こうして実技試験は鬼門となった【1】
はてさて。
これは前にもあった事だが、今回もご多分に漏れないと言うか……まぁ、話が飛んでると言うか、別の物語で話が進んでしまったと言うか……そんな感じの内容になっている。
ちゃんと、他のシリーズも同じタイミングで公開されていれば、特に不自然な流れでもないのだが……こればかりは難しい!
前のページを見て貰えると分かるのだが、私達は再びニイガへと向かって行き、そこで様々なドラマを展開して行ったんだ。
ネタバレになるから、ここらはあんまり言いたくない……と言うか、リダ本編が無駄に先行しているから、もう未来予知状態になってる訳だ。
……って、この表現もどうよ!?
…………。
と、ともかく、だ?
例によって、他の本編……今回はイリ本編で色々あった為、こっちの方にも色々と反映されている。
これも三位一体小説の醍醐味って事で勘弁して貰えたらな、と思う。
そんな訳で、色々と変更点がいきなり起こっている部分は、状況に会わせて説明して行こうと思う。
……と、但し書きを入れた所で、編末短編に入ろうか。
それじゃ、話を始めるぞ?
●○◎○●
「……はい?」
私はポカンとした顔になった。
巨人の里からニイガへと向かい、それら一連の騒動が終わった所で冒アカに戻って来た私は、ある意味で日常に戻っていた。
正確に言うと、まだ少しだけ春休みが残っていたから、学園内にある寮でユニクスやフラウ辺りとカードゲームとかして遊んでたりしてたんだが、
「試験官ですか?」
私は眉を潜めて言う。
その日、寮の自室にいた私は何故か職員室からの呼び出しを受け、心の中で『な、何か仕出かしたか? 私?』と、妙な勘繰りをしつつ職員室に向かった。
まぁ……良かれ悪かれ問題児でもあると言う事は、多少なりとも自覚のあった私だ。
けれど、今回に限って言うのなら、特に何も問題を起こしてはいなかった筈なんだけどなぁ……?
でも、私も予測していなかった部分で、私絡みの問題とかあって……不本意な説教でも喰らうのかも知れないなぁ……とか考え、そこはかとなく身構える形を取っていた。
その先にあった話が、これだ。
「ああ……今度の特待生の実技試験の試験役を、是非ともリダさんにやって貰いたいとの話が来ている」
「……そ、そうですか」
なんで私がそんな面倒な事をしないといけないんだよ。
「これは、君にとっても良い話だと思うんだ。元々トップクラスの成績ではある君だが……反面で、内申点と言うか素行的な意味合いで言えば歴代ワーストレベルに低い。こんな生徒も珍しいと職員室で話題になってしまう程だ」
職員室にある自分の机前に座っていた教師は、軽やかに答えていた。
……言いたい事は分からないでもない。
確かに私は優等生にして問題のある生徒なのだろう。
成績関連で言うのなら、歴代でも最高クラスだったに違いない。
反面……寮の自室を超炎熱爆破魔法で吹き飛ばしたり……闘技場を全壊させたりと、悪い意味でもハチャメチャな事を平気でやっている。
普通の生徒なら、とっくに退学しててもおかしくはないだろう。
……一応、学園長クラスになっていれば、私の正体が何であるのかを知ってるだろうし、上手に協会が根回しとかもしているお陰で、まだこの学園に在籍していられる面もあるのかも知れない。
しかし、だ?
「君の内申点を考慮するのであれば、少しでも学園に貢献すると言う形を取って貰えると、こちら側も助かるんだけどねぇ……」
こうと言われると、何だか無性に腹立たしい。
要は、問題児だから、この程度の仕事ぐらいはして貰わないと困ると言いたいのだろう。
言ってる事は間違っていないのだが、どうにも素直に頷きたくない私がいるなぁ……。
「それで? 私は具体的にどんな事をすれば良いのですか?」
一応は内容に耳を傾けてみる。
正直、私は全然乗り気ではない。
むしろマイナスだっ!
しかし、全く聞く耳を持たないと言うのも大人気ない。
話くらいは聞いてやろうと言う考えだ。
もしも、この回答がふざけた内容であったのなら、会長の権限を使ってでも拒否してやろうと考えていた。
「そうだね? さっきも言ったかも知れないけど、主な活動内容は、試験官だね。ウチの学園に入学予定がほぼ決まっている、特待生の能力試験を担当して貰いたい……つまり、実技試験の相手をして欲しいと言う事だね」
ふむ、つまり新入生と戦え……と?
「なるほど、分かりました。コテンパンにしても良いと言う事ですね?」
「……い、いや……君が本気で戦った場合、教職員全員が束になったとしても勝てるかどうか怪しいからな……程々にして貰いたい」
「? 先生? その言い方だと、教職員の皆様が全員で戦えば、私に勝てると言う事になりますが……勝てるのですか?」
少し弱腰になっていた先生に、私は意外そうな顔になって言う。
こんな事を言うのは他でもない。
そろそろ、現実でも修行をしたいと思っていたからだ。




