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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第三編・最終章
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輝いた明日へ。ゴグゴグマの巨人【9】

「ほむ。こうなると、攻めるのは今が一番ベストになりそうですねぇ」


「そうですね……そこは私もそう思います」


 みかんの言葉に、ユニクスが素早く相づちを打った。

 実際、先行隊を完全に沈黙させた事で、こちらに大きく傾いている事は確かだ。

 そしてなにより、


「敵が現状を的確に把握出来てない今……陽が明けるより先に攻撃を開始すれば、あるいは目的を達成する事だって可能かも知れません……最終的な判断はリダ様に任せますが、私としては今が攻め時と判断します!」


 こうと答えたユニクスの言葉に、私も賛成だった。

 今なら、本陣にしても増援部隊にしても、どちらも先行隊が全滅したと言う事実を知らない。


 予測からすれば、まだ開戦すらしていないと言う考えであるに違いないのだから。

 そう考えるのなら、まさか本陣がいきなり急襲されるとは思わないだろう。

 まさに虚を突く奇襲作戦となりそうだ。


「ここは一気に本陣を叩く作戦と行こうかっ!」


 ヨシッ! 燃えて来たぞっ!

 思った私は、地図にあった場所……敵の本陣となるゴグ族の町に向かおうとする。

 ……が、しかし。


「ちょっと待つです」


 間もなくみかんに止められてしまう。

 ……なんだよ? 攻撃するって決めたんだろう?


「ここに来る前にも言ったかもですが、無作為のまま特攻を掛けるのは良くないです……全く、リダはイノシシか何かなのです?」


「……別にイノシシって訳じゃないけどさ? もう、作戦って言う程の事が必要とも思えないんだが?」


「……はぁ。全く……だからイノシシと言うのです?……良いです? 仮に、増援部隊が私達の予測以上の早さで先行隊が壊滅したのを知り……かつまた、本陣へと攻め込まれている事実に直面した場合、どうなると思うです?」


「そりゃ……急いで本陣を援護するんじゃないのか?」


「そうですねぇ……その調子でコッチに来てくれたのなら、まだ良いです。ただ、本陣が狙われている上で、敢えて本当に上陸する可能性だってあるのです」


「なん……だと?」


 みかんの言葉に、私は思わず戦慄を覚えた。


「そもそもです? どうして増援に三千もの兵がいるのかと言うと、地理的に挟み撃ちが可能だと言う利点と……もう一つ」


 そこで、みかんは真剣な顔になった。


「島サイドにいる主力部隊が本陣へと向かった時、海岸がガラ空きになるからなのです」


「………」


 私は無言になった。

 そうか……そうなるのか。


 つまり、本陣となるゴグの町に自軍が進軍すると、里とその周辺はノーマーク状態になる為、然したる苦労をする事なく、上陸する事が可能になる。

 逆に増援を先に倒そうと自軍を動かせば……当然、今度は本陣が動いて、ノーマークになっている海岸を通って上陸。


 結果は、増援部隊がノーマークで上陸するよりも酷い結果となってしまう訳で。


「……この陣形に、そんな画策が隠されていたとは……」


 私は思わずシリアスな顔になって呟いた。

 他方のみかんは地味に呆れていた。


「別に隠してはいないと思うです……てか、兵の数とその配置条件からすれば、その可能性だってスグに出て来るかもです」


 悪かったなっ!

 どうせ、私は策知らずだよっ!


「ここから作戦となるのですよ」


「……つまり、敵の二方作戦を打ち破る方法があると言う事か?」


「そ~ですねぇ。打ち破ると言うか、力で押してしまうと言うか……まぁ、そんな感じです」


 もはや、それは作戦と言えない気もするんだが?

 私の中に、超素朴な疑念が芽生えたのだが、敢えてそこは口にする事をしなかった。


「こっちの作戦は至ってシンプルです。向こうも両端で二つに分散して陣取っているのなら、コッチも二つに別れて叩くと言う方法です」


 確かにシンプルだった。

 目には目をってヤツだな。


「ただ、増援部隊はどう動くのか……今の所は不明瞭な所が大きいのです。リダの言う通り、本陣を助けに行くのか……それとも、敵の主力が本陣と戦っているどさくさに紛れて島を襲うのか……現時点ではどっちも同じ程度の確率なのです」


「ほうほう……つまり、可能性の問題って事か」


「そうなるです……そこで、ういういさんとユニクスさんは、増援部隊の方に向かって貰い、敵の動向を探って欲しいのです」


 なるほど、そう来たか。

 つまり、真っ直ぐ本陣へと増援しに行くのなら、それはそれでヨシ。

 しかし、増援が本陣をガン無視して島へと突入した時は……それをしっかり防衛して欲しい訳か。


「島を狙う様なら、必死でカバーして欲しいのです。敵が先行隊の全滅に全く気付かず、動く様子がないのなら、そのままにして欲しいです。下手に奇襲を掛ける真似はせず、なるべく時間を稼ぐのがベストですねぇ」


 軽くういういとユニクスの二人へと説明して行くみかんへ、


「OK、分かった。それで行こう」


 ういういは二つ返事で頷き、


「はい! リダ様もそれでよろしいでしょうか?」


 ユニクスも即座に快い返事をしてから、私へと同意を求めた。

 当然、私の言う事は決まっているだろう。


「ああ、頑張れ! くれぐれも、無理はするなよ!」


 私は真剣な顔を作りつつ……しかし、最後に笑顔を作った。

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