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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第三編・最終章
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輝いた明日へ。ゴグゴグマの巨人【3】

 ……これさぁ。

 もう、この攻撃だけで、敵部隊が全滅するんじゃないのか?


 私の視界に入る限り、もう屍しかなかった。

 それでも無慈悲に降り注ぐ闇色の矢が、無尽蔵に飛んで来ては地面に突き刺さって行く。


 私から見える倒れている兵士の数だけ見ても、既に数百人は戦闘不能状態で倒れていた。


 ……。


 なんだか、切なくなった。


 そして、思った。

 これが戦争か……と。


 こんなに一方的ではないかも知れない。

 しかし、おびただしい数の死体が、辺り一面に倒れているその光景は……どんな言葉を述べる事が正解なのか……私には分からなかった。


 私に分かる事は、ここが戦場であり……倒れている者達はこの戦闘に敗れた者達の末路であって……その数が膨大である事だけ。


 不意に涙が出た。


 これが、私のやりたい事だったのだろうか?

 これが、私の目指したい事だったのだろうか?


 敵であっても人間なのだ。

 家族だっている。

 恋人だっているだろう。


 それら様々な者が色々と絡み合っている人間が、バタバタと死んで行く。


 ……こんな世界が、果たしてあって良いのだろうか?


「……全ての存在が協和する世界を目指していた筈なのにな」


 私は思わず独りごちる。

 もちろん、この目的はまだまだ始まったばかり。

 当然、これからも続けるつもりだ。


 けれど、私はこの時……思った。


 この目的を達成する為に……どれだけの血が流れるのだろう?……と。


 きっと、これから先に交戦や衝突は当然の様に生まれると思う。

 ここだけが特別なんて有り得ない。


 果たして……その時の私は、またも敵対勢力を力でねじ伏せる選択肢を取ってしまうのだろうか?

 そして、今の様に戦地にしてしまうのだろうか?


 願わくば……そうならない方法を考えたい所だ。

 どんなに苦悩しても苦心しても構わないから、無血で周囲の全てを平和的に解決させたい。

 そんな仲介者ピースメーカーになれたらな……と、そう思えた。




   ▲○◎○▲




 戦闘は完全なワンサイドゲームだった。

 不幸中の幸いと言うか……みかんの矢は、当たると生気を吸われて、しばらくまともに動く事が出来ない効果があるだけで、死ぬまでには至らないと言う事だろうか?


 ……てか、それならそうと先に言えよ!

 てっきり、周囲にいる巨人の兵士が全部死体だと思って、メランコリーな気分になってしまったじゃないかっ!


 閑話休題。


 みかんが発動した漆黒宇宙ダークマターアローは、約十分に渡って降り注ぎ……先行隊としてキャンプに駐屯していた大多数の兵士を戦闘不能状態にしていた。

 もう、みかんだけで良かったんじゃ……?


 私は何もしてないし。


 ほぼ壊滅状態で……この調子なら、部隊は全滅扱いで撤退するだろう状況にある中、どうした物かと嘆息する私がいた。


 この世界における部隊の場合、全体の約六~七割が致命的損傷または戦闘不能者が現れた場合、基本的には全滅したと見なされ、部隊は撤退して行く。


 ちなみに、本当の意味で全滅した場合は殲滅せんめつとなる。

 文字通り、部隊に存在している全ての兵士が死亡した場合を指す訳だ。


 今回の場合、全滅処置が取られて部隊は否応なしに撤退の選択肢を選ばざる得ない……と、こうなると私は予測していた。


 ……しかし、私の予測は見事に外れた。


 完全に壊滅してる状況の中にあって、それでも徹底抗戦の意思を持つ兵士が存在していたのだ。


 漆黒宇宙ダークマターアローの攻撃を凌いだ一部の部隊……恐らく百人程度は、ほぼ無傷のまま私達の前に現れる。


「ほむ、ここまでは予定通りに行ってますねぇ」


 それら一連の流れを見て、みかんは納得半分の声音を吐き出していた。

 ……なるほど。


「つまり、ここからが本当の戦いと言う訳か」


「ま、そうなるです~」


 独りごちる様に呟いた私の言葉に、みかんが軽く返事をして来た。

   

「あれが、この部隊の中心……と言うか精鋭ですねぇ。こっからは、本気でやらないとコッチが死ぬです」


 答えたみかんは、


 スーパー攻撃力上昇魔法オフェンスアップレベル99!  


 スーパー防御力上昇魔法ディフェンスアップレベル99!


 スーパー身体能力上昇魔法スピードアップレベル99!


 一瞬で補助魔法を発動させる。


 同時に私とみかんの能力が超アップした。


 敵の部隊が攻撃を開始して来たのは、ここから間もなくの事だった。


「さぁ……正念場ですよ! 頑張りましょ~っ!」


「やってやろうじゃないかっ!」


 敵の部隊がこちらに向かって来る中……私とみかんの二人も、敵陣の中へと突っ込んで行くのだった。

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