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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第四編・編末オマケ短編
363/1397

リダさん親子の平凡な一日【9】




    ○●◎●○




 三時間目と四時間目は専門学科による実習の時間だ。

 この時間だけ、それぞれ専行した学科……つまり、剣士と魔導に別れて授業が行われる。

 

 場所も校庭から体育館へと移動されていた。

 内容的に言うのなら、特にグラウンドでも構わないレベルではあるのだが、学園にいる生徒は私達だけではない。

 つまり、グラウンドの方は別のクラスが使う関係上、私達は体育館の方へと移動しなければならなかった。


 少し前に述べていたかも知れないが、私は魔導を専行している。

 フラウやルミ……ルゥまでもが、揃いも揃って魔導専行だった為、私が剣士を専行してしまうと、自動的にボッチが確定してしまうからだ。

 リダさんは寂しがり屋なので、当然ながら専行は魔導一択と言う事になってしまう。


 ここらの関係もあり、アリンも魔導を専行していた。

 つまり、私の周囲はみんな魔導を専行した事になる。


 この結果、お馴染みの面子でグループを作り、そのまま実習に参加する形を取るのが、ここ最近のスタイルになりつつあった。


 実習の内容は、トラップの解除だ。

 当然、魔導専行の実習なので、ただのトラップではない。

 魔導によって発動されたトラップだ。


 余談だが、普通のトラップも別の時間で実習に近い形で授業を受ける。

 トラップは、形状の違いこそあれ、引っ掛かれば命の危機に直面してしまう非常にシビアな代物なので、学園でもより時間を割いて生徒達に教えているのである。

 ここは、より実践的な内容である為、私としては素晴らしい実習であると、賛辞を送りたい所だ。


「お? お? おお?」

 

 困った顔で、頭の上にハテナを浮かべ、顔を傾けながらも眼前にある代物をガン見するアリン。

 アリン的に言うのなら、これがトラップと言われても、今一つ理解する事が出来なかったのかも知れない。


 それと言うのも、ただ普通に見るだけだと、拳大程度の石にしか見えないからだ。

 それが床にどっかと置かれているだけ。

 

 これの何処がトラップだと言うのか?

 そうと、アリンは言いたそうな顔をしていた。


 実際問題、トラップは相手に見えない形で仕掛けられているのが普通だし……仮にトラップが見えたとしても、それがトラップであると直ぐに悟られない様な造りにしているのが普通だった。


 よって、一見すると単なる石に見えてしまうのも、これがトラップである事をすぐに悟られない様にする為でもある。

 三歳児からするのなら、もはやこれが理解出来る代物ではない事は……言うまでもない事だろう。


「か~たま? これがトラップ? 普通の石ころに見えるお~?」

 

 言うなり、アリンは床に置かれた石を片手でヒョイと……って、おばかっ!


 ブゥゥゥンッ!


 刹那、アリンの手元にあった石が何らかの魔法を発動させた。


「うわわっっ!」


 一瞬後、アリンはたまらず石を投げた。

 ポイッと投げ捨てる形で飛んで行った石は、近くいた男子生徒に当たった。


 ああ、あれはさっき空気を読んで抜けた子だ。

 名前は……えぇと? リューア君だっけ?


「うぐわぁっっっ!」


 石がリューア君の背中辺りにコツンと当たると、その瞬間に断末魔チックな悲鳴を上げて倒れた。

 ……そう言う魔法が発動する石なんだな。


「びっくりしたお! 触ったら、ビリビリィィィッ! って痺れたおおおおっっ!」

 

 泣きべそになっていたアリンは、酷く痺れたのか? 瞳から涙を滲ませた状態で私の胸元に引っ付いていた。

 リューア君の姿を見る限りだと、元気に泣いていられるアリンは凄いって言う事だけは分かった。


 そんな中、実習を担当する先生が、注意を促す形で周囲の皆へと声を出して来た。


「この石は、触ったり跨いだりすると、紫電魔法ブラストが発動する仕組みになっている。注意してこの紫電魔法の発動を解除する様に!」


 おせーよっっ!

 もう、リューア君のライフはゼロよっ!


 説明を受けるより先に、紫電魔法ブラストによって完全にスパーキング状態になっていたリューア君を尻目に、私は実習の先生へとツッコミ半分の叫びを、胸中でのみ叫んでいた。

 周囲を見る限り、先生へと野次を飛ばしたい人物は、私だけではないと言う事は分かった。

 それだけ、地味に危険なトラップを用意して来たからだ。


 この学園は、実践に近い実習を行う。

 よって、適当にやると実習であっても命の危険に関わる大惨事に発展する事だってあるのだ。

 

 尤も……それだけ本格的な実習を行う為、卒業後は他の新人よりも優秀だったりもするのだが。

 一応、トラップに引っ掛かって死なれない様に、近くには救護スタッフもいたりする。

 各言うリューア君は、その第一号として、早くも担架に乗って運ばれていた。

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