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疑惑の始まり【13】

 それに、私としてはイリが知っている情報をしっかり洗いざらい聞くと言う、重要な目的があったしな。


「……で? お前は何が知りたいんだ?」


「可能なら全て」


 ぶつぶつと何か言いたげな顔付きのまま言うイリに、私はズバッと単刀直入に返答する。


「虫の良い話だな……」


 イリの顔が、更に苦い顔になった。


「まぁ……いいさ。本当はもう少し黙って置きたい所だったんだが……どっちにせよ、俺もしばらくは入院生活の身だ。代わりにやって貰いたい事もあるし……仕事の引き継ぎみたいな感覚で聞いてくれ」


 そこから、やや開き直る感じでそうと答えたイリ。

 仕事の引き継ぎ……ねぇ。

 イリからすれば、そう言う感覚なのかも知れないな。


 言い得て妙だと思いつつも、妙に納得してしまった。


 そんな中、イリは淡々と私へと口を動かして行くのだった。


 


     ■□○□■ 




 イリの話は、結構長い感じだった。

 言うなれば、ちょっとした回想シーン状態だった。


 内容を説明すると……こうだ。


 まず、イリの主目的。


 ここらに関しては、私の予測通り組合からの仕事でトウキへとやって来ていた。

 私にとって、そこまで重要な話ではないから、色々とはしょって説明するが……相棒のオリオンは無事に結婚し、現在はアオさんとハネムーン中なんだと言う。


 オリオンの顔が見えないな……と思っていたら、そう言う事だったのか。

 噂には聞いていたんだが……オリオンも上手い事やったな。

 アオさんと仲良く……末長い結婚生活を楽しんで貰いたい物だ。


 オリオンが新婚旅行で、まさに幸せなリア充生活の真っ只中にいた為、イリは『リア充爆発しろっ!』と言わんばかりに超炎熱爆破魔法フレインダムドを発動させようとするも、キイロとミドリのダブルドラゴンブレスを受けてしまい、イリの野望は阻まれた。


 ……いや、うん。


 それで良いよ。

 ネタ的には、まさに爆発させる為にありそうなイベントではあるけど、それを本気でやったらダメだと思うからな。


 話を戻そう。


 相棒のオリオンが急遽、新婚旅行で来れなくなってしまった為、キイロとミドリがイリの補助役として一緒にやって来たそうだ。

 イリ的には来て欲しくなかったらしいが……キイロとミドリは家族旅行になると大はしゃぎ。


 実際問題……今回に関してはイリも仕事で来ている訳だから、ハナから旅行感覚で行こうとしているキイロとミドリの二人を良く思う訳もなく……本来なら、ニイガに置いて行きたかったらしいのだが……家庭では、しがないお父さんでしかなかった訳で。


 結局、二人に半ば押し切られる形となり、三人でトウキへとやって来る事になるのだった。


 こうしてやって来たイリだったが、もちろん仕事で来ている。


 果たして……イリの目的とは『邪神の降臨を阻止する事』であった。


 もう、この時点で分かるな。

 イリは、既に知っていたんだよ。


 西側諸国にある研究施設と……その内容を、だ。

  

 けれど、私にはその事実を隠していた。

 

 何故か?


 私が、邪神復活の鍵を握っているからなんだそうだ。

 

 この言葉をイリから聞いた時は、思わず『は?』って感じで、何を言われているのかサッパリ分からなかった。


 ……そう。


 全く分からなかった。

 いや……正確に言うと、少しだけ違う。


 私は『分からなかった』ではなく『気付けなかった』のだ。


 私は、自分でもそれが何であるのかを知らない内に……もう『手に入れていた』のだ。


 全ての答え……それは、アインが私に託した水晶にあったのだ。


 やたら頑強で……何やら妙な魔法が封入されていて……ともかく不可思議な要素がそれとなくあった水晶ではあったのだが……まさか、そんな秘密がこの水晶に眠っていたとは。


 ただ、これで色々と謎が解けた部分もある。


 アインは、言っていた。

 佐々木に注意しろ……と。


 そこには、前世からの因縁めいた物がある側面に……この世界にも大きく関与する、重大な秘密も込められていたのだろう。


 未来予知の能力は、アインが水晶に封入した物かも知れないが……無駄に頑強であると言う事に関しては、アインがやった事ではなく……元から堅牢な作りになっていたんだと思う。


 何故なら、この水晶こそ、西側で研究されている邪神を呼び出す魔導器マジックアイテムなのだから。


 研究所にとって、この水晶はかなり大事な代物であったに違いない。

 だからこそ、ちょっとの事では壊れない……実に頑強な物にしたのだと思われる。


 それが、どうしてアインの手に渡ってしまったのか?……三千世界へと旅立ってしまったアインに聞く事は出来ないが……色々あって、西側諸国の研究機関から入手した事だけは分かる。


 だからこそ、今の私が所持しているのだ。

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