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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第三編・編末オマケ短編
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こうして実技試験は鬼門となった【11】

「いくらリダでも、百人とか……体力持つの?」


 フラウは少し心配そうな顔になっていた。

 へぇ……。

 フラウでも、私の事をちゃんと心配してくれるのか。


 そう思うと、少しだけ嬉しくなるな。


 不意に口元を緩ませ、自然と笑みを作っていた私がいた所で、ユニクスが瞳をキラーン☆ と輝かせてから声を吐き出した。


「そうですよ! 如何にリダ様とは言え、多勢に無勢! 私もリダ様が心配でなりません!……ああ、リダ様の足が、腕が……その胸元が……多くの特待生からの猛攻に耐えないといけないのです……その事実に、私の思考は……気持ちは……はぁはぁ」


 ……いや、まて。

 後半は、確実に違う事を考えていたよな?


 私の顔が、自然と怪訝な物へと変化して行く中、地味に息を荒くしていたユニクスが、両手コブシをギュッ! と握りしめた状態で叫んだ!


「リダ様が綺麗な身体である今の内に! 私の愛情を注がせて下さいっ!」


「どう言う理屈だっっ!」


 ドォォォォォンッッッ!


 ユニクスは爆発した。

 相も変わらずな頭の造りに、怒りを通り越して呆れてしまう。

 本当……コイツの脳みそはどんな仕組みをしていると言うのだろうか?


「ああ! リダ様の愛が段々と病み付きに……」


 ……やばい。

 変な物を覚醒させてしまった気がする。


 私は背筋に悪寒感じ、当時に身の危険をも抱き始めた。

 取り合えず、悶絶しているユニクスは、恍惚の笑みでプスプスと頭から煙を上げながら倒れているので、そのままにして置こう。

 ……てか、地味に気持ち悪いんだが……?


「まぁ、あれだ。相手が百人と言っても、全員が超格下だからな。能力を判断すると言う目的もある。私としては全員と戦って見たいと言う興味もあるんだ」


 気を取り直す形で、私は視線をフラウに向けてから口を開いた。

 一応、これでも冒険者協会の会長だからな?

 未来の冒険者達の実力を直接実践で感じる事が出来ると言うのは、私の立場からしても実に興味深く……そして貴重だ。


 願わくば、これで私を越える様な、心身共に立派で強靭な冒険者が生まれる礎になればと思う。

 

「……そっか、やっぱりリダはリダなんだね」


 フラウはちょっとだけ苦笑する形で私に答えた。


「……? どう言う意味だ?」


「なんて言うかさ? ここでこうして一緒にいると忘れてしまいそうになるんだけど……やっぱり、リダは冒険者協会の会長で……ちゃんとみんなの事をしっかり考えてくれてるんだな……って」


「あはは! まぁ、そうな?」


 少し尊敬する感じの眼差しで答えたフラウに、私もやんわりと笑みを作ってから頷いてみせた。


 ……ただ、すこーしだけ気になる所がある。


「今年の生徒のレベルは、少し低くないか?」


 私的に言うのなら、少し物足りなさを感じる。

 しかも、これで特待生と言うのだから……ちょっと、な?


「そう? かなり能力の高い子も一杯いたよ?」


「……そうか?」


「うん! いたね!」


 フラウは自信を持って答えた。

 ……私の採点が辛すぎると言う事なんだろうか?


 うーん……けれど、能力的に言うのならフラウやルミ、パラスの方が格段も上だった気がするんだがなぁ……?


 こんな事を両腕を組みながら考えていた時だった。


「メイ・シールレン……って、子がいたんだけど。この子は凄かったよ」


 フラウはかなり真剣な顔になって答えていた。

 メイ・シールレン?


 ………うーん。


 ……なんだろう?


 何処かで聞いた事がある名前だ。


「これは嘘か本当かは知らないけど、噂だと拳聖の娘だったらしいよ?」


 拳聖……だと?


「ああああああっっっ!」


 私は思わず大声を上げてしまった。

 分かった! あのメイちゃんかっ!


「い、いきなりどうしたのっ!?」


 フラウはかなり驚いた顔して私を見た。

 ああ……そうなるのかも知れない。


 私としても、かなり昔の事過ぎて、思い出すのに時間が掛かってしまったからな。


 ……それと言うのもだ?


「メイって名前の子……私、知ってたぞ」


「え? そうなの?」


 私の言葉に、フラウはかなり意外そうな顔をしていた。

 私も私で、今は違うが、かなり意外だった。


 今から五年以上は前だったか?

 拳聖の村と呼ばれる小高い丘の上にあるのどかな農村に、私は冒険者のクエストを受注して、その村に向かう事になるんだ。


 その時に知り合った、十歳程度の少女。

 その子の名前がメイって名前だった。


 そうかぁ……メイちゃんがねぇ。


「私も歳を取る訳だ」


 私は思わず、感慨に浸ってしまった。

 

「どうでも良いけど、今のリダは十六歳なんだけどね?」


 ……あ、そうか。

 それはそれで面倒な話だな……とか、少しだけ思う私がいた。

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