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魔導師組合からの招待状【4】

「ふぁっ! そうなのっ!?」


 即行でツッコミ半分の喚き声を上げた私がいた瞬間、アリンは思い切り驚いていた。

 そこまで驚くなよ……か~たま、本気で落ち込むじゃないか。

 なんとも親泣かせな子供だよ……アリンちゃんは……。


「で、でもでも! そうしたら……えぇと……フラウちゃんは、呪いのせいで胸がペタンコだけど、か~たまの場合は……」


 アリンは、とっても可哀想な人を見る目で私を見据え、何とも哀れんだ顔を……って、まてまてっ!


「か~たまは、まだ成長期だからな? 未来があるんだからな? だから、その内……きっと、多分、何となく、ボインな感じになると思う気がするんだ!」


「そうだね……そうなると良いお~」


「いやいや、アリンちゃん? その目やめて! 本当にやめて! か~たま、イタイ人じゃないから! フラウとは違うから! 向こうに行ったらお小遣いあげるから、真面目にやめてぇっ!」

 

 三歳児に気を遣わせると言う貴重な体験をした私は、朝も早くから涙で前が見えない状態になって行くのだった。



 

     ○●◎●○




 アリンの着替えと髪のセットを終わらせた所で、集合場所でもある学園の校門前までやって来た。


 部屋が隣だったと言う事もあり、ルミとルゥの二人とは途中で合流している。

 まぁ、合流と言うか、迎えに行った感じではあるんだが。


 何にせよ、四人で集合場所へとやって来た。


 約束の時間より、少しだけ早かったからと言うのもあるんだが、みんなはまだ来ていない見たいだな。

 

 校門にいたのは、空間転移魔法テレポート役としてやって来た、バアルだけだった。


「おはようございます、リダ様。リダ様が空間転移魔法をご所望なされたので、一時間前からここでお待ちしておりました」

 

 そんなに早く来る必要は何処にもないと思うんだが、どうだろう?

 バアルはにこやかな笑みを浮かべながらも、深々と頭を下げて来た。


「おはよう。別に一時間も早く来る必要はなかったぞ? 次回からは普通に時間通りで構わないから」


「有り難き御言葉……誠に恐縮至極にございます。次回からは、リダ様が定めた時刻通りにキッカリと秒単位でやって来る事を肝に命じます」


 ……いや、だから……普通で良いんだってば。


 思わず口元を引き釣らせていた私がいる中、バアルはニコニコ笑顔でアリンの頭を撫でてみせる。


「アリンお嬢もおはよう。今日も可愛いね~」


「おはようごじゃます! 学園長! ありがとうだお~!」


 友好的な笑みと態度をみせるバアルに、アリンは軽くお辞儀なんぞをしてみせた。

 きっと、自分なりの礼儀を見せていたのだろう。

 もしかしたら、少しだけ背伸びしたかっただけなのかも知れないが……やっぱり舌足らずな部分も合間って、とってもほっこり来てしまう光景だった。


「おはようございます学園長。本日はよろしくお願いいたします」


 答えて、礼儀正しいお辞儀を、ロイヤルな笑みとセットで向けていたのはルミだ。

 山の方に向かうと言う関係もあり、今は軽装ながらも登山仕様の格好をしていたルミだが、やっぱりお姫様は一味違う。

 旅人の衣装を身に着けていても、無駄に上品過ぎて……少しやるせない気持ちになってしまう。


 これも女子力の一つと言うべきか?

 格好がハイキングに行く様な格好でも、淑女然とした姿には羨ましさを抱いてしまう。


 ……ふ。

 まぁ、所詮……庶民然とした私には、土台無理な話ではあるんだがな。


「ごきげんよう、バアル学園長殿。今日も良い天気ですね」


 そこからルミの隣にいたルゥも挨拶をして来た。

 ごきげんようをしれっと日常で言う事が出来るルゥ姫の態度にも驚かされる。

 ……やっぱり住む世界が違うんだよなぁ。


 どうして、こんな二人が私の部屋の隣で寝食を共にしているのだろうか? と、悩む必要のない悩みで一時間は暇が潰す事が出来そうだ。


「おはようございます。ルミ姫、ルゥ姫。リダ様がいらっしゃるので、然程の危険すら生じる事がないと思われますが……旅行中、山間部のモンスターと遭遇する事も御有りでしょうから、お気をつけ下さいませ」


「はい! 御気遣い感謝致します」


 穏和に語るバアルに、ルミは淑やかなロイヤルスマイルで頷きを返していた。


 本人は特に意図してやっている事ではないんだろうけど、やっぱり無駄に気品があり過ぎて……何だか見えない壁でも出来た様な気持ちにさせられるよ……全く。


「学園長殿は、こちらの方に来る予定はございますか?」


 なんとも場違いが気持ちをいたずらに抱いてしまう私がいる中、ルゥがそれとなくバアルへと尋ねて見せた。


「可能であるのなら、私もリダ様のお供をしたい所ではあるのですが……何分、仕事が溜まっておりましてねぇ……つきましては、アシュアに仕事を押し付け……もとい、仕事の相談をしてから、そちらに馳せ参じようかと思っております」


 いや、来なくて良いよ。

 ニコニコ笑顔で、爽やかに最低な台詞を出していたバアルに、私は胸中でのみツッコミを入れていた。

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