表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
382/1397

魔導師組合からの招待状【2】

 最初は、新しい芸風に磨きを掛けているだけかと思っていたのだが……どうやら違う模様だ。


 話によれば、フラウの上位魔導師アークウィザードの組合試験に、相棒役として一緒に来て欲しいと言う事だった。


 この話を耳にして、ようやく合点が行く私がいた。


 実は冒険者組合並びに冒険者協会でも似た様なスタイルを取っているのだが、魔導師達が集まって運営している魔導師組合では、一定の試験をする事で、所属している魔導師のランクを上げるルールを適用している。


 ただ、一定の成果や実績を積まないと昇格試験を受ける事が出来ない冒険者協会の規則とは違い、毎年行われている定期テストに参加し、合格する事が出来れば、その場で地位が昇格する。


 極端な話、見習い魔導師であっても、上位魔導師の試験に合格さえすれば、一足飛びで上位魔導師になる事が可能……と言う訳だ。


 ただ、上位魔導師になる為の資格は十六歳にならないと発生しない。

 一定の思慮分別と言う物をわきまえる事が可能になったとされる年齢が、魔導師協会では十六歳以上と規定されている為、この様な年齢制限が設けられている。


 それまでは、如何に能力が高くても魔導師までしかなる事が出来ず……更に魔導師の資格を持っていても、十五歳までは『魔法少女』と名乗らなければならない。


 フラウのヤツが、私と最初に会った時『魔法少女フラウ・フーリを知らないなんて!』と、おかしな台詞をほざいていたシーンがあったりしたと思うが、あの時点では十五歳であった為、魔法少女を名乗っていたのだ。


 余談だが、あの当時は変身もしていたが……密かに、あれはフラウの趣味だ。

 きっと、魔法少女と言う響きがフラウに珍妙な変身願望を植え付けてしまったのだろう。

 思えば……地味に可哀想な性格は、最初からフラウにはあったのかも知れない。


 ……妙に脱線してしまったな。

 

 魔導師の話に戻すと……どうやら、フラウは上位魔導師の試験に合格したらしい。


 但し、学科のみだ。

 トウキの魔導師組合ウィザーズギルドにある、上位魔導師の試験会場におもむき、学科試験を受けた所、見事に合格を果たしたそうだ。


 この話を耳にし、私は思わずポカンとなってしまった。


 魔導師組合の試験は、確かに一定の年齢制限こそあれ、組合に加入してさえいれば誰でも試験を受ける事は可能だが……試験を突破するとなれば、全然話が変わって来る。


 比喩的に別の物で言うのなら、東京大学の試験を受ける事は、高校を卒業している者であれば誰でも可能ではあるが、合格する事は難しい……と言っているのと同じだ。


 私が知る限り、カントー帝国だけでも毎年数千人の受験者がいるが、合格するのは百人にも満たないと聞く。

 それだけ上位魔導師への道のりは険しく……そして狭き門を潜り抜けなければならない。


 故に、上位魔導師の資格を持つだけで、他の組合から引っ張りだこになる。

 もちろん、相応の実力を持っていなければ取得する事の出来ない肩書きでもあるので、周囲から羨望を受けると言うのは妥当でもある。


 ……そうか。


 胸のないペッタン子でしかないと思っていたんだが……違ったんだな。


 学生の身空で、早くも上位魔導師の資格にチャレンジしていたのも驚きだが、筆記だけとは言えしっかり試験をパスしていた事実にも驚きを隠せない。


 ここは是が非でも上位魔導師になって欲しい所だ。

 この学園が出来て日も浅いからな? しっかりと優秀な人材が学園から排出されていると言う、新しい布石にして欲しいと願わずには居られない。


 思った私は、フラウの申し出に快く頷いてみせた。


 話によると、実地試験はトウキの離れで行われるらしい。

 カントー帝国の国境まで行くらしく、少し先まで行けばマナシ国のエリアになるんだとか。


 私が知る限り、トウキではあるんだけど……その……え? ここもトウキなの? って感じの所だった記憶がある。


 ……いや、バカにしている訳ではないぞ? ただ、なんて言うか……とっても空気が美味しい場所だったと言う記憶が、大昔にあってだな?


 ともすれば、激しい魔法を使った試験がある為、その様な山里の地域に足を運ぶ事になるのかも知れないな。


 この様な経緯があり、急遽私はフラウと一緒にマナシの近くまで行く事に。


 最初、乗り合い馬車の席を予約しないと行けないと考えていたのだが、その場所はバアルが知っているらしく、空間転移魔法テレポートで行く事が出来るとの事。


 聞く所によると、トウキにある魔導師組合の組合長と仲良くなっていた関係で、一度だけ試験会場を見に行った事があったのだと言う。

 

 よって『リダ様の下着一枚と引き換えに、目的地まで空間転移して差し上げましょう』と言う事になった。


 もちろん、爆破した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ