戦いの始まり【15】
超爆発によって、完全に肉体が砕け散った邪神は……しかし、飛び散った肉片が互いに融合しようとしているのが分かる。
予測ではあるんだが、最終的には核に肉片が集まって行き、元の状態に戻ってしまうのだろう。
当然、阻止して見せる。
「うぉぉぉぉぉっ!」
大きく吼える。
極超音速を越える早さで突き進んだ私は、みかんに言われた通り……心臓へと視点を一転集中させていた。
キランッ!……と、光る球の様な物があるのが分かる。
あれかっ!
「これで終わりだぁぁぁぁっ!」
一気に飛んだ私は、肉片が纏まるより早く、空中で浮遊していた球……ん? これは? 水晶球?
……ああ、この球が邪神の核だったのか。
「通りで、無駄に頑丈だと思ったよ……」
ここに来て、水晶球の頑強さの意味が分かった。
答えが分かれば、大した事でもなかったな?
アインがくれた水晶球は、邪神を作り出す中核的な物だったのだ。
カッッッ!
水晶球に、みかんの魔法が掛けられた指輪をぶつけた瞬間、強烈な光が放出される。
「うぉわっ!」
一瞬、目が焼けたんじゃないかってまでの、物凄い光を見て……私は思わず目を両手で覆う中、これまで収集しようとしていた肉片達が、完全に動きを止めて地面へと落ちて行くのが分かった。
……終わったな。
今度こそ確信した。
同時に、私は全ての補助スキルと魔法を解除する。
正直、もう限界をとうに越えていたレベルだった。
意識を保っていられるだけ、まだマシだと言いたいレベルだ。
……そして。
パァァァァンッッッ!
甲高い音と同時に、水晶が破裂したのを確認する。
……あれ、壊れるんだな。
「アイン……ごめん」
私はちょっとだけ罪悪感を抱きつつ、今は三千世界の彼方へと旅だってしまったアインへと謝罪の言霊を飛ばす。
あれは、アインから貰った形見の様な物だったからな。
出来るのであれば、壊したくはなかったんだが……。
でも、けど……。
このまま、邪神の核として使い続ける訳にも行かなかった。
だから、思うんだ。
きっと……アインも分かってくれる……と。
完全に崩壊してしまった邪神……そして、破裂し粉々に砕け散った水晶を見据えつつ……私は申し訳ない気持ちを胸に抱きつつも……朗らかな笑みを作って行くのだった。
次回に続く!




