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戦いの始まり【12】

 ドンッッッッッ!


 私のエナジーが一気に弾けた!


「うぉわっ!」


 これまでとは比較にならないまでの衝撃派で、イリまでもが吹き飛んだ。


 いや、そればかりか……校舎の窓ガラスが全て吹き飛び、壁面に大きなヒビまで入る。


 いつもの私なら、ここで多少の戸惑いと見せていたかも知れないが……今はそれ所じゃない。

 こんな……バカ見たいな化物を、ここから外の世界になんか放り出したら……校舎のヒビ程度じゃ済まないだろう。

 トウキの街すら、場合によっては一瞬で消され兼ねない!


 迷いは捨て去る!


 今は、邪神を倒す事だけに、全神経を集中させてやるっ!


「おおおおっっっ!」

 

 全ての精神力を、眼前にいる邪神へとロックオンし、私は今までにない卓越した身体能力で邪神へと突き進む。


 勢いそのままに、拳を突き立て……そして、体毛の様なトゲが逆に私の拳を串刺しにしてやろうと言うばかりに、突起した部分を立てて来るが、


 ベキャッッ!


 拳に到達した瞬間、トゲの方がへし折れた。


 ドゴォォッ!


 刹那、邪神の腹部をジャストミートする。


『うぐぅぉぉぉぉっ!』


 悶絶するかの様に雄叫びを上げる邪神がいた。


 ……うむ!


 手応えアリだ!

 確実に、ヤツの能力を私が越えた!


 一気に決めてやるっ!


 鳩尾の辺りに私の一撃を受けた邪神は、苦しさからか? 四本の腕でしきりに腹をおさえながら、身体をくの字にしていた。

 

 その隙を見逃す私ではないっ!


 神龍三連脚!


「はぁぁぁっっ!」

  

 その瞬間、私は邪神の眼前へと瞬間移動にすら見える勢いでやって来ると、


 ドゴォォッッッ!


 邪神の顎をボールでも蹴るかの勢いで蹴り上げる。

 五メートルもの巨体が、天高く舞い上がった。


 空高く舞い上がった邪神がいた所で、私はそれ以上の早さで高く早く飛んで見せる。

 そして、蹴り上げていた足を、今度は振り下ろして行き、


 ドォォォンッッ!


 空中踵落としの状態で邪神の後頭部を蹴り落とす。

 今度は、瞬時に地面へと墜落して行く。


 ドォォォンッッ!


 重力と私の蹴りの威力を加算した邪神は、巨大なクレーターを作る程の勢いで地面へと激突。


 最後に、私もほぼ同じタイミングで落ちて行き、


 ドォォォォォンッッッッ!


 メテオ染みた渾身の飛び蹴りが、地面に巨大クレーターを作っていた邪神の腹部に突き刺さる。


 現時点の私が持つ、最大にして最強の攻撃技でもあった。

 

「……よし」

 

 校庭その物が、大きな穴になってしまう中、その中心から浮遊魔法で飛び出して来た私は、穴の一番深い所でピクリとも動かない邪神を軽く見据えつつ、笑みを強める。


 相手が邪神であったから、まだ原型を留めているが……普通なら木っ端微塵に四肢が砕け散っているだろう。

 そう考えると、やっぱりとんでもない化物だ。


 けれど、流石にこれを喰らって死なない訳がない!


 ……ん?


 な、なんだ?

 ……今、一瞬だけピクッ! っと……?


 穴の最奥で微動だにする事なく埋まっていた……筈の邪神が、少しだけ身体を動かした様に見えた。

 ……いやいやっ! それは悪い冗談だ!


 もう、幾らなんでも……動ける訳が…………っ!? 


 ボコォォォォォォッ!


 穴の中心から、風を切る様に飛び出て来る邪神がいた。

 

「嘘だろ……?」


 完全に唖然となってしまう。

 同時に、妙な倦怠感の様な気だるさが、私を襲う。


 レベルを2に上げた事の代償が、早くも私の身体をむしばみ始めて来た様だ……っ!


「く、くそぉぉ……」


 まだ倒れていない邪神に、私は精一杯の精神力で睨み付ける。

 けれど……その気持ちとは裏腹に……力がドンドン抜けて行くのが自分でも分かる。


 何だよ……水晶の予測じゃ、私が勝つんじゃなかったのかよ……?


 ぼやきにも近い台詞を心の中でのみ独りごちる。

 

 尤も、あの映像はもう無効と言っても良いだろう。

 なんと言っても、映像では生徒が校内に一杯いて、私と邪神との戦いでとばっちりを被って大ケガする連中が沢山いた。


 けれど、この悲劇を回避する為か? 前以て、学園の生徒は退避していた。

 つまり、この時点で、映像の未来とは別の未来を歩んでいるのだ。


 そうなれば、当然ながら……水晶とは違う結末が発生しても、なんらおかしな事ではなかった。


 未来は変わる。


 それは、良い意味でも……悪い意味でも。


「はは……参ったな……」


 力無く笑う私がいた。

  

 気付けば、補助スキルも解けていた。

 恐らく、もう……エネルギー的に限界だった為、スキルを維持する事が出来なくなっていたのだろう。

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