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犯人探しの始まり【4】

 ……やれやれ。

 変な所は、似た者同士と言うか……何と言うか。


「そりゃ、確かに私の事を考えてくれるのは有りがたいし、私も私で今の状況を客観的に見るのなら、ルミの事を考えている余裕なんかない事は重々承知だ」


「それなら……何故?」


 面白そうだからに決まってるだろう?

 ……と、思わず本音が出そうになる私の感情をグッと堪える。


 怪訝な表情のまま、懐疑心を真っ向に出して尋ねて来るユニクスへと、そこで私は真剣な眼差しで反論した。


「ルミが、考えなしに行動するとは思えないからだ」


「……そ、そうですか?」


 あれ? 何か、ユニクスがもやっとした顔になったぞ?

 直後、ユニクスの表情を、そのまま言葉に表現するかの様にして、フラウが口を動かして来た。


「ルミ=興味だけで動く姫様……って感じが、私なりの客観的な感想なんだけど?」


 うぉぅ……ヤバイ。

 その通り過ぎて、反論出来ないや。


 しかしながら、それでも私は何とかルミを擁護する言葉を口にした。


「ああ見えて、ルミにも相応の知恵がある。まして、現況の私が危機に貧している事をルミだって知っているだろう? そうなれば、ルミなりに私を考えてくれている筈だ」


「……そうだと、良いんだけど……」


 フラウは今一つの反応だった。

 ルミって、何処まで信用無いんだろうねっ!


「……なるほど」


 他方のユニクスは、少し納得する態度を取った。

 そこから口を動かして来る。


「つまり、今のルミはリダ様を助ける方向で、独自に動いている……と、こうおっしゃりたいのですね?」


「その通りだ!」


 私はうんうんと頷いた。

 思い付きで話しているし、本音は単なる好奇心だったけど……実際の所、私なりに気掛かりな部分の一つでもある。


 ルミが、私の事を助ける余り……変に危ない橋を渡ってしまい、結果的に危険な行為に及んでしまっているのではないかと心配だったからだ。


 もちろん、ルミの事は信用しているし、ルゥも信頼に値すると思っている。


 だから、二人の事は大いに信用する気持ちはあるのだが……だからと言って心配しない訳ではないんだ。

 不確定な不安要素があるのなら、やっぱり消して置いた方が良い事に代わりはないんだ。


「……と、言う事で、ルミの調査を行う!」


 何となく大義名分染みていると言うより、こじつけにも近い事を言っている様にも思えるのだが、それでも押し切る形で私は言うと、


「……そ、そうですか」


 乗り気ではない物の、一応の相づちを打つユニクスに、


「私、帰って良い?」


 私はやる気がありませんと首から見えない看板でも下げていたかの様な面構えを見せるフラウが、今にも自室へと帰りそうな態度を見せていた。


 ……てか、もう足を動かしていた。


「おぉ~いっ! フラウ! お前も来てくれよっ! このままじゃ、私とユニクスの二人だけになっちゃうじゃないかっ!」


 緩やかに寮へと歩を進めていたフラウに、慌てて私は叫んで見せる。


「別に良いじゃないの……せっかくだから、そのまま二人で仲良くデートでもしてくれば?」


 いやいやいやっ!

 お前、正気かっっ!?


「フラウ……お前は、ほんっっっとぉぉぉぉに姉想いの良い子だよっ!」


 直後、感涙したユニクスが、依然として無気力の塊染みた表情のフラウを、背中から抱き締めていた。


 感情を動かすのも億劫になっていたろうフラウと、やたら情熱的に感涙していたユニクスと言う……実に対照的な構図が、意味もなく出来上がっていた。


「フラウの気持ちは、有りがたく貰うよ! そのエールに応えられる様に、お姉ちゃんはヤルよっ! ドンドンとリダ様を撃ち抜くよ! 主にリダ様のハートとヘソの下にあるその先を……」


「フラウから離れろ変態。これじゃ、爆発にフラウも巻き込んでしまう」

 

 完璧な色ボケ状態になっていたユニクスがいた所で、私は両手をワナワナと震わせてから言う。

  

 右手は、既に頭の中で紡がれていた魔導式のエネルギーで、軽くスパーク状態になっていた。


「はわわわっっ! そ、そんな、リダ様~! 大丈夫ですって! 痛いのは最初だけですって! 私は優しくも出来ますからっ!」


 誰もそんな事は聞いてないわっっ!


「ちょっ! リダ! 私まで爆破する気? 正気なのっ!? せめて爆破するのはユニクスお姉だけにしてよっっ!」


 超炎熱爆破魔法フレインダムドが、既に発動可能な状態になっているのを見て、フラウがしこたま焦って、私にがなり立てて来た。


「うぁっ! フラウ! 何を言い出すんだっ! こうなったら一蓮托生で良いじゃないかっ!」


「良くなぁ~いっ! 私は何も悪い事してないし! リダがお姉と自分達の分身作りしてても、私には関係ないし! てか、もう面倒だからリダはお姉ちゃんの子供作れば良いじゃないのっ!」


 ヨシッ! 良く言ったぁぁぁっ!


「誰が作るか! 二人まとめて吹き飛べぇぇっ!」


 ドォォォォォォンッッ!


 その後、二人は私の魔法によって見事に吹き飛んだのだった。  

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