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驚きの始まり【16】

 だが、しかし!


 この瞬間、私は実に大切な事に気付いたのだ!


「そろそろ部屋を出ないと……遅刻してしまう!」


「……はい?」


 ドが付くまでに真剣な眼差しで言い放った私の台詞に、ユニクスはポカンとなった。


「今は、そんな事を言ってる場合じゃないのでは……?」

 

 素朴な返事をありがとうっ!


 確かに、状態を見る限り、遅刻だどうだと言っていられる場合ではい!

 ないが、だがしかしっ!


「無断で授業を欠席した翌日に、いきなり遅刻とかしたら、すごぉぉぉく気まずいじゃないかっ!」


 私は声を大にしてユニクスに宣言して見せた。


「あ……はい」


 ユニクスは、地味に相づちだけを打った。

 くぅ……何だよ? 何だよっ!?


 お前は、超が付く程の優等生だから気にしていないのかっ!?


「ただでさえ私は、クラスの人間から『リダさんって、変わってる人だよね?』とかって、色々言われてるのに……この上、無断で学校休んだ挙げ句、平気で遅刻とかまでしたらどうなると思う? 確実にディスられても文句言えないだろっ?」


「そんな物は、言わせておけばよろしいのでは?」


「ユニクスさんよ……お前は何も分かってない……分かってないよ……。クラスの中では然して目立つ事もない、人気の圏外にいるクラスメートってのは、実にフラットな存在な訳だ? 例えるのなら、真っ白なノートと一緒なんだよ? 情報がないから、アンノウンと言う文字がみんなの頭にあるだけで、後は見事に真っ白な存在なんだ。ここに色々と書かれて行く事で、私の印象が確立されて行く」


 そして、その上で行くのなら……。


「私は社会にチョッピリ反発する、悪い美少女って事になってしまうんだ!」


「美少女は譲らないんですね」


 お前、こう言う時は、しっかりツッコミを入れて来るのな?

 

 何にせよ、こうしてはいられない!


「ああ、もう! 変な無駄話なんかしちゃったから、結構な時間が経ってしまったではないかっ! とにかく、水晶は今日の昼休みにでも見せるから、今の所はサッサと学園に行くぞっ!」


 その後、私は急いで教室に向かった。




     ●○◎○●




 時間よっ!

 お前はそんなに急いで、何処に行くのだっ!?


 私は、無慈悲に刻まれて行く時の流れに、幾ばくかの不合理を抱きつつも駆け足で教室へと入って行った。


 ガラララッッ!


 引き戸を勢い良く開ける。

 教室には、既に大多数の生徒が自分の席に着いていた模様だが……まだ、ホームルームは始まっていない。

 てか、思えば……下駄箱付近で待っている生徒指導の先生から遅刻の宣告を受ける事で、遅刻が確定するのだから、教室まで来れる時点で遅刻と言う事はない。


 ……ないが、ここで油断してホームルームが始まっていたのなら、凄まじく気まずい!

 絶対に、担任より先に教室へと入らないと!

 ……と言う気持ちがスペシャル過多にあった私は、他人からすればキチガイ染みた勢いで教室の中へと入って行くのだった。


 こうして、私は無事に担任が来るより先に教室へと入る事が出来たのだが……?


 何だろう? 

 教室の扉を開け、中に入った所で……妙に熱い視線を感じる。


 物凄い勢いで引き戸を開けたせいかなぁ……ああ、何か少し浮いてる気がするぞ、私?


 そうは思ったが、敢えて素知らぬ顔をして自分の席に座る。


「おはよう、リダ。今日はちゃんと遅刻しないで来たんだね」


 それは、どう言う嫌味ですかねぇ?

 席に座って間もなく、フラウが笑みを混じらせて私に答えて来た。


「いつも遅刻している見たいに言うな……私はとっても真面目な美少女なのだ」


「自分で言わなければ、美少女でも良いとは思うよ」


 仕方ないだろ? いつも言ってるけど、誰も言わないんだからなっ!


「それよりさ……何か、私の方に、妙な視線が集まっている気がするんだけど……?」


「……ああ、やっぱり気になる?」


 私の問い掛けに、フラウは少し困った顔になった。

 

 ……?


 どうして困った顔になるんだ?

 しかも、いきなり小声になるしっ!


 フラウは真面目な顔になった後、私に顔を近付けて来てから耳打ちレベルの声で答えて来た。


「……実はね……リーナ先生が……惨殺されちゃったみたいなんだよ」


「…………は?」


 ポカンとなった。

 余りの衝撃に、頭が真っ白になりそうだった。


 リーナが……死んだ?


 いや、おかしいだろう?

 だって、昨晩に……私はコイツに狙われてたんだぞ!?

 そんなリーナが……死んだ?


「幾ら何でも、そんな話があるか……」


「本当なんだよ」


 呆れ顔になっていた私がいた所で……しかし、フラウは依然として真顔のまま、私へと答えて行った。

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