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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
会長、学生相手に大人げなく無双する。学年予選編
32/1397

【3】

「はぅぅ………」


 目がおぼろのまま、視点が定まっていない。


 そこから、三十秒程度だったか?

 多分、その位だと思う。


 ポテン


 ………と、ルミ姫様は倒れた!

 てか、なにしたんだよ、ルミィィィィッ!


「わ、わたしはもうだめ………」


 いや、なんでダメなんだよ!

 あんた、何もしてないじゃないか!


「しっかりしろルミ! まだ、戦闘すら始まってないぞ!」


「………ふ。やっぱりリダは強いなぁ………」


 いや、だから、まだ何もやってないのに、激戦の末に負けた人間みたいな顔してんじゃないよ!


「リダはね、私の憧れなの」


 そこまで言うと、ルミはにっこり笑った。


「だから……貴女と戦えてよかった………」


 淑やかに力なく答え、ルミは気を失った。


「ルミィィィィッ! 戦ってないぃぃぃぃぃ!」


 感動的に見えるけど、全然感動出来ないよ!

 ……えぇと。

 こうして、私の決勝戦は確定した。

 気合いを入れすぎたのか、戦々恐々とし過ぎて戦意喪失の末なのか……よくわからないが、取り合えず審判も呆れていた。


 これが元で本戦出場取り消しにならないと良いんだけど……。


 そんな私の不安も他所に救護班に運ばれるルミ姫様。

 本当、そこだけ見ると凄い激戦があった様に見えるんだけど、実際は………なぁ。

 と、とりあえず、肉体的には傷一つ付いていないので、回復を待つと言う形を取る。


 程なくして、第二試合が始まる。


 パラスとフラウの戦いだ。


 この勝者が私と決勝で戦う事になる。

 どちらもこの学年ではトップクラスの実力者同士の戦いだ。

 クラス予選からここまで、ずっと無敗で勝ち上がって来た二人だけに、互いに負ける気はないらしい。


 例え、勝ち負けに関係なく本戦出場が決まっていても、負けられないし、負けたくない!

 そんな二人の気迫が、見えないオーラとして、渦を巻いていた。


 互いに臨戦態勢の空気を作りながら対峙し、


「始め!」


 審判の声が高々と周囲に響いた。


 最初に動いたのは、やはりパラスだ。

 やはりと言うのは他でもない。

 斬撃で遠距離攻撃も出来るパラスだが……そこはそれ、基本は近接武器での戦いをしているパラスだ。


 他方のフラウは、ルミと同様の魔法タイプ。

 ただ、ルミと違って基礎体力もあるし、炎神アグニと言う切り札もある。


 そして、その切り札を最初から惜し気もなく出していた。

 どうやら、対峙した瞬間に相手の実力をある程度まで認識したみたいだ。

 

 ガシッッ! 


 ルミ戦と同じく、素早い身のこなしで間合いを一気に縮めたパラスは模擬刀をフラウに振り抜くが、模擬刀はあっさり弾き返されてしまう。


 フラウの右手に生まれた炎の盾によって。


「……うむぅ」


 私は唸ってしまった。

 本当にこれは学生同士の戦いなのか?


 炎神アグニの祝福を受けたフラウは、文字通り神憑り的な能力を活かして、炎神の盾を作り出していたのだった。

 ごうごうと猛る様に燃え盛る炎の盾。


 常人が攻撃すれば、それだけで炎の餌食になってしまう。

 炎に向かって剣を振るうのだから、自然と火の粉が襲って来る結果を招くのだ。

 なのに、その中心で盾を持っているフラウにはなんのダメージもなく、むしろ涼しい顔をしている。


 一方的にフラウが有利になる。

 それでも、フラウは決して油断する事なく、パラスに向けて攻撃を展開する。


「一気に決める!」


 叫び、盾を持っていない左手に魔力を込め、頭の中で魔導式を紡ぎだして行く。

 前より、全然早くなってるな。

 いつのまに上達したんだろう?


「てぇいっ!」


 左手をパラスに突き出し、魔法を発動させる。

   

 刹那、炎の刃が無数に出現すると、一気にパラスに襲い掛かる。


 一見すると、ただの炎に見えるが、実は違う。

 文字通り……それは刃なのだ。


 パラスは模造刀で応戦するが、


 スパッ!


 ……と、模造刀が切れる。

 見事に真っ二つだ。


「………なっ!」


 まさか武器を真っ二つにして来るとは思わなかったパラスは思わず目を大きく見開く。

 そして、未だ無数に存在する炎の刃に身体を切り刻まれ、焼け焦がれる……と、思いきや。


「うぉぉぉぉっ!」


 気合いで刃を霧散させる。

 ルミ戦時の上位ハイ陽炎魔法フレアの時もそうだったが、つくづく人間離れした防御力だ。


 こないだはA+程度と思ってたけど、これはSランクの冒険者相当に値すると思うね。

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