ギガンテス族長との戦い【13】
……うむ。
どうやら私はお邪魔な様だ。
兄弟水入らずの中に入るのは野暮って物だ。
思い、私は軽く二、三の会話をしてから、それとなく二人の前から離れた。
パラスもアウロスと久しぶりに話したい事が山ほどあるだろうし、これからやるべき事を考えるのなら、今ぐらいはまったりと家族との会話を楽しみたい事だろう。
……さて。
これからどうなる事やら。
余談だが、里を裏切った内通者としてギガンテスの族長は一時、投獄される事になった。
今後は、ゴク族とゴグマ族との聖地を巡る戦いが終わった後に、ギガンテスの族長への処置が正式に決まって行くとの事だった。
私なら死刑だな。
こんなのを生かして置いても、里にとって百害あって一理なしだ。
……とは言え、曲がりなりにも里の族長をしていた訳だし……ゴク族とゴグマ族の軍門に下る事で、なんとか滅亡だけは避けたいと言う考えもあったのだろうから、そこらの酌量を見てしまう可能性もある。
アウロスさんはお人好しだからな?
人間としては最高なんだけど、こう言う所の甘さは……まぁ、もう少しは変えても良いんじゃいかなとは思う。
けど、これは巨人族の問題だ。
私がここでヤツに処刑を言い渡すのは筋違いでもある。
治外法権の逆と言うか……私が断罪する権利はないと言うか、とかくそんな所だ。
それにだ? 私の目的はこんな小物に罰を与える事ではない。
何より最重点として置かないと行けないのは、これからやって来る脅威だ。
里のみんなに与えられた時間は……十日。
この十日で、最低でも防壁を完成させ、里の守りを少しでも堅牢な物にして置きたい。
可能であるのなら、アチコチにトラップ等も設置して、敵の侵入を鈍らせたい所だ。
まぁ、この辺については、私も色々とアテがある。
今回は全くの偶然なんだろうが、みかんが居てくれて助かった。
あいつの反則的な魔法は、確実に防御壁の建設に多大なる貢献をしてくれるだろうし、何より魔導トラップの類いも色々と作り出す事が出来る。
いつぞや……みかんが作った魔導トラップに、散々な目に遭った事がある私……まぁ、若かりし頃にあった、セピア色の思い出だな?
……いや、灰色だったかも……?
…………。
な、何にせよ、だ?
「よーしっ! 今日の所はしっかり鋭気を養って、ばっちり明日に備えるぞっ!」
……って、事で!
今日の私は呑むぞぉぉぉぉぉっ!
本当は、これの為に来たって言っても過言じゃなかったんだ!
下手したら、最初で最後になるかもしれない晩餐を、私は素直に楽しんで行くのだった。
以下、次回!




