【4】
私は二ッ! と笑った。
刹那、私の身体に補助魔法が掛かる。
超攻撃上昇魔法レベル99
超防御上昇魔法レベル99
超身体速度上昇魔法レベル99
「………は?」
ポカンとしたニースがいた。
「いやいや、おかしいだろ! なんだよそれ、おかし過ぎるだろ! つか、おかしい!」
おかしいしか言えんのか、お前は。
「これが補助魔法のお手本だ。参考になっただろう?」
「なるかよ! そんなアホ見たいな補助魔法!」
ニースは失礼な事を平然と叫んでいた。
補助魔法は三段階ある。
無印と上位と超の三つだ。
それぞれ、上位に行けば行くほど効果が高くなり、持続時間も異なる。
また、熟練度が別に存在し、最大レベルも異なる。
例えば下位の場合は最大レベル30。
上位は最大レベル60
最後の超だけ99まで上がる。
しかし、この熟練度なのだが、当然上位に行けば行く程、上がらない。
レベル99にするのは、本気で本気で……滅茶苦茶キツかったよ!
けど、その努力はステータス上昇と言う形で報われる。
99まで使えると、その上昇幅は素のステータスの一千倍にまで膨れ上がる!
ドンッッ!
元々それなりのエネルギーをもっていた私が、急に千倍まで能力を上昇させた為、周囲に物凄いエネルギーの余波みたいなのが衝撃波としてやって来る。
その衝撃波で、ニースは数メートル程度、吹き飛んでいた。
「あら………」
これは、ちょっとやり過ぎたな。
「ごめん、やりすぎた」
私はてへっと笑って謝ってみせた。
割と可愛く謝れたと思うぞ。
相手がクラスメートの男子で、ちょっとくらいなら仲良くなっても良いかなって思ったから、比較的優しく微笑んでみた。
けど、あざとい微笑みとかではないからな!
「あわわわ………」
吹き飛ばされたニースは、そのまま後ろに倒れ込み、まるで魔王でも見るかの様な……って、ちょっとまて!
今の可愛いかったろ? 良い感じに美少女してたろ? そんな、人を化け物でも見る様な目で見るんじゃないよ!
「おい、ニース……お前」
そこまでビビんなくても良いだろ? これでも女の子だぞ? あたしゃ!
「ひ、ひぃぃぃっ!」
………。
いや、もう……泣いて良い?
完全に恐怖が支配していたニースは、間もなく逃げる様に審判へと降参を口にし、これまた逃げ去る様にその場から立ち去ってしまった。
その後、私はニースとまともな会話をする事はなかった。
……ちょ~っとだけ大人気なかったかな?
や、やっぱり、補助魔法とかも相手に合わせてもよかったかな~?
そうしたら、ニースとも少しは仲良くなれたかなぁ……。
あ、でっでも……モテたいとか思ってないし!
「勝者、リダ・ドーンテン!」
ニースの降参を受けた審判は、そこから私への勝利を告知して来る。
よし、まず一勝。
そう、そこが大事だ!
気付くと姫様と魔法少女しかまともな友達がいなくて、あれ? 女しかいなくない? 男が一人くらい居ても良いよね? てか、そう言う甘酸っぱい学園生活とかあっても良いねとか、私は全然思っていなかった。
ふ、ふん……お、思ってなんか、いないぞ!
ちょっとしか!
勝利宣言を受けた私は、ちょっとだけ瞳から涙が出てたけど、気にしない様にした。
ちょっとしょっぱい涙だったけど、やっぱり気にしない様にしたのだった。
●○◎○●
クラス一次予選は、その後も順調に消化して行く。
初戦を華々しい快勝で飾った私の二戦目は見事な不戦勝となる。
……てか、一次予選は以後、全て不戦勝で全勝通過になってしまった。
どうやら、初戦のインパクトが余りにも強かったらしい。
おかげで、私の周りにはルミ姫様しかいない。
………………………。
……さ、寂しくなんかないし!
「ルミ、あんたって本当良い子だよ………」
「? なんだか知らないけど、ありがと」
ルミィ~っ!
もう、なんか抱き締めてやりたくなったぞ!
少なくともボッチよりはマシだと思った私。
これでボッチなら、きっと遠い目して虚空で呟いていただろう。
それは、ちょっと……自分でも想像したくない。
「そう言えば、ルミの方は調子どうだ?」
「そうだねぇ、今のトコは負けてないよ~」
能天気にコロコロ笑いながら言っていた。
ルミは基本的に身体的な能力こそ低い物の、その魔力は桁違いに高い。
物理攻撃力は10位しかないけど魔導攻撃力は500位ある的な、そーゆーアンバランスな、魔法超特化タイプだった。
流石は魔導国家・ニイガの姫様と言った所か。
でも、良く考えたら姫様がこんな学園に良く入学したよな。




