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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第三編・編末オマケ短編
210/1397

こうして実技試験は鬼門となった【6】




     ●○◎○●




「……ふ、凄く恥ずかしかった」


 最終的に晒し者状態になっていた私は、魔力測定エリアから逃げ出す様にして離れた。

 ……後で聞いた話によると、魔力測定での平均値は、およそ千程度だと言う。


 仮に十万だとすると、平均値のおよそ百倍。


 けど、多分……その数値は、まだ未熟だった頃の数値だから、今は比較にもならない数値になっていると思うから……まぁ、えぇと、つまりだ?


「取り敢えず、測定ごときで爆発しない様な、堅牢な測定器にする必要があるって事だな」


 うん! そうだ! そうして置こう!


 私は深く考えない様にした。

 それより、次だな。


「うーんと……ここは?」


 見る限り、今度は物理的な攻撃を測定する場所の模様だが?


 そして、測定係はユニクスの模様だ。

 人だかりで良くは見えないが……ユニクスを中心に、あたかもエサに群がるハイエナの様に囲まれている所を見るに、あれはユニクスなんじゃないかなと予測出来る。


 見ると、群がるハイエナ……じゃなかった、周囲に立っているのは男ばかりだった。

 しかも、地味に鼻を伸ばしていると言うか、見とれている感じの男子が何人かいた。

 

 くそぅ……美人はやっぱり得してる気がする。

 その気になれば、学食のパンに困る事がないんじゃないかって言う程の人気振りだ。

 実際にユニクスがそんな事をするとは思えないが……やっぱり、何処か羨まし……い、いや! 羨ましくなんか、ないぞっ!


 ……ちょっとしかなっ!


「流石は美人のエリアは人気があるなぁ?……ユニクスさんよ?」


 私は皮肉めいた口調でユニクスに声を掛ける。

 ……くそぅ……リア充め。


 地味に根暗な思考を排出しながらも近付いて来た私に気付いたユニクスは、少し口元を引き釣らせて見せる。


「リ、リダ様……これは、純粋に記録の係員として計測を取っているだけなのですが……?」


 ユニクスは自分なりの主張をすると言うばかりに答えてみせる。

 確かに言いたい事は分かる。

 ユニクスは、純粋に自分の役割をやっているだけだ。


 けど……しかし、それでもだな?


「他のエリアは、こんな人だかりにはなってないからな?」


 今年の特待生は、話を聞く限りでおおむね百人。

 その内訳は、男が七に対して女性が三。

 まぁ、冒険者になりたい人間は、やっぱり男の方が断然多い訳で。


 つまり、約七十名程度の男性測定者が、この体育館にいる事になるのだが……その半数程度が、このエリアで渋滞している。

 多分、測定が終わっているヤツもいるだろう。

  

 しかし、それでもその場に留まっているのは……まぁ、動物園の人気動物と同じ様な要領なんだろう。

 あるいは人気アイドルとかな?

 ともかく、ユニクス目当てである事は間違いないだろう。


「他のエリアなんて、私は行ってないから分からないですし……偶然と言う事もあるとは思いますよ」


「そうか? どう考えても違うと思うんだけどなぁ……」


 何処か言い訳混じりの声を吐き出していたユニクスに、私が素朴な疑問をぶつけていた頃、


「ここが、打撃測定であってるか?」

 

 測定者と思われる男の声が聞こえた。

  

 うん? これはユニクスの仕事が正式に行われる感じだろうか?

 こんな事を言うのも変な表現だが……ユニクスの周囲にいる男連中を見てると、つい皮肉を言いたくなる私がいた。


「そうだ。ここで物理攻撃の打撃力を測定する。名前と番号を聞こうか?」


 測定者と思われる男……まぁ、男と言うより少年って感じだろうか?

 まぁ、当然と言えば当然か。

 今の私よりも一個下なんだからな。


 ただ、全体的に見てガラが悪い。

 なんてか……今時珍しいと言いたくなるまでに、社会へと反抗しているんじゃないかってまでの格好だ。

 こんなのでも特待生になれるんだな……。


「ディゴだ。ディゴ・エルグ。番号は……79だ。それよりアンタ……」

 

 そこまで答えると、少年……ディゴはニヤリと笑みを作ってからユニクスを見定めた。


 なんてか、嫌な目だった。

 私がそんな目を向けられたら背筋がうぞぞぞっ! って感じになる事、間違いなしだ。

 うぉ……気持ち悪いヤツだな。


 こんな事を、近くで傍観する形を取りながら考えていた時、ディゴが言って来た。


「すげぇ美人だな?……どうだい? 俺の女にならないか?」


 うん、無理!

 私は吐き気を感じた。

 ……感じたんだけど。


 お前の言う事には賛成してやる!

 そりゃもう、大絶賛だ!


「いいな、それ! 多いに結構!」


「良くないですからっ!」

 

 笑顔で肯定する私に、ユニクスはすかさず喚き声を上げた。

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