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魔導師組合からの招待状【22】

 お姉さんの勘違いは……取り敢えず、置いといて。


「おい、フラウ? 試験って明日からなのか?」


 私は少し驚いた顔のまま尋ねると、


「うん、そうだよ? 実施試験の場合は試験者がこの試験会場に来てから、一次試験の準備をするらしくってさ? その準備に時間が掛かるんだってさ?」


「……って、それを知ってるなら、私達が当日に来る必要が無かっただろうがっ!」


 私は思いきり喚き声を上げる。

 試験者の本人でもあるお前が、手続きをしに試験会場へとやって来なければ行けないのは分かる。

 けれど、根本的に単なる補助役でしかない私は、手続きとか関係ないだろうし……翌朝にバアルかアシュアを呼んで、その時に空間転移して貰えば良かったじゃないのか?


「そんな事ないよ? 一人でこんな所に来たら、私……緊張で胸が潰れちゃうもの」


「そんな理由なのかよっ!?」


 はぁ……。

 まさか、フラウの奴が、ここまで小心者チックな台詞を言って来るとは思わなかった。

 不屈の雑草魂とやらは、何処に行ってしまったと言うのだろう?

 こんな事を考えていた時、ユニクスが笑みで私へと答えて来た。


「これも、フラウなりの変化であり、成長なのでしょう……昔は、誰彼に助けて貰う事なんて、甘えた人間が行う事だとバカにしていた節があります……が、今のフラウは違います。心から信頼出来る最高の親友達がいる事に誇りを持ち……かつ、友愛の尊さと仲間との絆の価値を知りました」


 結果、私達を頼りにして来た……と言う訳か。

 ……やれやれ。


「子供時代のボッチなフラウは、もうここにおりません。人を信じる心を持ち、信頼出来る仲間に頼り……頼られる事の大切さを知りました。私は思うのです……フラウも人間として成長しているのだな、と」


「……そうだな」


 一切のボケを言う事なく、至ってクソ真面目に言って来たユニクスに、私は頷く事しか出来なくなっていた。


 思えば、そうなるのかも知れない。

 誰も信用する事が出来なかったからこその一人だった。

 孤高を貫く事は、それはそれで悪いとは言わないけど……でも。


「世話の掛かる奴だ」


「そうですね……はは、私もそう思います……が」


 苦笑のまま答えた私に、ユニクスはすかさず相づちを打つ。

 そこから間もなく、満面の笑みで答えた。


「それでも、フラウは良い方向に成長していると、私は断言しますよ!」


 晴れやかな笑みを作るユニクスの表情は……普段みせる表裏うらおもてのある顔がまるで嘘の様に、晴れやかで透き通った瞳を、やんわりと細めていたのだった。



 ……と言う所で、次回に続く!

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