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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
会長、大人気なく学生相手に無双する・本戦【前編】
38/1397

【1】

 快晴とも言える青空のど真ん中に少し大きめの花火が上がる。

 朝の花火だけに、それはただの大砲の空砲じみた物になってしまっているが、要はお祭りの合図を周囲に知らせる事が出来れば良いので、音さえ辺りに響けばそれで良いのだ。


 第6回・冒険者アカデミー学園祭の開幕である。


 この学園が開設されて以降、毎年行われてる年中行事だ。

 前に軽く言ったかも知れないが、この日は校内が一般解放されており、学生やその関係者以外の人間も多数、学園内にやって来る。


 校内でも、こう言った一般の人達に楽しんで貰う為、様々な催し物やクラス別・クラブ別等での出し物などもあちこちで行われていたのだ。


 そして何より、この学園祭で最も注目されているだろうイベント。

 冒アカ・バトルGPも、本日開催される。

 クラス予選から始まり、約一ヶ月程度の予選を勝ち抜いた強者が、今日と言う本戦を遂に向かえるわけだ。


 学園祭自体も、国内の様々な人が多数来客する大きなイベントでもあるのだが、冒アカ・バトルGPは更に世界の各地にある闘技場で、高度な魔術を駆使したライブ中継される為、国内外問わず、熱い視線がこの本戦に注がれる事となる。


「うわぁ……こんなに人が集まるんだねぇ」


 辺りを軽く見渡していたルミが、少し驚いた目をして、隣を歩く私に答えた。

 本大会の一学年第三代表として本戦出場を果たしていたルミと、同学年第一代表として出場予定だった私は、これから自分達が試合を行うであろう、本戦用の学内闘技場に足を運んでいた。

 

 学園内の闘技場と答えたが、その規模はかなり本格的な造りになっていた。

 動員観客数も普通に二~三万人は入る。

 もう、普通に国営のスタジアムと遜色はない。


 そしてこの日は、周知でもメジャーな大会でもある。

 陸続きだからと言うのもあるが、他国からの観客だってそこまで珍しくはない程だ。


 それだけに、まだ本戦の開会式すら始まっていないと言うに、もう闘技場は熱気に包まれている。

 まぁ、学園のお祭りも予ている大会でもあるからな。

 なんだかんだで、みんなお祭りムードなのだろう。

 それはそれで良いのかも知れない。 


「う?」


 ……う?

 なんだろう? すごーく聞き馴染みのある声がした。


「どうしたのリダ?」


「いや、なんか……知ってるヤツがいた様な……?」


 思って回りを見渡した。

 ……見渡す必要がなかった。

 気付いた時には、正面にいたからだ。


「う~? もしかしてリダ?」


 頭の両端にお団子を作った東方美人。

 一見すると東の大陸からやって来た人間にも見えるが、実はその更に東にある、極東の島国からやって来た人間でもある。


 名前は、シズ・ソレイユ・サンスタンド

 

 今あるこの学園から北へ三百キロ程度行った先にある、この大陸二番目に大きな国、クシマ国の冒険者協会・会長だ。

 私が会長ラスボスなら、シズは会長エリアボスと言った所か?


 同じ会長なので分かりにくいが、私は世界の総代表で、シズは国の代表だった。


 特徴として、いつも『う~う~』言ってる不思議な美人だ。

 見た目は二十代中頃にも見えるが、実は成人過ぎてる二児の母。

 実年齢は……まぁ、そう言う年齢だ。


「なんでシズがここにいるんだ?」


「う? 私は毎年、このGPには呼ばれてるから。むしろリダがここにいる事の方が不自然」


「そうなのか?」


「ほら、これ」


 シズは一枚の紙を私と隣のルミに見せる。

 それは、この学園の学園祭を宣伝する為に作られたポスターだった。


 そこには、第6回冒険者アカデミー学園祭と大きく書かれているのだが、その一つ下の所に、やや小さくではあるが、冒アカGPも書いてある。

 シズはその更に下の部分を差していた。


 そこには、


「剣聖杯?」


 と書かれてあり、私は少し不思議そうな顔になる。

 なんだろうこれは? と少し頭を捻らせていた所で、シズは私に言った。

 

「この大会は、私が最初に協会内でやらないかと提案した。それが通って、今がある」


 あ~。

 言われるとそうだったかも。

 しかも、その提案をシズが持ってきた会議に私もいたよ、そう言えば!


「私からすれば、なぜそれをリダが知らないのか謎だ」


 すまん、忘れてた。


「なるほど、だから剣聖杯か」


 私は納得加減の声音を返した。

 シズの別名は『剣聖』だ。

 この世界では最強の剣豪を意味する剣聖と言う称号を持つシズは、当然の事ながら剣士最強の腕前でもある。


 冒険者ランクも数少ないLランクの一人でもあり、剣だけで戦うと言う条件なら、私も勝てる自信がない。

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