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疑惑の始まり【19】

 まず、一つ目。


「どうして、私を裏切る様な真似をしたのか聞きたいと言っておけ」


「……我が主が? それは何故なにゆえに?」


「イリに嘘情報を掴ませた張本人だからだよ」


 私は苦い顔になって言う。

 恐らく、ここに何らかの意図がある事は分かってる。

 しかし、だからと言って騙す様な方法を使うなと言いたい。


「あれは、我が主がリダ様を退避させる為に述べた方便です……が、リダ様の気分を悪くしたのであれば、申し訳なく思います。主に代わって謝罪しましょう」


 言うなり、バアルは頭を下げて来た。


 ……まぁな?

 言い分は分かるよ。

 

 連中の標的は私だった。

 それなら、バアルとしてはどんな方法を使ってでも、私を安全な所に退避させたかった。

 やり方はともかく、私を考えての事だと言う事まで否定する気はない。


 取り敢えず、ここに関してはこれで良いだろう。


 次に二つ目だ。


「冒険者協会に、会長からの伝言として……西側諸国の影響を受けている本部の人間を探し出して注意または処罰しなければならないリストを作成して欲しい」


「ああ……その件でしたら、既にある程度は終了しております」


 ……はぃ?

 

 思わず呆気に取られた。

 

 つまり、バアルは既に先手を取っていた事になる。


「情報を集める能力は、リダ様の想像を超越しているのが我が主なのです。この程度の事は造作もありません」


 さも当然と言いたそうな態度で口を動かしていた。


 そして、不適な笑みに変わってから、再び口を開く。

 

 何だろう?

 妙に空気が変わった気がする。


 そこはかとなく緊迫した空気が生まれた……気がした。


 今度は、何を言うつもり何だ……? 


「特に我が主は、リダ様に関して徹底的に調べ尽くしております……例えば? 小学校時代に友達と川へ遊びに行った時、うっかり足を滑らせた事で流されてしまい……おしっこをチビった挙げ句、暫くは川がトラウマになってしまった事とか」


「……って、バカなのアンタっ!?」

  

 どや顔で、いかにも誇らし気に私の子供時代を赤裸々に語り出すバアルに、私は顔を真っ赤にして捲し立てた。


 つか、いきなりシリアス展開になりそうな雰囲気作って置いて、言う台詞がそれなのかよっ!

 もう、私は恥ずかしいやらイライラするわで、最低な気分で一杯になった!


 直後、ユニクスの瞳がキュピーンッ☆ と光る!


「まさか……リダ様に……そんな輝かしい過去が?……悪いが、もっと聞かせてくれないかっ!?」


 全然輝かしくないだろぉぉぉぉがっ!


「もちろん、その他にも色々ありますよ? そうですね? 小学校の卒業文集にあった『将来の夢は?』と言う所に『アインのお嫁さん』とか書いてしまって……あ、ちょっとリダ様? 顔に手が? いや、そんな事されたら前が見えなく…………ぐわっ! ちょっ!……痛い痛いっっ!」


 次々と、人の恥ずかしい過去を暴露して行くバアルがいた所で、私のアイアンクローが炸裂する。


 ったく!

 本当にロクな事を言わないなっっ!


 ……とは言え、コイツの言いたい事は分かった。

 簡素に言うのなら、私の周囲に関する情報は、私が忘れてしまっている内容ですら、しっかりと調べ尽くしていると言いたいのだろう。


「あががぁっ! リダ様! もう言わないですから、やめてぇぇっ!」


「……次言ったら、その頭蓋骨を潰すからな」


「わ、わかりました……」


 額に怒りマークを付けて言う私に、バアルはペコペコと何回も頭を下げて来た。

 謝るくらいなら、やらなければ良い物を。


「こ、この様に……リダ様の情報は、どんな些細な情報であっても、全てを知り尽くしているのです」


「私的に言うのなら、調べる必要もない情報だと思うんだがな……?」


「とんでもないっ! リダ様の情報は、我々ハエ軍団もそれはそれは面白おかしいエピソードがビックリする程に豊富で、みんな楽しく……ああっ! すいません嘘です! 嘘ですから、その手はやめてぇぇっ!」


 いい加減、真面目に話をしてくれませんかねぇ?

 ふざけた事ばかりを言って来るバアルに、再びアイアンクローを仕掛けてやろうと右手を出した所で、さっきの事があったからか? 瞬時に反応して悲鳴を上げていた。


 怖いなら、そんなバカな話ばかりしないで、ちゃんと真面目に話を進めろよっ!


「……で? 協会の連中をある程度調べたと言う事で良いのか?」


 もう、話が全く進まないので、私の方から強引に話の内容を引き出して行くと、バアルはゆっくりと首を縦に振ってみせた。


「調査の結果……上層部にいる約七割弱の幹部ないしその関係者が、既に西側諸国の研究者と内通している事が判明しておりました」


「……なっ!?」

 

 私は目を大きく見開いた。

 七割……だと!?


 流石に笑えない数だった。

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