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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第四編・編末オマケ短編
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リダさん親子の平凡な一日【4】

 つまり、根本的な部分は普通の学校と、そこまでの差異はないのだ。


 特に二学年になると、剣士を専行するか魔導を専行するかのどちらかを個人で選択する事が可能になる。

 選択科目と言う形で区切られているのだが、この時間が結構な時間を割り当てられている為、ここで魔導を専行するとかなり座学の時間が多くなる。


 三年になると、魔導実験等の教科が追加される為、完全な座学ではない傾向にあるのだが、二学年の内はノートとペンがお友達と言う基礎魔導・2と応用魔導・1から始まる。

 三年になると応用魔導・2を習う。


 尚、基礎魔導・1は、一学年の時に全員が習う。

 この関係上、学園の卒業生は、剣士であっても基礎的な治癒魔法や補助魔法、個人差はあるが攻撃魔法等を習得している者が多いのだ。

 

 余談だが、私は魔導を専行している。

 

 これは、周囲に剣士を専行している友達がいないからだ。

 別にどっちでも良かったからと言うのもある。


 結果、私の睡眠時間がイタズラに増幅している傾向にあるのだが……席順が特等席になってしまった為、余り快眠は約束されていなかった。


 はてさて。

 

 余談もそこそこに、一時間目の授業だ。


 一時間目は基礎魔導・2だな。


 基礎中の基礎をようやく抜け出し、若干専門的な物を教える授業だ。


 しかし……私の視点からするのなら、足し算をようやく卒業し、引き算へとレベルアップした程度に過ぎず……眠気と子守唄がコミコミセットでプライスしちゃってる様な授業でもある。

 こんなのを聞いて、今の私に何をしろと……?


 そう思う私がいたのだが、最近の私はこれも悪くはないと思う傾向にある。

 隣のアリンを見ていられる事がそれだ。


 元来であるのなら、高等部……つまり十代後半程度の年齢になって、ようやく理解するのが容易になる学習法で授業をやっていると言うのに、アリンは全く問題なくついて行っている。


 三歳児のクセして、いっちょまえな事にもペンを走らせている姿は、れっきとした学生のソレだ。

 

 文字こそ、まだまだ下手くそと言うか……ミミズみたいな文字を描いているが、ちゃんと黒板の内容を理解して書いているのだから、私も思わず目を見張る物がある。


 ……けど……うぅむ……。


「アリン、その式はもっと簡単なのがあるぞ? ここを、こぅ……」


「うにゅ?」


「リダさんっ! 私の授業がそんなに気にいらないのですかっ!」


 魔導基礎だからなのかも知れないが、やたら遠回しな式で、回りくどく式を形成している物だから……ついつい、上位の公式を教えてしまう私がいる。

 そして、特等席であるが故に、即行そっこうで先生に見付かってしまうと言う悲劇がっ!?


 ……あ、はい。

 いや、存じてはおりますとも。

 基礎は大事ですよ、基礎は。


「すいません……」


 仕方ないから、私は謝って見せるのだが、


「おおお~っ! か~たま、天才っ! これ凄いおっ! 今までの式より五倍は早く魔導式が作れるお~!」


 軽く教えてやっただけだと言うのに、もう私が教えてやった部分を理解したのか? アリンはキラキラおめめで私へと叫んで見せた。

 そこはそれ、三歳児。


 勉学に励む、他の生徒への配慮を忘れてしまう事だってある。


「……何を教えたのですか?」


 他方、先生も気になったのか?

 そこで、アリンのノートを軽く見た。


 果たして、先生は言った。


「ごめんなさい……文字が……その、読めません」


 まぁ、三歳児クォリティーですから。


「えぇと……ですねぇ」


 仕方ないので、私が自分のノートにペンを走らせる形で、先生へと説明してみせる。


「…………」


 先生、絶句。

 しばらく、私が書いたノートを凝視したまま、フリーズ状態になって動かなくなってしまった。


「か~たま? もっとおせーて? 先生の授業は授業でアリンは楽しいけど……何か、簡単と言うか単純なんだお~」


 直後、三歳児の言葉から爆弾が飛んで来た。

 この言葉に、先生の自尊心染みた物が、ピシィッ! って感じで亀裂が入った様に見えた。


「そうな? 後で家に帰った時にでも教える。でもな、アリン? どんな物でも基本は大事でな? 基礎がしっかり出来てないと、どんなに応用が出来ていてもダメな部分もあるんだぞ?」


 私はアリンの頭を撫でながら答えた。

 現状だと、余りに先生が不憫で仕方ないので、先生の名誉を回復させる為に言った台詞でもあるのだが……それとは別に、額面通りの意味合いも含まれている。

 つまり、それだけ基礎ってのは大切なのだ。

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