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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第四編・最終章
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事件の終わり【2】

 ……けれど、そこで私は気になった。


 何と言っても、邪神の肉体は完全にバラバラとなっており、単なる肉片が無造作に散らばっているだけだったのだ。

 この肉片を繋ぎ合わせていたコア……つまり、水晶が破壊されてしまった今、この肉片が元に戻るとは思えない。


 仮に戻ったとしても、だ?

 それは、単なる邪神の復活に過ぎないのではないのだろうか?


「なぁ、みかん……この魔法……本当に大丈夫なのか?」

 

「おふぅ……疑り深いリダを安心させる為に、この魔法の趣旨と言うか、ポイントを言うです。この魔法は『破壊』と『創造』なのです。つまり、破壊されて粉々になってしまう事で始まる魔法なのです……破壊から創造へ……転生へのプロセスは、既に始まっているのですよ~?」


「そうなのか?」


 みかんに言われて、私は周囲を見渡す。

 肉片が動く様子はない。

 本当に始まっているのだろうか?


 イリも、少し怪しげな目で周囲を見ていた。

 きっと、私と同じ様な事を考えているに違いない。


 そんな……私とイリの二人に生まれていたろう懐疑心が、胸元辺りで渦を巻いていた時だった。


 スゥゥ……と、肉片が消えた。


「……なぬ?」


 思わず目を疑った。

 透明になった肉片は、まるで存在する役目を終えたかの様に消え去り……文字通り跡形も無くなっていた。


 けれど、完全に無くなったのかと言えば……それは違う。

 

「何だ? このおかしな現象は……?」


 イリも目を真ん丸にして驚いていた。

 いないけどいるからだ。


 実に矛盾した表現であると、私も思うんだけど……そうとしか他に言い様がない。


 簡素に言うのなら、気配はあるんだ。

 もっと言うのなら、魔力的な物は全く消えていない。


「これが、この世界における転生なのです。超新星から新しく生まれる世界がある様に……破壊から新たな命が芽生え……そして誕生して行きます。破壊と創造は、常に表裏一体なのです」

  

 淡々と説明して行くみかんがいる中……消え去った残骸は再びその姿を見せた。


 ただし、肉片ではない。

 出現したのは、小さな女の子だった。


 おおおおふぅぅ……。


 私は、何故か物凄い親近感を受けた。

 初めて見た筈だと言うのに、全く他人の気がしない!


 見た感じ三~四歳と言った所だろうか?

 私の腰程度しかない身長の少女は……明らかに、邪神とは別の波動を放っていた。


 しかも、この子……良く見ると、私に似ている気がする!?


「ああ、言い忘れてましたが~? この子は転生魔法によって再構築化された転生後の邪神なのです。つまるに『前世が邪神の人間』って事になるのです」


 うぉう……なんて面倒な前世なんだよっ!

 私は思わずみかんの言葉に悪態を吐きたくなった。


 しかし、今の私はそれ所ではない!


「な、なぁ? みかん? 結局……この子は、その……私に感じがスゴく似てるんだけど……?」


 私は割りとマジな目でみかんへと答えた時だった。

 

「か~たま!」


 少女は、私へと愛くるしい笑みを満面に浮かべて、勢い良く胸元へと飛んで来た。


 ……は?……へ? えぇぇっ!?


「実は、転生させるに至ってですね? 里親とも言える媒体と言いますか……両親の細胞が必要だったのですよ~?」


 …………。

 ……まさか?


 みかんの台詞を耳にし、私はハッとした顔になる。

 そう言えば、私の髪の毛を指輪に結んでいた。

 その上で魔法を発動していた。


 …………。

 いやいやっっ!


「そ、そうしたら、この子は完全な私のクローンじゃないかっ!」


「違うです。実は、もう一つの肉体……と言うか残存思念がその指輪に込められていたのです。みかんさんの魔法で、一部を具現化させて細胞の一部にしたのです」


「……んな、バカな……?」


 もはや、みかんの魔法は何でもありだな……。

 正直、みかんの場合、不可能なんて無い様な気がして来たよ。


「なので? 正確には、リダとアインさんの娘になるです。秩序にも違反してないのです。子供とは親のどちらでもあり、どちらでもない存在……と言うのが、定義ですからねぇ~」


 みかんは、ニコニコと如何にもそれっぽい台詞を語っていた。

 それっぽく、話を纏めているが……ハッキリ言って非常識も良いレベルだ。

 

 そもそも、子作りをした訳でもなんでもない。

 そこは百歩譲ったとしても、通常は精子と卵子が結合して生まれる訳で……。


 …………いや、まぁ。

 ここでわざわざ保健体育する必要はないのだが、色々と都合が良過ぎる魔法だよな!

 

「それより、名前はど~するです? 邪神のままじゃ、流石に可哀想かもです」


 呆れて良いのか驚いて良いのかで当惑している私の耳に、みかんの声が転がって来た。

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