ギガンテス族長との戦い【3】
「……な、なんてヤツだ……味方を爆破しやがったぞ」
「ひでぇ……しかも、なんだ……あの魔法は……?」
「わ、わからない……さっきの爆破された女が一発でやられるような凄い威力だと言う事だけしか……」
ユニクスが爆発した事で、周囲にいた兵士に新たなる戦慄が走る。
……いや、大した事はしてないんだがなぁ……。
「どーでも良いけど、今のでユニクスお姉、戦闘不能になっちゃってるんだけど……?」
程なくして、フラウが素朴な台詞を私に呟いて来た。
「そ、そうだな……えぇと……おのれ巨人! 私の大事な変態を倒してくれるとは!」
「……やったのリダじゃない」
フラウがジト目で私を見て来たけど、敢えて目を会わす事をやめた。
なんか、私に非がある見たいな態度されてるけど、私よりアッチの変態を責めろよ?
公衆の面前で堂々とレズ発言してたんだぞ?
しかも、私を思いきり巻き込んで来たんだぞ!
もう、これは爆発しても文句言えないだろっ!
「大丈夫だフラウ。ユニクスの仇はちゃんと私が取る」
「……だったら、自分に超炎熱爆破魔法でも掛けると良いんじゃないの?」
軽く酷い事言うなぁ……フラウさんよ。
「まぁ、良いや……もうこの屋敷を守っていた警護の兵士も、完全に戦意喪失してる見たいだし? ちょっとユニクスお姉を回復しに行って来る」
言うなり、フラウは兵士の合間を抜けて、真っ黒焦げになっていたユニクスに、
治療魔法
回復魔法を発動させた。
両手には、冬休みの里帰りの時に行った五大池の迷宮……カグのダンジョンでういういから貰った世界樹の杖が握られている。
攻撃魔法主体の魔導師であっても、魔力があれば装備しているだけで回復魔法を習得する事が可能になる特殊な杖だ。
何回も使い、熟練度を上げると復活魔法だって使用可能になる。
この杖の効果もあり、ユニクスはたちまち復活して見せる。
「……その杖、凄いね。ちょっと驚いたわ」
「出来れば、私の実力を誉めて欲しい所だけど……そうだね。この杖のお陰かな? あははっ!」
超速で回復したユニクスは、やや驚いた顔になってフラウの杖をマジマジと見ていた中、フラウは苦笑混じりに笑っていた。
……さて。
「まぁ、威嚇としては十分な効果があったろう? そこの兵士達。悪い事は言わないから、ここを通してくれないか? さっきから何回も言ってるが、私達は戦いをしにここへとやって来たんじゃない。話し合いをしに来ただけだ。おとなしくしているのなら、こっちから危害を加える事は一切行わないと約束する」
私は真剣な表情を力一杯作った状態で、周囲にいた者達へと語り掛けた。
「そ、そうだ……この方のおっしゃる通り! 何よりこの方達は、本当なら我々を救う救世主であり……この里に新しい息吹を与える新時代の覇者でもあるのだ!」
覇者って……オイ。
ワンテンポ置く形で、ブランダーが賛同する。
……でも、やや持ち上げ方がおかしい。
方向性は似てるんだけど……確実になんか違う。
「おお! ブランダー! 貴方もリダ様の素晴らしさに気付いたのか! それは小さい様で大きな一歩だっ!」
微妙な顔してた私がいた所で、ユニクスが熱烈な覇気を見せて、全面的にブランダーの言葉を絶賛する。
……なんだろう? 確実に怪しい空気が生まれている気がする。
「兄貴だけじゃない! 俺もリダさん……いや、リダ様の懐の深さに感銘を受けている!」
すかさず会話の中に入って来たコーモランがいた。
いや、入って来るなよ……面倒なヤツだな。
「そうか! そうだったのか! ならば今日から私達は兄妹だ!」
さりげなく自分を妹にしていた。
雰囲気からしたら、ユニクスが姉の立ち位置だったけど、わざわざ妹になっていた。
きっと、年齢的に自分が一番若いと言う部分をアピールしたかったのだろう。
スゴく意味のないアピールに見えたのは、私だけではあるまい。
「おお! なろうではないかっ! 兄妹としての絆を、今から俺は生涯大事にしよう!」
「いや、待て兄貴っ! 兄妹と言う事は、結婚は出来ない事になる! 血は繋がっていなくても兄妹とか……近親ピーな関係になってしまうんだぞ!」
思いきり感化されまくっていたブランダーが、熱くたぎる魂の勢いのまま頷いていた所で、コーモランが止めに入った。
止めるのは勝手だが……今、軽く伏せ字ギリギリな台詞を言ってなかったか?
てか、ピーってお前な……?
「は? 何言ってるんだ、コーモラン?」
ブランダーは不思議そうな顔になっていた。
ヤツの意思とは別のベクトルを含んでいるが、私も何を言ってるのだろうとは思った。




