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新学期の始まり【11】

「ともかく、まずはリダ様の部屋に戻って、邪悪水晶へと前回の映像を映す事が出来るか試して見る所からやって見る事にしましょう」


 ……何度も言うけど、アインがくれた水晶は邪悪ではないからな。


「アインの水晶は邪悪ではないが……言いたい事は分かった。取り敢えず映像を見る事が出来るかどうかまでは分からないけど、やるだけの事はやってみようか」


 答えた私は、こうしてユニクスと二人で自室に戻った後、水晶球へとこないだの映像が見れないかアプローチして行くのだった。



 

    ●○◎○●




 自室に戻った私とユニクスは、早速机の上に飾ってある水晶を手にして見せる。


「相変わらず禍々しい水晶ですね……やはり、破壊して置きましょうか?」


 しれっとふざけた事を……しかも、真剣な顔して言うユニクス。

 どうしてもユニクスは、アインが私にくれた物はことごとく消去したいらしい。

 焼きもちから来ていたとしても、地味に重いぞ……。

 てか、レズの感情で物を言うんじゃないよっ!


「ふざけた事を言うなよ……それに、この水晶って全然壊れないんだぞ? 超炎熱爆破魔法フレインダムドの直撃喰らってもビクともしないんだからな?」


「なっ!? あの超魔法を直撃で受けても問題ないとは……や、やはりこの水晶は異常です! 即刻、封印するべきです!」


 何処までが本気で、何処までが冗談なのかわからない事を言ってるユニクスがいた。

 何にせよ、壊したら未来予測なのだろう映像を見る事が出来なくなってしまうじゃないか。


 思い、心の中で軽く正論を口にし、呆れと嘆息とを程よくミックスしたまま、水晶球を覗き込んだ。


 水晶球に反応はない。


 うーん……どうすれば良いのだろう?

 

「水晶球にお願いでもすれば良いんだろうか? 今朝、私に見せてくれた映像をもう一回見せて下さい……って感じで……」


 お願いすればすれば良いのか?

 ……と、答えようとした私だったが、言葉はそこで止まってしまった。


 その瞬間、水晶が私の声に反応したからだ。


「薄く光り始めましたね」


 私のてのひらの上で淡い水色の光を放つ水晶を見て、ユニクスは興味深そうな目を向けた。

 私としても、興味深いと言うか……不思議ではある。

 一体、どんな原理から光を放っているのだろう?


 無意識ながら、魔導的な原理を知りたくなる私がいたのだが、今はそんな事を考えている場合ではなかった。


 程なくして、


「……あ、何かの映像が浮かんで来ましたよ?」


 ユニクスが言った通り、水晶の中から映像が浮かび上がって来た。

 内容は、今朝の私が見た物と全く同じ。


「……うーん」


 私は微妙な顔になってしまった。

 分かっていた事とは言え、やっぱり自分が殺されるシーンを眺めても、余り気分が良い物ではないな。


 他方のユニクスは、映像をマジマジと見据える。

 まるで、この光景を目蓋まぶたに焼き付けてやろうと言わんばかりだ。


「……そんなにかじりつく程、興味がある物なのか?」

 

 人の死亡シーンが、そんなに面白いかねぇ……?


「茶化さないで下さい……私は、リダ様が死ぬシーンなんて本当は見たくないのです」


 心外を露にして言うユニクス。

 しかし、視線は水晶のままだ。

 一秒たりとも見逃さないぞと、顔では言っている。


 そうこうしている内に、映像が終わる。

 元々、そこまで長い映像ではなかった。


 ……そして。


「……っ!」


 最後……はらわたを撒き散らして絶命したのだろう私を見て、ユニクスの顔が強張った。

 これが単なる映像で、本当に起こった出来事ではないと分かっていても……それでも、目を背けたくなる映像である事に変わりはないからだ。


「……なるほど」


 映像を見終わり、ユニクスは顎に手を当てて考える。

 顔は、超が付く程に真剣その物だった。


「何かわかったか?」


「……そうですね。数点程の手掛かりは発見しましたが……それらを完璧に結びつけるには至ってないと言うのが、正直な所でしょうか……」


 え? もうそんなに見付けたのか?


「凄いな……私は、単純に殺されてしまうと言う事しか考えられなかったよ」


 私は肩をすくめて答えた。

 すると、ユニクスは苦笑して言う。


「仕方ありませんよ……なんと言っても自分が殺されているのですから、それなりに気が動転して、冷静かつ沈着な思考を働かせる事は難しいでしょうから」


 まぁ、確かにな……。

 朝起きて、いきなり脈絡もなくあんなのを見せられたら、大なり小なりのショックを受けるから、言いたい事は分からなくもない。

 私も、人の子と言う所だろうか。

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