リダさん親子の平凡な一日【13】
これは、術者(トラップを作った人)の魔力と、トラップを受ける人間(ここでは私になる)とのレベル差が大きく開いている時のみ適用可能な反則技だ。
実際問題……上位魔導師ともなれば、その魔導力の実力差で対処の方法が大きく異なる。
魔導力の高低=優位性の高低なのは、魔法を扱う存在にとって常識でもある。
よって、純粋な魔力が高くなれば、こんなパズル染みた魔導式の読解などするまでもなく、無効化させる魔法を強制的に使用する事も可能だ。
……けど、ここをそのままアリンに教える訳には行かない。
何より、今は基礎的な部分を習っている段階だからな?
多少面倒であっても、しっかりとトラップを打ち破ってほしい。
魔導力に頼るのではなく、ロジックを看破し……かつ、トラップの仕組みを理解して解除して欲しいのだ。
今は、先生が作った弱い魔力のトラップだから、魔導力でも簡単に打ち破れるかも知れないが……その限りではない局面に立たされた時……ここで学習したトラップの仕組みが役に立つ時が来る。
きっと、それで自分の命を救う時が来る。
だから、是非とも頑張って欲しいと切実に祈る。
……そう。
切実に私は祈った。
現状、アリンは冷静になったとは言え、まだまだ完全にトラップを打ち破っている様には見えない。
顔を見れば分かる。
何かのフェイクがある模様で、どっちが本物でどっちが偽物なのかで、未だ迷っているのが分かる。
「アリン? 自分を信じろ。魔導力はお前を裏切らない」
「……お? 魔導力……お?」
にこやかに答えた私の言葉を耳にした時、アリンの中で何かが閃いた様に見えた。
「そうか……これだ……これだお~」
呟き、アリンは頭の中で魔導式を……ん?
……な、なんだぁ……?
~コレクト・ウェイ~ 正しい道!
アリンは、謎の魔法を発動させた。
こ……この魔法は……みかんが使う様な魔法だっ!
魔導式を使うと言う所までは同じなのだが……私も知らない特殊配列で作られた超魔法!
な……なんで、アリンはこんな……教えてもない魔導式を……?
思わず唖然となってしまう私がいる中で、
ヒュインッッ!
魔法陣の一部が大きく光った。
多分……いや、間違いない。
それが、正答なのだ。
今回の魔法陣には、幾重ものダミーの魔導式やフェイクの文面等々が複雑に絡まっている為、どれが真の魔導式で、どこに本当の意味を持つ命令文が隠されているのかで悩んでしまう状況にあった。
余談だが、模範解答はフラウが行っている。
自分の魔力を魔法陣の文字にすこーしだけ当てる。
当て過ぎると、それでトラップが発動してしまうかも知れないから、その匙加減は重要だ。
慎重に慎重を重ねる形で、微弱な魔力を魔法陣の文字に当てる。
すると、単なるフェイクの文字は魔導式ではない場合だと、何の反応を示さない。
逆に、なんらかの魔導式であった場合は、魔力に対して反応を起こす。
その反応は、描かれた魔導式によって様々ではあるのだが『なんらかの反応をする』と言う事が重要だ。
これによって、魔導式であるのかただのフェイク文であるのかが分かるからだ。
これで、フェイク文との違いが分かれば、今度はフェイクの魔導式を調べる。
魔導式を見ると、爆発の魔法が作動する事が分かる。
すると、他に書かれている魔導式……例えば、良く見ると何の発動にもならない様な魔導式などは、単なるフェイクだと分かる。
当然、ここで除外する。
……と、この調子でフェイクを除外して行くと、真の魔導式が何処にあるのか分かるのだ。
フラウは、クソ真面目な事にしっかりと一つ一つ解いて行って、正答を探し当てた。
以後は、正答な魔導式に終了しろと命じれば終わりだ。
これが、今回の模範解答と言えるだろう。
アリンにも、この解答を求めていたのだが……まさかの想定外な魔法によって、強引に正答を引き寄せてしまった。
しかも、その魔法はみかん等が良く使う……全く意味不明な魔導式を併用する魔法だ!
バシュウゥゥゥンッ!
魔法陣トラップは綺麗に解除された。
もう、笑ってしまう位にアッサリ終了されていた。
「……あはは」
誉めて良いのか……注意すべきかで、悩んでしまう様な光景だった。
取り敢えず、今回の所はこれで良いのかな……って事にして置こう。
「出来た、出来たお~!」
アリンが、瞳一杯にキラキラと輝かせて喜んでいる姿を見てしまうと、否定的な感情なんか、私の胸中から消え失せてしまう。
だけど、やっぱり気になる。
「なぁ……アリン?」
「お?」
「さっきの魔法なんだけどさ? どんな魔導式を使ったんだ?」
「お? こんなのだお~」
言うなり、アリンは手からフォログラムの様な物を作り出した。




