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犯人探しの始まり【7】

 ……ああ、やっぱり姿が変わっていたか。

 一応、それとなく変わったなぁ……とは思っていたんだけど、やっぱり少し自信が持てなかった。


 実際問題、ほんの少しだけ若くなった……と言う感じだろうか?

 正確に言うのなら、若いと言うより幼くなった感じだ。

 青年が少年に変わった……と表現するのが妥当じゃないだろうか?


 けれど不思議ではある。

 どうしてイリは、姿を変えているのだろう?


 そもそも、ここはトウキだ。

 外国にやって来て、いきなり姿まで変えて……お前は何をやっていると言うんだ?


「それで? お前は、本当にトウキまで何をしに来たんだ? まさか、また観光って訳じゃないだろう?」


 根本的に分かる事が少ない私は、顔でも分からないを全面的に押し出して答えた。


 すると、イリは嘆息混じりに答える。


「さっきから言ってるだろ? 全てはお前の為に、わざわざこんな事をしてんだよっ! いい加減、そこら辺は空気読んで察しろよ! この、鈍感女がっ!」


 酷い言われ様だった。

 少しイラッと来る部分もあるが……しかし、イリの性質や口の悪さ等は今に始まった事ではない。


 悪態を吐いている部分に目を瞑れば、そこにイリの真意が隠されている事も分かった。

 よって、私は苦い顔になって答えた。


「素直に、私を助けているとだけ言えば良いのに……お前、友達なくすぞ?」


「ふんっ! 俺は仕事柄、大勢の人間とつるむのが嫌いなんでな? これで良いんだよっ!」


 軽い助言のつもりで答えた私だったが、イリは見事に突っぱねて来た。

 本当、相変わらずだな……。


 少し私が呆れていた時だった。


「ごめんなさいね、リダさん。気を悪くされたら、私が謝るから」


 そうと、にっこり笑みで愛想良く答えてくれたのはキイロだ。

 程なくして、その隣の席に座っていたキイロの色違い……もとい、未来からやって来たキイロの娘でもあるミドリが、キイロ同様の笑みをやんわりと浮かべながら私に答えて来た。


「お父さんって、どうしても他人に厳しいって言うか、家族以外の人には冷たいから……その、悪気はないから許してくれると助かるかなぁ……あはは」


「ああ、大丈夫だミドリ。これでも少しは理解しているつもりだからさ?」

 

 どうにか穏便にしようと、愛想笑いめいた笑顔で友好をアピールしていたミドリに、私も口元を緩ませてから声を返した。


「良かった……やっぱり、リダさんは優しい良い人だね。思っていた通りの人で、一安心ってトコだよ」


 ミドリはホッと胸を撫で下ろす。

 やっぱり、何処か不安だったのだろう。

 少なからず、心からホッとしている様に見えた。


「それで? 私の為と言うのは、どう言う事なんだ?」


 安堵の息を漏らすミドリを軽く見た所で、私は真剣な表情に戻し、単刀直入に質問をぶつけて見た。


 主にイリへと尋ねた質問ではあるんだが、明確な答えを出せる者であれば、この中にいる誰でも構わない。

 そんな私の意図を汲んでか? 私の問い掛けに声を返したのはキイロだった。


「もしかしたら、もう気付いているかも知れないけど……リダさん、あなたは狙われてる」

 

「……まぁな」


 キイロの言葉に、私は気のない返事だけを言う。

 さっきから、イリがお前の為にやってると答えていた台詞を耳にして、なんとなくだけど、そんな感じの言葉がやって来るんじゃないかと予測はしていた。


 だけど……否、だからこそ気になる。


「どうして、私が狙われていると言う理由で、イリ達がここに? そもそも、どうやってその情報を得たと言うんだよ?」


「仕事だからだよ……」


 私の質問に、イリはボソッ……と、けだるい顔のまま答えた。


「仕事だと?」


 イリの言葉に、私は眉を寄せた。

 すると……賞金稼ぎ組合は、既になんらかの情報を掴んでいるのか?

 相変わらず、情報収集能力の高い組合だ。


 そうと、戦慄にも近い驚きと感心を抱いていた時、ミドリが笑みで口早に捲し立てて来た。


「そうなんだよリダさん! 私達、賞金稼バウンティーハンター組合ギルドの要請を正式に受けて行動している途中だったりするんだよ。決して大陸で一番の大都会が見れて浮かれて、トウキでも有名だったりするお洒落なお店やファッションとかに興味津々で、お母さんとキャッキャッしながら、街を歩き回る予定とか、実は徹夜で考えたりとか、そう言う事はしたけど、してないんだから!」


「どっちだよっ!」


「ごめんなさい! 実はやってました!」

 

「やってるのかよっっ!」


 素早く……ある意味で潔いまでに素早く頭を下げて来たミドリに、私はまさかの二段ツッコミをする事になった。

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