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怒れる山神【17】

『驚いた……想像以上だった』 


 そうと答えたのは山神様だ。


 のっそりと、四足歩行でメイちゃんの前までやって来た山神様は、比較的穏やかな口調を見せて来る。


『非力な人間と述べた前言は撤回してやる……お前は、十分強い』


 山神様は、メイちゃんの実力を認めた模様だ。

 この流れは……もしかしたら、話が上手に纏まる流れなんだろうか?

 少なからず、自然界の中には弱肉強食が発生する物でもあるし、それが世の摂理でもある。

 それだけに、力を見せる事は重要なプロセスでもある。

 人間の社会では、己の腕力をひけらかす事なんぞ、単なる暴れん坊のする事でしかないが、言葉よりも力が物を言う自然界の中では、やはり純粋に強い存在こそが序列の上位に位置する。


 それら諸々を相対的に加味するのであれば、今のメイちゃんは十分に認められるだけの能力があるのだろう。


『人間にしては……だがな?』


 ……あれ?


 何だか、妙に雲行きが怪しいぞ?

 先程まであった、妙に穏やかな雰囲気とは違い、一気にガラッ! っと、殺気立つ山神様がいた。

 ……いや、ちょっと?


「ねぇ、お姉ちゃん? この狼はさっきから何て話しているの?」


 そして、メイちゃんは安定で山神様の言っている意味が分からなかった。

 ああ、もう! 面倒だなっ!


「誉めてるよ。人間にしては強いな?……ってさ?」


「そうなの? それにしては……なんか、こっちに喧嘩売ってる様な殺気を感じるんだけど?」


 ああ、それな?

 私としても困ってるんだよ。


「正直、私にも良く分かってないんだよ……口振りからすると、次は私の番だって感じだ」


「……へぇ」


 私の言葉を耳にした瞬間、メイちゃんの目付きが変わった。

 

 ああ……。

 この子も、根っからの戦闘狂だった。

 昔は、人に暴力を振るうのも嫌がる、気の優しい子だったのに……どうして、こんな性格の子になってしまったんだろうね?


「面白いじゃない? 山神様……なんて呼ばれてる位だし? やっぱり凄く強いんでしょう?」


 メイちゃんは、完全に山神様への興味で一杯になっていた。


 どれだけ相手が強いのか? 

 どんな攻撃をするのか?

 それに対抗する事が出来るのか?


 ……そして、思う。


「どれだけ強いのか知らないけど……私だって、今の今までがむしゃらに強くなる為の努力をして来たからね!」


 答えたメイちゃんは自信たっぷりだ。

 努力の数だけ、自信は芽生える。

 自信の数だけ、努力が報われる。


 きっと、この堂々巡りの果てに……今のメイちゃんがこんな顔を作る様になって行ったのだろう。


 ……だけど、思った。

 

 この狼……いや、山神様の持つオーラは桁違いだ。

 山神様に戦う意思が芽生えて来たからなのか? エナジーと言うか……闘気の様な物が、私にもビンビン伝わって来る。


 この闘気が示すエナジーから予測するに、さっきのお姉ちゃんと呼ばれたいおばちゃんとは桁違いの実力があると思えてならない。


 まぁ、だからと言って、必ずしもメイちゃんが負けるとは限らないのだが。

 

 けれど……でも。


「やめて置いた方が良いんじゃないのか? 相手は、メイちゃんよりも段違いに格上だと思うし」


 私は神妙な面持ちでメイちゃんへと言うが、


「大丈夫だよ、リダお姉ちゃん。もし負けても、さ? 死なない限りはお姉ちゃんが居るから。頼れるお姉ちゃんが居てくれるから、多少の無理なんて平気平気!」


 完全に私を頼りにするメイちゃんがいた。

 アテにしてくれるのは結構だし、私に対して絶対の信頼があるからこそ、こんな台詞を口にする事が出来るのだろう。


 ……やれやれ。

 こんな可愛い事を言ってくる妹分がいたら、私も何だかんだで応じてしまうんだよなぁ……。

 我ながら、損な性格と言うか……何と言うか。

 自分でも無意識ながら、姉御肌な部分を見せてしまう。


「しょうがないヤツだな……なら、メイちゃん? 死ぬなよ? 最悪、お姉ちゃんが助けるつもりではいるけど、それだって絶対じゃない。自分の身は自分で守るぐらいの気持ちで戦ってくれよ?」


「……うん! リダお姉ちゃんありがとう! 大好きだよっ!」


 言うなり、メイちゃんは私に抱き付いて来た。

 今は、そんな事をしている場合ではないと思うんだが……けど、私も合わせて抱き返した。

 本当の妹ではないかも知れないけど……それでも私は、メイちゃんを妹同然だと思っている。

 そんな妹の気持ちを誰よりも一番分かって上げないとな……って、常々思う私がいた。


 まぁ、今回に関して言うのなら、少し甘い部分もあるんだけどねぇ……?


『そろそろ話は済んだか?』


 直後、山神様が私達に向けて声を掛けて来た。

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