戦いの始まり【10】
大爆発と同時に、邪神から体毛っぽいトゲが……って、おわっ!?
瞬時に魔導防壁を展開する。
お前のトゲは、鳳仙花かっ!
爆発の勢いもあったかも知れないが、トゲが物凄い勢いで飛び散り、私の周囲にもやって来た。
けど、これでトゲがかなり取れた!
飛散したトゲの部分は、剥き出しの皮膚が見える。
後は、トゲが抜けた部分を狙えば勝てるっ!……と、思った時だった。
ニョキッ!……っと、抜け落ちた部分から、トゲが物凄い勢いで生えて来た。
「……えぇぇ……」
何だよ、その回復力……。
もはや、回復と言うより復元だった。
爆発のダメージによって、右腕の一本が半分吹き飛んだ様にも見えたが……それも、まるで何事も無かったかの様に復元されていた。
中々の化物だなっっ!
心の中で吐き捨てつつ、私は右手を虚空に翳し、
「オーラブレイドっ!」
声高に叫んだ循環、私の右手に光のオーラを纏った剣が握られる。
邪神の攻撃がやって来たのは、ここから間もなくだった。
ボンッッッ!
口から巨大な光の球が吐き出される。
光の球は、超高速で私の眼前までやって来た。
同時に、私は回避しようと上空へと飛んで行くのだが、
グンッッ!
まるで誘導弾の様に軌道を変更させた巨大な光の球は、私の後を追う形でやって来た。
えぇぇ……。
「こなくそぉぉぉっ!」
私は右手のオーラブレイドを、
ブゥゥゥゥンッッッ!
これでもかと言わんばかりに振り切ると、オーラブレイドから光の一部が剣圧の様に飛んで行き、
ザンッッッ!
巨大な光の球を真っ二つにして見せる。
ドォォォォォォォンッッ!
直後、真っ二つになった光の球は、大音響で爆発した。
……ふぅ、あぶな……と、心の中で安堵したのも束の間。
ブォワァッッ!
私の正面に、邪神の頭が……っ!
「くぅぅぅっ!」
素早く魔導防壁で対応。
ドンッッッ!
その直後に、邪神の頭突きが私に激突した。
物凄い衝撃が身体全体を揺さぶる!
しかも、頭突きの衝撃も去る事ながら、頭に付いてるトゲが更にいやらしいっ!
私は全力で防壁を張っているのだが、
ミシミシィ……ッ!
トゲの固さと勢いが強く、徐々に私の防壁を侵食するかの様に突き破ろうとして来る。
「ぐ……くぅ……こ、このぉぉ……っ!」
全力で防御に回った。
精神力をフルに防壁へと一転集中し、額から一粒の汗が滴り落ちた。
だが、それでもトゲの方が私の防壁を上回る。
メキメキィ……ッ!
防壁が、あり得ないまでの振動と悲鳴染みた音を上げ……徐々に崩壊して行くのが分かった。
クソッ!
……こ、このままじゃ……決壊してしまう!
獄炎嵐!
瞬間、地獄から召喚された獄炎が邪神を襲った。
……これは……イリの獄炎魔法かっ!?
見れば、回復していたイリが性別を変えて魔導モード状態になり、必殺の超魔法を発動させていた。
恐らく……腕力では、あのトゲを攻略するのは難しいと考えての性別変更なんだろう。
イリは性別が変わる事で、その能力が大きく変化する。
身体能力と言うか、物理攻撃が極端に落ちる反面、魔力が格段高くなるのだ。
そして、魔力を上げたイリは、私へと一転集中していた邪神の虚を突く形で、己の最大と言えた獄炎嵐魔法を発動させていた。
ナイスだっ!
この炎……どう言う構造で出来ているのか、私には今一つ良く分かっていないのだが、魔法が発動するとアバトンからやって来る地獄の炎……ゲヘナが召喚される。
召喚されたゲヘナの炎には意思があるのか?
対象となる相手だけを燃やす。
つまり、味方であるのなら、触っても全く燃えない。
……物理的に考えると、本当に不思議な情景だった。
不思議なのは、それだけではない。
この炎は、発火してしまうと、相手が消し炭にならない限り……永遠に燃え続けるのだ。
ゲヘナの炎が邪神に着火された瞬間、
ボォォォォォッッ!
瞬く間に炎が身体全体を襲った。
同時に私は邪神から離れて行く。
ゲヘナの炎に私が焼かれる心配はなかったのだが、
『うぉぉおおおぉおぉぉぉおっ!』
耳障りの悪い雄叫びの様な悲鳴を放つ邪神は、物凄い勢いでのたうち回っていた。
そりゃそうだろう。
地獄の業火で、身体の全てを焼かれているのだから。
のたうち回っている邪神に巻き込まれるのはゴメンだった私は、素早く待避する形で遠くへと飛んで見せる。
そこから、近くにいたイリへとグッジョブして見せた。
「やるな、イリっ!」
「とーぜんだ!」
イリはふてぶてしく笑って、私にグッジョブを返して来た。




