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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第三編・編末オマケ短編
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こうして実技試験は鬼門となった【3】

 正直、今の話を聞いて、今からでも断ってやろうかと言う気持ちで一杯になったが……しかしながら、アインの事では負い目もある。

 ここはしぶしぶながら、素直に頷いてやろうと考えた。


 こうして、私は来年の春に新入生として入学して来るのだろう特待生とやらの能力テストを受け持つ試験官をする事になって行くのだった。




    ●○◎○●




 二日後。


 私は、先生からの指示を受けて、学園の中にある体育館へとやって来る。

 やって来るんだが?


「なんでお前達もここにいる?」


 私はつまらない顔になって口を動かしていた。

 そんな私の前にいたのは、学内規定の体操服でもあるジャージを着込んだ、ユニクスとフラウの姿だ。

 見ると、ルミとルゥの二人もいる。


 余談だが、ルゥと言うのはルミの娘だ。

 

 イリ本編のネタバレになってしまうと言うか……こっちでも少しだけ出ては来ているんだが、スクルドと言う未来の女神が手違いを起こした事が原因で、彼女ルゥにとって過去でもあるこの世界へとやって来てしまったらしい。

 本来であるのなら、そのまま未来へと戻る予定だったんだが……まぁ、なんやかんやあってな?……今は、ルミと一緒に学園で生徒をしている。


 顔や体躯とかはルミとそっくりで、いかにもお姫様しているが、髪の毛や髪質とかは違う。

 完全なブロンドのルミとは違い、ルゥは赤毛だった。

 互いにサラサラしている感じなのだが、ルゥの髪質は見事にストレート。

 簡素に言うのなら猫っ毛とでも表現するのが良いのかな?


 一方のルミは、完全に艶のあるキメ細やかな髪だった。

 どっちにも一長一短あるが、お姫様らしさで行くと、少しだけルミの方に軍配が上がりそうだ。


 しかし、品の良さと言うか……王族特有の優雅さと言う意味では、圧倒的にルゥが勝っていた。


 まぁ……なんてか、だ?

 最初さ?……ルミにあった時、これがお姫様の気品なのか……と、驚かされたが、実は違うと言う事をルゥに教えられた。

 ルミの場合は、やっぱりそこかしこに親近感と言うか、私の性質に近い物があって、親しみやすい感じがあった。

 

 まぁ、純粋にじゃじゃ馬な所とか、世間知らずなお姫様で天然なトコとか……そう言うのもあったからな?

 

 しかし、ルゥにはない。

 世間知らずな所はあるが、まずじゃじゃ馬な所はないし……天然でもない。

 中々にしっかりしている所もあり、本当にルミの娘なのかと感心してしまう部分も多い。


 そして、何より上品だ。

 これこそ王族! って、感じだ!

 まさにキングオブキングスの貫禄を自然と醸し出して来る。

 

 あたしゃ……そう言う相手が苦手なんだよ……ルミ姫様と結構仲良くなれたから、私にもそう言うお上品なのに耐性が付いたのかなと思っていたけど、大きな間違いであると思い知らされたよ……。


 本物の上品なお姫様と言うのは、こう言う物なのかと……ね。


 ただ、城での生活が長かったルゥ姫様は、見事なコミュ障だ。

 話によると、城内で英才教育を叩き込まれたルゥは、根本的に今の年齢になるまで外へと出る事がほとんどなかったらしい。


 城内の人間や身内との会話は良くしていたらしいが、一般人と呼べる庶民と会話をする事は絶無にも等しかったらしい。

 お陰で、今でもルゥはルミにべったりだよ……他のメンバーもいるけど、目線を合わせ様ともしないよ……。

 こんなんで、ちゃんと学園生活を送って行けるんだろうか……?


 余計なお世話かもしれないが、妙な心配をしてしまう私がいた。


 ……まぁ、だけど、根本的にはルミがルゥを全面的にフォローしているから、今の所は大丈夫だろう……多分。


 そんなルゥもまた、ジャージに着替えてルミと一緒にいた。

 もちろんルミもジャージだ。


 …………。


 本当に、お前らは何がしたいんだよ?


「私達も、この試験の係を担当する事になったんだよ」


 嬉々として答えたのはルミだ。


 ……はぁ?


「なんでお前が、試験の係をやるんだよ?」


 つか、何を担当する気だ?

 まさか、実技担当って訳ではないだろう?


「筆記試験の担当かな? 学力テストも行うから、その監視もかねて、試験用紙を配ったり集めたりする役をする予定だよ」

  

「……ほー」

 

 それは珍しく殊勝な事をするな。


「あ、あの……私もマムと同じ役をする予定です」


 そこから、おずおずとルゥが私に答えて来た。

 やっぱり少し恥ずかしいのか? それとも人見知りが酷いだけなのか? ルミを壁にする形で私に答えていた。


「そうか。頑張れよ」


「は……はいっ!」


 当たり障りのない所で、軽くグッジョブして見た私に、ルゥは笑みで頷いていた。


 すると、ルミが少しだけ面白くない顔になっていた。


「なによーぅ。私には労いの言葉もないの? 親友がせっかくリダの実技試験の試験官を見に野次馬しようとしてるのにさ?」


「その台詞の何処に労いの言葉をかけろって言うんだっ!」


 口を尖らせて言うルミに、私は思いきりダミ声を浴びせてやった。

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