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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第四編・編末オマケ短編
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リダさん親子の平凡な一日【18】

 若干の強引さはあった物の、訓練と言う名の戦いが開始された。


「……こんなガキ相手に本気出すのは悪いが……」


 ハイティーンの男は言うなり、槍を大きく振りかぶってからアリン目掛けて突き刺して来た。

 それでも、やっぱり手を抜いているのが分かる。


 ……まぁな?

 相手は三歳児だし。

 本気でやったら人格を疑われるレベルだとは思うよ。


 しかし、私は言いたい。


「お?」


 流石にそれは、バカにし過ぎだ。


 アリンは片手でがしっ! っと槍を掴んだ。


「……はぁ?」


 ハイティーンの男が愕然となる。

 彼からすれば、三歳児にしか見えないだろういたいけな幼女が、自分の振るった槍を片手で簡単に掴んでしまったのだから。


 しかも、離れない。


「な、なんだって言うんだよ……っ!?」


 ここに来て、始めてアリンの実力を悟った模様だ。

 同時思ったのだろう。

 見た目だけで相手の実力を判断してはいけない……と。


「おっ!」


 直後、槍を掴んでいない方の手を、ハイティーンの男に向けたアリンは、


 大爆破魔法ビッグボム


 ドォォォォンッッ!


 上位の爆破魔法を放って見せる。

 

 魔法の派生で行くと二番目の魔法だ。

 爆破魔法は基本的に四段階あるんだが……分かりやすく箇条書きにすると、こんな感じかな。


 爆破魔法ボム

 大爆破魔法ビックボム

 特大爆破魔法グレートボム

 超爆破魔法スーパボム


 順番は下位から順。

 この他に、他属性との混合派生などもあるのだが……派生の一覧を全部述べたら陽が暮れるので割愛。

 一例だけ述べると、特大爆破魔法グレートボムとの炎混合で炎熱爆破魔法フレアボムへと派生し、最後が超炎熱爆発魔法フレインダムドとなる。

 

 私が良く使うフレインダムドは、炎属性混合爆破魔法の最終形態と言う訳だな。


 アリンも、私の娘だけに爆破魔法が得意の模様だ。

 伊達にセカンドネームが『ドーン』テンではないのだ。


 ……下らない駄洒落もそこそこに。


 アリンの放った大爆破魔法によって、ハイティーンの男はアッサリ沈んだ。


 それは、特別学科チームに大きな衝撃を与える事になってしまう。


 ……しかし。

 彼または彼女達にとっての衝撃は、所詮ただの序章に過ぎなかった。


 ここから先は、完全なるアリンの独壇場でもあった。

 

 荒ぶる三歳児は、特別学科がナンボのもんじゃい! と言わんばかりの快進撃を続けて行く。


 次鋒戦は、精霊術を使う相手だった。

 多分、様々な精霊と契約を交わし、精霊語で精霊達へと呼び掛ける事で発動する数多の術を会得していたのかも知れないが、


『か~たまが、みんなに美味しいご飯をくれると思うから、お友逹になろうお~?』


 これこれアリンちゃんや……あんた、自分の母親をダシにしちゃだめでしょうよ……。


 いつの間に覚えたのか? 発音もネイティブレベルの洗練された発音で、しっかりと精霊達と会話するアリンがいた。

 普通の三歳児なら、母国語だってまともに喋る事が出来ない筈だと言うのに……もう精霊語をマスターしていたアリンは、対戦相手が召喚して来た精霊と交渉半分の会話をしていた。


 果たして。


『お前のかーちゃんは本当にウマイ飯を作るんだな? 本当だろうな? 100マール賭けれるよな?』


 精霊はアリンの説得に心を寄せていた。

 どうでも良いけど、100マールって……安過ぎるだろ?

 ちなみに、円換算で100円だ。


『うん! 100マールは賭けれないけと、嘘じゃない!』


 100マールすら賭けれないのかい!

 か~たま泣くよっ!

 わんわん泣くからなっ!

 自慢にならないけど、100マール以上の価値があるお弁当を作る事は出来る!


『よし、良いだろう! それならお前の味方になってやる!』 


 しかし、精霊はしっかり買収されていた。

 ひたすらレベルの低い会話だっただけに、私は何とも複雑な気分にならざる得なかった。


 そこからは酷い物で……。


「え? えぇぇっ!」


 対戦相手も、よもや自分で召喚した精霊がお弁当で買収されてしまうと言う、何とも非情な結末が待っているとは夢にも思わなかったらしく……。


『許せ……コユズ……俺は弁当が気になるんだ』


 ……と、まぁ。

 術者よりも己の食欲に忠実な精霊によって氷漬けにされていた。


 ああ、氷の精霊だったのな?

 まぁ、何にせよ……地味に不本意ではあるが、この精霊には私お手製の弁当を作ってやらないと行けなくなったな。


 ……ああ、そうか。

 そう言えば、明日はみんなで弁当を持ち合って食べる約束とかしてたんだった。

 だから、アリンはあんな事を言ってたのかも知れない。


「か~たま、勝ったぞぉぉっ!」

 

 勝利宣言を受けていたアリンは、そこから白線の外側で観戦していた私に声を放っていた。


「アリン、どうでも良いけど、か~たまをダシに使うのはやめろっ! そんな事ばっかするなら、今晩の夕飯はないからなっ!」


「ふぁっ!? つ、次はやらないお~っ!」


 アリンは割りと本気で焦っていた。

 どうやら、晩飯抜きはアリンにとってかなりのプレッシャーだった模様である。

 こんな所は、妙に三歳児だった。


 その後、アリンは友達になったのだろう精霊と軽く会話をしてから、中堅戦を向かえる。

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