新学期の始まり【15】
「有利になる魔法?」
「そうだ。例えば、回復魔法や蘇生魔法を予め埋めて置くのさ」
そうする事で、特定のエリアに向かえば、私は回復する事が可能になる。
魔力の消費が高く、精神的な疲労に悩まされる事も考慮して、近くに回復アイテムを封入して置くと言うのも、良いアイディアかもな。
私やユニクスしか解く事の出来ないプロテクトを掛けて置けば、相手に盗られる心配も少ないだろう。
「つまり、落とし穴とかの様な、相手にダメージを与えるトラップを設置する訳ではないって事?」
「そんな所だ。飽くまで自己防衛を目的とした仕掛けを設置する」
「そっか……なるほどねぇ」
ここに来て、フラウは笑みを見せる。
「ふふっ! なんだかリダらしいね」
何を以て私らしいとするのか?
少し聞きたくなった私だが……そこは敢えて聞かない事にした。
何となくだが、凄まじく不本意な言葉がやって来そうで怖かったからだ。
何にせよ……だ。
「これで、少しは私も生存出来る可能性が上がってくれれば嬉しいんだがな」
「そうだね! 私も、リダが生き残れる様に、色々と助けるから……一緒に頑張ろう!」
現地に立ち、色々とアイテムの封入場所を見定めながら答えた私に、フラウは明朗快活な笑みを満面に向けて返答して見せた。
良い友達だと思う。
「まずは、葬祭場に連絡だねっ!」
やっぱり良くないっ!
「ふざけんなっ! 私は死なない! 絶対に死なない! 死んでやる物かっ! 絶対の絶対に生き延びてやるんだからなっっ!」
私のだみ声は、それなりの規模を誇る大きな公園内に大きく谺して行くのだった。
……かくして。
私は新学期早々に、前途多難な幕開けを迎えて行くのだった。
こんなんで良いのか?
良くないわっっ!
……と、心からの咆哮をかました所で、次回に続く!




