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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第四編・編末オマケ短編
362/1397

リダさん親子の平凡な一日【8】

 ズバリ言おうっ!

 メッッッッチャ痛いっ!


「ぶべらぁっ!」


 そして、メチャクチャ格好悪いっ!

 しかも、なんか雑魚キャラが主人公に殴られた時に出す声とか、私の口から出てた!


 あああああっ!

 何? 何なのっ!? こんなの、私の立ち位置じゃないしっ!


 ハッキリ言って、絵面的には最悪だったが、得点を奪われる決定的なシーンから回避する事は出来た。


「か~たま! 偉いっ!」


 身を呈してゴールを守った私を見て、アリンが最高の笑顔で私を称えた。

 ……すごーく恥ずかしい気持ちで一杯だったが、この一言で私の心はかなり救われた。


 私の顔面ブロックのお陰でボールは逆方向に飛んで行き……ルーズボールとなった。

 これを、味方のディフェンダーが取り、カットする形でエリア外へと蹴って見せる。


 失点の危機が一時的に去った。


 ……とは言え、相手のスローインから始まる。

 まだまだ余談は許されない。


 ……と、なる筈なのだが。

 私の視点からするのなら、もうこれでフラウ達が追加点を取る事は不可能になったと思っている。

 何でかって?

 そりゃ……私は会長ラスボス様だからだ!


 なんか、この表現を使ったのは久しぶりな気もするが……つまりは、そう言う事だと述べて置こう。


 スローインで始まるボールを、私は超高速でカットして見せる。


 本来なら、間違いなく味方へとスローイン出来るだろう、数メートル程度の距離を飛ぶボールを、アッサリ強奪する勢いで胸トラップし、足元に置く。


 ……そして。


「私は、お前らの遊びに『全部従う気はない』からな?」

 

 そうと宣言した私は、


 ドンッッッッ!


 そこからシュート。


 センターラインから見ても自軍寄りのエリアではあったし……何なら、自分の陣地にあるゴールの方が近い位置にあったレベルであったが、それでもシュートを放つ。


「んなっっ!」


 フラウは愕然とした顔になった。

 

 それと言うのも……だ?


 次の瞬間には、フラウ達にとってのゴールネットが、勢い良く揺れていたからだ。

 まるでレーザ光線みたいな勢いで蹴られたボールは、蹴られたコンマ一秒後には、ゴールネットに突き刺さっていた。


 キュルキュルッッ!

 突き刺さってたボールは、未だに超高速のスピンが掛かった状態で、ネットを揺さぶっていた。


「か、か、か~たま! すご過ぎだお~っっっ!」


 衝撃的なゴールを見たアリンは、全力で私の前までやって来ては、ぴょんっ! と飛んで私の胸元に飛び込んで来た。


「だから、リダとサッカーとかしたくなかったのになぁ……」


 フラウは苦い顔になってぼやく。

 きっと、大なり小なりの予測はしていたに違いないのだ。


 そして、これこそが、他の学校の生徒と『スポーツで競わない』理由になっている。

 段違いに基礎能力が高いと言うのも去る事ながら、色々な魔法とかまで山の様に使えるのだから。


 つまり、一般的な反則に近い様な事が、ここの連中からするのなら当然になってしまうのだった。


 その後、私に回ったボールは三秒以内にシュートされてしまう為、


「か~たま~? ちょっとは手加減すると言うのを覚えた方が良いお~? それが大人の対応だと思うお~?」


 しまいにはアリンにまで呆れられてしまい、


「流石は学園魔王……絶対に逆らってはいけない相手ナンバーワンだけある……」


「そうだな……魔王リダは、やっぱり格が違う……」


 味方にまで変な目で見られる羽目になった。

 てか学園魔王って何だよ……?

 自分でも知らない内に付いていたあだ名に、私は胸中で引いていた。


 他方、その頃。


「リダ……こんな事ばっかするから、他のクラスメートから引かれるんだよ……」


 負け惜しみ染みた声音を飛ばすフラウが、悔し紛れに私へと悪態を吐いていた。

 ただ、大人気ない事だけは認める。

 ゲーム状態は、既に十七点差を付けている。

 もちろん、私側の圧倒的な大差だ。


 私は見事なばかりのゲームクラッシャーと化してしまった訳だ。

 

 もはや、点差も点差なので、敵はもちろん味方もやる気がない。

 走る気も失せたのか? 普通に歩いている。

 ボールとかも、アリンが頑張ってドリブルしているけど、フラウはもちろん……近くにいた自軍も敵軍も、てきとーにボールを追っていた。


「…………」

 

 私は無言になった。

 

「やっぱり、次からは端っ子で静かにしていよう……」


 私は意味もなく、次回の体育こそおとなしくする事を、心に深く誓うのだった。

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