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犯人探しの始まり【2】

 そんな、そこはかとなく黄昏ていた時、


「大丈夫ですリダ様。私としてはリダ様を狙うライバルが一人消えてホッとしている位ですよ!」


 ユニクスは快活な笑顔を満面に作って私に言う。

 もしかしたら、ユニクスなりに私を気遣って答えてくれているのかも知れないけど……冗談にしても頷けない台詞だぞ、それ……?


「理由は知らないけど、リダが思っている様な事はないと思うよ? だってルミだし? リダにいつも散々助けられてて、いつも何かの恩返しがしたいって常々言ってる様な相手だもの。きっと、何か深い事情があるんじゃないかって思う」


「……そうだと良いんだけど」


「そうに決まってるでしょ? てか、リダこそ……どうしてルミをそんなに信用出来ないのか、私的にはそっちの方が不思議だと思うんだけどなぁ」

 

 言ったフラウは、私を注意するかの様な目線で言う。


 …………。


 確かにそうだったな。


「すまん。確かにフラウの言った通りだ。私はもう少し信じる心を持つ必要があった見たいだ」


 答えた私は、フラウにニッと笑みを作った。

 フラウも笑みを作って見せる。


「そうそう。その位の考えで行こう? 私もさ? 最初は『薄情だなぁ……ルミって』とか思ってたけど、ユニクスお姉が、すぐにそれを否定して来てさ? それで目が覚めた感じ」


「って、余計な事を言うんじゃない!」


 笑みのまま答えたフラウに、すかさずユニクスが真っ赤な顔して叫んで来た。

 ……なるほど。


「やっぱり、ユニクスが一番ルミを信用していたって事か」


 何処か納得混じりになっていた私がいた所で、ユニクスが誤魔化し半分に反論して来た。


「リダ様っ! わ、私は、そんな……ルミの事をそこまで考えていたりする様な思考なんか、ないですからっっ!」


 顔を真っ赤にしながら、遮二無二騒いでみせる。


 ……ああ、あれか。

 これがツンデレと言うヤツか。


 どちらにせよ、自分が優しい人間って言う所を隠したがる傾向にあるユニクス。

 けれど、実は人一倍思い遣りがある上に、心配性だったりもする。

 そして、そんな自分を見せたくない。

 どうしても照れてしまうのだ。


 ユニクスって変なトコ、シャイだよな。

 私は、胸中でのみ苦笑いしてみせた。




     ○◎●◎○




 フラウが加わり、犯人の可能性があるだろう人物をリストアップする一連の作業も、かなり効率が良くなって来た。

 やっぱり、持つべき者は友達だな。

 

 フラウが優秀だと言う事もあり……翌日以降まで掛かると思われた作業は、その日の内に終了する事となって行く。


 これはこれで嬉しい誤算だ。

 しかし、本当の意味で言うのなら、これからが本番と言えた。


 入学者及び、他の学園からの転入生、ないし異動によってこの学園へと配属された職員等を洗いざらい調べた結果、リストアップされた人数は七名。


 思ったより絞られた気がする。

 まぁ、何処か見落としがあった場合は、またもや名簿に逆戻りする羽目になるかも知れないんだけどな?


 何にせよ、一応は犯人の目星も付いたと言う事で、今日の所は散会する形となった。


 翌日。


 普段通り学園に向かい、やはりいつも通りに授業を受け、特に差し支えない状況で放課後を迎える。


 至って平凡な日々の一頁とも言える状況を、本日もこなして来たと言う訳だ。

 強いて、いつもと違う事と言うのなら、昼休みにルミが中庭のベンチに現れなかったと言う事だろうか?


 一年の時までは、ほぼ毎日の様に中庭のベンチで一緒に昼食を取っていたのだが……ここ最近は、この行動が皆無と言っても良い。


 多分、フラウが言ってた新入生とやらの元に行っているのだろう。

 別段、気になる事はないと思うのだが……やっぱり、何処か寂しさを感じてしまうな。


 代わりと言うのも変な話しだが、フラウとユニクスの二人は私と一緒に昼食を取っていた。

 最近は、この二人と行動を共にする事が、かなり多くなった様な気がする。


 特にフラウとは、今回のクラス変えによって同じ組になった関係もあり、教室も一緒だ。

 これはルミも一緒だし、教室では良く顔を合わせているのだが……休憩になると、娘のルゥと二人で、やっぱり何処かに向かってしまう。


 ……う~ん。


 そんなに新入生と一緒にいるのが楽しいのだろうか?

 ふと、こんな事を考えてしまう私がいるのだが、フラウやユニクスが言う様に、何らかの目的があって、敢えてそうしている可能性も否めない。


 ああ見えて、結構頭の回転は早い方だ。

 それに、ルゥは人見知りこそする物の、それなりに冷静な判断をしっかりと取る事が出来る人間でもある。


 恐らく、私が今やるべき事は、二人を信じる事だろう。


 特に理由も根拠もない私だが、今は信じようと……心の中にいる自分に答えていた。

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