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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第三編・編末オマケ短編
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こうして実技試験は鬼門となった【7】

「別に良いじゃないか? むしろ、お前は同性に愛情を抱く悪い癖がある。これが良いチャンスじゃないか」


 にんまりと笑って答えた私。

 私の本音を言うのであれば、眼前にいるガラの悪いクソガキは趣味ではない。

 ……つーか、お断りだ!


 ……が、しかし?


 良い感じでレズとくっついてくれると言うのであれば、私は他に言う事はない!


「リダさまぁ……それは幾ら何でもあんまりじゃないんですか……」


 ユニクスは陰鬱な顔して私に言った。

 もう、顔から見て分かる程の強烈な拒絶のオーラをぐぉぐぉ言わせていた。


 しかし、少年……ディゴは全く素知らぬ顔だ。

 ……うむ。

 ナイスな厚顔!


「なんだよ? 俺の魅力が分からないヤツなのか?」


 ああ、分からないね。


「それなら、今すぐに分からせてやるよ」


 その自信は、どこから来るんですかね?


 もう、ビックリするくらいにツッコミ所が満載だったディゴだったが、私は傍観を決め込んでいた。

 理由は実にシンプルだった。

 だって、面白そうなんだもん。


「別に、お前の魅力など知った事か……そんな事より、測定を済ませてサッサと消えろ」


 答えたユニクスは屹然とした態度でディゴを思いきり睨んだ。

 ……あ、本気で怒ってる。


 けれど、それでもディゴは全く気を害す事なく、平然とした面持ちで振る舞っていた。


「ああ、そうだったな?……で? これをどうすりゃ良いんだ?」


 ディゴは、答えてから軽く眼前にある鉄柱の様な物を示して見せる。


 ディゴが指した鉄柱は、半径五十センチ、高さ一メートル程度の鉄柱だ。

 簡素に言うのなら、小さな鉄の円柱って所か?


「特に大した事はしない。お前の好きな方法で、その円柱を叩けば良いだけだ。武器は何を使っても構わない」


 ディゴの質問に、ユニクスは事務的な口調で説明した。


 実際、そんな感じだな。

 これは、冒険者協会ではお馴染みの測定器だ。


 一見すると鉄の円柱に見えるが、実は稀少金属ミスリルで出来た、特殊な金属の円柱だ。

 よって、恐ろしく頑丈。

 この、とてつもなく頑丈な円柱へと衝撃を与える事で、その衝撃を数値化する訳だ。


「なるほど。方法はどんな方法でも良いんだな?」


「構わない。ただし物理攻撃だけだ。魔法による測定は他で行うので、ここでは純粋に物理攻撃力を測定する場所だと考えてほしい」


「そうかい……なら、賭けないか?」


「賭ける?」


 ディゴの申し出に、ユニクスの眉がピクリと跳ねた。

 正直、嫌な予感がする……って感じの顔をしてた。


 他方の私は、口元が緩みっぱなしだった。


「ああ、そうさ? もし、この測定でアンタの数値より俺の数値の方が高かった時は……俺の女になれ」


 おおおおっ!

 ほ、本当に面白いな、こいつ!


 でも、私には言わないでくれよ?

 言ったら、その頭を陥没させるからな?


「……お前はバカなのか?」


 ユニクスは嫌悪の塊染みた表情をアリアリと作りながら言う。


「バカで結構……俺は俺が思った事に忠実なだけさ」


 ディゴはニヒルな笑みを作ってから言ってた。

 多分、本人は格好付けて言ってるんだろうし……こんな事を言ってる俺、かっけぇっっ! とかって、勘違いしてるんだろうけど、私の視点からするのなら、普通にただのバカだった。


 そこから、ディゴは近くにあった模造刀の様な物を手に取ってみせる。

 今気付いたんだが、近くには円柱を叩く目的で用意された武器が結構あった。


 なるほど、これを自由に使って、打撃測定を行う様になっているのか。

 そんな事を軽く考えつつ、様子を見守る形を取った。


「……いくぜぇ?」


 模造刀を握ったディゴは、自信のある笑みを作りながらも、


 ドカァッッ!


 円柱を叩く。

 正確には、円柱に向かって斬り付けると言う形なんだろうが……そこはそれ、模造刀だ。

 殺傷力的な意味で言うのなら、ほぼ無いと述べて良い。


 但し、打撃的な意味だけで言うのなら、それ相応の力が加わっているだろう。

 この測定器もさ? 実践で、ちゃんと切れる武器で斬っている事を想定しての計算をした上で、数値を算出している。

 まぁ、高密度かつハイレベルな魔導器マジックアイテムって所だな。


 よって、模造刀であったとしても、ちゃんと数値的な物は実践で参考に出来るだけの数値が出て来る。


 その上で出た数値は、


「4458……か。まぁ、平均は越えているな」


 測定された数値を見て、ユニクスは冷静に数値を書き込んで行く。

 何もかもが事務的な行動をしていたユニクスを前に、ディゴが好戦的な瞳をギラギラさせてから口を動かした。


「次はアンタの番だ……さぁ、やって見ろ」


 ゴッッ!


 返事は鉄拳でやって来た。

 その瞬間……ユニクスの拳は、鉄柱のど真ん中に突き刺さった。


 ……そう。


 突き刺さったのだ。

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