫び、魔導式を頭に描いてから、両手に魔力を集中させる。


 炎神アグニの刃!


 無数の刃が虚空に出現し、ユニクスに飛んで行く。

 その数……ゆうに五十はある。

 炎神アグニの祝福を受けたとは言え、この数は異常だ。

 そうとうの努力の賜物たまものであるとしか他に表現する事が出来ない。


「確かに、甘く見ていたわ。そこは謝りましょうか」


 答え、ユニクスは無数の刃を一睨み。

 それだけで、無数の刃は一つ残らず消滅した。

 

 ……やってくれる。


 多分、観客も……そして、消えた瞬間を間近で見たフラウ当人も、ユニクスが睨んだだけで消した様に見えたかも知れない。


 だが、それは違う。

 私には見えた。

 きっと、解説席で見ていたシズにも。

 その後、解説席で観客に対して、シズが簡単な説明をしていた。


『拳圧だ、う~』

 

『拳圧ですか?』


『そう、拳圧。血圧ではない。う~』

 

 誰もそんな事は言ってない。


『炎で出来た刃がユニクスに届くか届かないかまで行った所で、ユニクスは目にも止まらない超人的な早さで拳を何回も振ってる。この時に拳から凄い拳圧が出て、正確にピンポイントで刃を駆逐してた。う~!』


 ……と、まぁ。

 解説の通りだ。

 言うは簡単だが、やるとなれば恐ろしく難しい。

 

 大口を叩くだけあるな。

 まさか、人間ではないとか言うオチはないよな……?


「今度はこっちから攻撃してあげましょうか」


 ニィ……と笑う。


 ゴッッ!


 おふぅ……早い。


 一瞬でフラウの眼前にやって来た。

 それでもフラウはなんとかその早さに喰らいつく感じで炎神アグニの盾を突き出し、なんとか凌ごうとする。


 ………だが。


 ユニクスの拳は、炎神アグニの盾は簡単に貫通してしまい、勢いをほんの少し落とすだけに留める。


 そのまま、フラウは顔面をしたたかに殴られた。


 ドゴォッッッ!


 強烈だった。

 頬が歪み、顔がへこむ。

 ……こ、こいつはっ!


 私は思わず、歯を食い縛った!

 この瞬間、分かった。

 ユニクスは、あいつはフラウを大きく凌ぐ力を持っている!


 もっと、スマートに相手を痛め付ける攻撃なんかしなくても、簡単に勝てる選択肢をいくつも持っている。


 なのに……それだと言うのに!

 ヤツは、もっとも残忍な方法を選んで、フラウを攻撃した。


 最初の一撃で既にカタが付いていた。

 決着はもう……それで着いたと言っても過言ではなかった。


 しかし、ヤツは攻撃の手を緩めなかった。

 

 ユニクスゥ……きさまぁぁっ!

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