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真相究明の始まり【8】

 私的に言うのなら、西側諸国の面々とはそれなりに友好的にやっていると思う。

 まぁ、これは自分の自惚れに過ぎない事だったのかも知れないが……だ?


 けれど、確実に言える事は、向こうの組織にも私と気が合う仲間と呼べるだけの存在が一杯いると言う事だ。

 そして、その仲間の事を考慮するのなら、おおっぴらに西側へと喧嘩を売る様な真似だけはしたくない。


 理由は実にシンプル。

 私も西側の人間が好きだからだ。


 ともすれば、単なる誤解が生じていて……そこから下らないいざこざへと発展してしまう可能性もある。


 ……尤も、西側諸国だってバカじゃないし、喧嘩っ早いヤツこそ居ても、理由もなく抗争をしたいと考える様な輩は皆無にも等しいだろう。


 よしんば一定数いたとしても、確実に西側諸国サイドで反対が起こり、内々で解決させてしまう事だろう。


 ところが、今回に限って言うのなら行動にまで移されてしまった。

 しっかりと闇のシンジゲートを持つ組織と協力してまで密入国し……秘密裏に私を暗殺しようとした。


 ……うむぅ。


 やっぱり引っ掛かる。

 どう考えても、西側がそんな姑息な真似をして来るとは思えない。

 仮に卑怯だと思える様な内容であったとしても、もう少し筋のある手段を使って来る筈なのだ。


 これら一連の内容を加味するのなら……。


「うむぅ……本部を使って西側へと直接圧力を掛けると言う手段は、なるべく使いたくないな」


「そうですね。むやみやたらに西へと文句を言うのであれば、もう少しちゃんとした証拠が必要になるでしょう……現状で大声を上げれば、逆に大きく反論され兼ねない案件です。慎重に慎重を踏まえて物事を考えたとしても良いレベルだと思われます」


「そうなるんだよなぁ……」


 アシュアの助言めいた言葉を耳にし、私も頷きながらも考え込んでしまった。


 ガチャッッ!


 直後、リビングのドアがおもむろに解放される。


「ただいま戻りましたっ! リダ様っっ!」


 ああ、なんだレズか。


 そう言えば、さっきメイド服姿のアシュアを誉めたら自分も誉められたいと即行そっこうでメイド服を着に行ってたが……ああ、うん、本当に着て来たのか。

 真面目な話……その行動力を他に使った方が、世の為人の為になると思うんだけどなぁ……?

 

「どうですかリダ様! 可愛いでしょ? 綺麗でしょう!? 美しいでしょう!?」


 ユニクスはモデルにでもなったかの様な悩ましいポーズを、可愛らしく作って見せた。


 …………。


 そりゃな?

 確かに、可愛いと思うし、綺麗だと思うよ?

 元々が良いと言うのもあるのだが、着こなし方も何処か洗練されている。


 つまり、微妙に気品がある。

 だが、スカートはミニだ!


 お前は、どこの喫茶店に勤めているんですかねぇ……?


 何処と無く品性豊かに見えるのに、そのミニスカートが原因で全てを無駄にしていた。

 ……何がしたいんだよ、お前は……?


「綺麗だとは思うし、それはそれで似合ってると思うが、その格好で私に何を言わせたいんだ……?」


「え? それは……もうっ! 私の口から言わせるなんて……リダ様も勇者ですねっ!」


「……勇者はお前だし」


 現状、意味は違うけど、お前は立派な勇者してると思うぞ……。


 何処かげんなりした私の顔を見て、ユニクスのテンションが見る間に下がって行く。


 間もなく瞳からじわっ……と涙を溜め込んでから言った。


「この格好……ダメでした?」


 何でそこで半べそになるんだよ?


「ダメとは言わないけど……何回も言ってる様に、私は女だ。同性相手にそんな格好しても、特にそこまで感情が揺れたりはしないぞ……」


 単純に可愛いとは思うし、そこはそれで色々と思う部分はあるけど……それ以上でも以下でもないからな?


「……そうですか……分かりました。私にはまだまだ修行が足りないと言う事ですね?」


「いや! 修行が足りないとかおかしいから! つか、修行する必要ないからなっ!」


 コイツの思考をどうにかして正常な物に戻したいと願うのは私だけだろうか……?


 ……あ、でも、近くを見ていたアシュアも少し呆れてるな?

 うむ。

 私だけじゃなくて良かったっ!


 何にしても……。


「今は、ちょっと取り込んでいてな……お前のメイド喫茶チックな格好をどうこう言ってる場合じゃなかったんだ」


「メイド喫茶って言うのが、良く分からない概念ではあるのですが……お取り込みの最中であった事に関しては納得出来ます。変な形で水を差していたのなら素直に謝ります」


 答え、ユニクスはペコリと頭を下げて来た。

 こう言う所はしっかりしているから、本当に不思議な気持ちだ。


「……それで? 内容をお聞かせ頂いても宜しいですか?」


 頭を戻したユニクスは、既に真剣な顔になって私に答えていた。

 この切り替わりの早さにも少し驚いた。

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