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新学期の始まり【3】

 飽くまでも憶測の域を越える事が出来ないのが、なんとも歯痒いばかりだが……私なりに考えると、この推測が一番しっくり来るのだ。


 この水晶が無駄に堅牢で、超魔法の一撃すら簡単に防げてしまえるまでの頑強っぷりを見せるのは、この水晶その物が、私にとって有意義な魔導器マジックアイテムとして、末長く活用する事が出来たからではないかと考えた。


 そうであるのなら、色々と辻褄が合う。


 どう言う理屈なのかは知らないが、なんらかの技法を使う事でアインは私へと危険予知をさせる為に『予見』のスキルを封入させた、この不思議な水晶をプレゼントした。


 死んでも尚、私の未来を案じてくれたアインには、本当に本当に……切なくなる位に感謝したい。


 その強い想いを胸に、私はこの水晶を大切に扱おうと思う。

 ……思うのだが、だ?


 そうなると?……あの水晶が示した映像は、早々遠くもない未来に起きる私の末路である可能性が高い。


 現状の私からすれば、どう言う経緯を辿った末に、私が腸を撒き散らして死亡しないと行けないのか? 全く以て、皆目見当も付かない。


 ……全く、どうした物か。


「どうしたの、リダ? 朝から難しい顔なんかして」


 横から声が転がって来た。

 フラウの声だ。


 これまでフラウとは別のクラスであったのだが、二学年ではクラスメートとなる。


 二年になると、一学年の時に出た成績結果によってクラスの再編成が行われる為、現在のクラス……二年一組は、そのまま成績上位者ばかりが集まったクラスと言う事になる。


 この関係もあり、ルミも同じクラスだ。

 ルミも、概ね成績トップテンの辺りを行ったり来たりしていたからな。

 フラウの方は、私さえ居なければ万年首位状態の輝かしい成績を納めているので、ここは申し分なくこのクラスに編入されるだろうと、私も思っていた。


 他方、パラスは……まぁ、なんてか実技はまだ良いとして筆記が……なぁ。

 

 この学年では、残念ながら別のクラスになってしまった。

 これはこれで仕方ない事だろう……フラウの奴はかなり残念がっていたがな。


 それはさて置き。


 フラウに声を掛けられた私は、少しだけ苦笑混じりになって声を返した。


「実は、朝から変な物を見せられてな……」


「変な物? エロい何か?」


「どうしてお前は、そーゆー思考に傾くんだよ……」


 てか、どうして私が変な物を見ると答えたら、そう言う予想の斜め上を行く回答をしれっと出す事が出来るんだよ……?


 なんてか、地味に呆れてしまう私がいた所で、


「じゃあ、他に何があるって言うの?」


「他に考え付かないのかよ……」


 私の呆れ具合が、更に上がった。


「ちょっと……な? もしかしたら、これから危険な事が起こるかも知れないんだよ」


 真剣な眼差しで言う私がいた。

 これで、少しは空気も変わるだろう。


 フラウだって、アホの子と言う訳ではないだろうし……。


「え! 危険な位にエロいの!?」


 アホの子だったよっ!


「エロから離れろっ! 私は、そんな事なんか一言も口にしてないだろうっっ!」


「……じゃあ、どう危険だって言うの?」


 声高に捲し立てる私に、フラウは少しだけ口を尖らせて聞いて来た。

 この言葉に私は即行で答える。


「わからんっ!」


「分かんないのかいっ!」


 今度はフラウがダミ声を放った。

 そうな……言いたい事は分かるよ……うん。


 けど、分からない事は分からないんだ。


「なんて言うか、だ? 飽くまでも可能性の問題ではあるんだが、こうなるかも知れない結果だけを見せられて……その実、途中経過は全くの不明だったりするんだよ」


「??? どう言う事?」


 フラウは見事に謎のツボへとまっていた。

 分からなくもない……今の私も、似た様な物だからな。 


「私の部屋に、水晶球があるのは知ってるか?」


 言おうかどうかで少し悩んだが、私は現在の状況を説明する事にした。

 

「水晶球?……ああ、ユニクスお姉が、ハンマーで思いきり殴っても壊れなかったアレ?」


「って、ユニクスは人の私物に何してくれてるんだよ!」


 しれっと思い出す様に答えたフラウの言葉に、私はツッコミを入れずにはいられなかった。

 本当、何してくれてるんだと、心の底から絶叫してやりたいっ!


「……え? だって、あれ……凄く邪悪な水晶なんでしょう? ユニクスお姉が超絶真剣な顔で、熱く語ってたけど?」


「そうか……後でユニクスは爆発させて置く事にするよ」


「……? 違うの?」


「当たり前だっっ!」


 不思議極まる顔のフラウへと、私は即座に否定の叫び声を上げた。

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