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巨人の英雄・ブロンの試練【1】

 里を救う為にやって来たは良いが、当の本人達から邪険にされまくると言う、もう帰りたい思考ばかりが何歩も先行く気持ちを胸に別宅へと案内された私達は、おおよその予測を一切裏切らないお粗末スペシャルな掘っ立て小屋で一夜を過ごす羽目になって行くのだった。


「……朝か」


 一応、ちゃんとベットらしい物があったのだけが幸いと言った所か?

 やや年季が入っている物の、ちゃんとした布で覆われているベットっぽい所で睡眠を取った私は、朝日のカクテル光線が顔に当たった事で目を開いて見せる。


 他方のメンバーも、今の私と大体同じ様な環境で眠っていた。


 見る限り、誰も危害を受けた者はいなさそうだ。


 コーモランが兄貴と呼んでいた巨人が、上手に族長へと話しをしてくれたのだろうか?

 もしそうであるのなら、ちゃんとお礼を言わないといけないな。

 ついでに名前も聞いて置こう。

 兄貴とか、コーモランが兄貴と呼んでいる男とか……そんな感じの言い回しを、いつまでも続けている訳にも行かないしなぁ……なにより面倒だし。


 けど、兄貴でも良いのかな? これだと簡単だ。


 ……と、素朴な事で思考を張り巡らせていた時、ユニクスが私の前へとやって来た。


「おはようございます、リダ様。昨日は良く眠れましたか?」


「おはよう。良くは寝れたぞ? 寝心地は良くなかったけどな?」


「そうですか。まずはちゃんと睡眠を取る事が出来て、良かったと申しておきましょうか」


「そうだな」


 ユニクスの言葉に、私はちょっと苦笑してみせた。

 そんな他愛ない会話を楽しんでいると、みかんとういういの二人もやって来る。


「おはよう、リダとユニクス」


 先にういういが挨拶をして来た。

 コンビだからなのかも知れないが、この二人はいつも一緒にいる様な気がする。

 まぁ、単なる偶然って可能性もある事はあるんだがな?


「おはよ~です。とりま、何事もなく、無事に朝が来ましたねぇ」


 みかんは、私やユニクスへと軽く挨拶をしてから、自分なりの考えを口にした。

 ここらは、私もおおむね同じ事を考えていた。

 パラスは里に入るなり投獄だったし、私ら人間を拒絶していたかの様な状況でもあったから、夜中に寝込みを襲う位の事は予測の範疇として、私の思考の片隅に残っていた。


 この考えは、未だ思考の片隅にこびりつく形で残っている。


 説得するにしても、このまま帰るにしても、この島にいる間は最大限の用心をしておいた方が無難に感じた。


「みかんさん、ういういさんおはようございます。そうですね、私もそう思います」


 挨拶をしてきたみかんに、ユニクスは挨拶を返してから頷きを返した。

 続けて口を動かす。


「参考までに聞きたいのですが、みかんさん達はこれからどうするつもりですか? この調子だと、貴女達が目的としているダンジョンには入れそうな雰囲気ではない模様ですが……?」


「そうですねぇ~。結構な絶望感はあるかもです」


 ユニクスの問いかけに、みかんはちょっとだけ困った顔になり、


「ま、ほらさ? 最悪夜中に忍び込むとかあるじゃん?」


 ういういは得意気に語っていた。

 それだと、もはや犯罪な気がする。


「まぁ、別にこんな法律とか無さそうなエリアなら、それやっても裁判沙汰にはならないかもですが、やっぱり人間として、それはやりたくはなくですねぇ」

  

「なんだよ? お高く止まるなよ。良いじゃん? どーせ、こんな秘境のダンジョンなんか、誰も来ないんだろうし? 十年すれば全部元に戻るんだからさ?」


 だからって遺跡荒し染みた真似をしても良いと言う理屈にはならんだろうよ……。


「せめて、原住民がいるダンジョンなら、そいつらの許可くらい取れよ……」


 この調子だと、本気で忍び込んででもダンジョン攻略しかねないういういに、私は呆れ眼でぼやきをいれた。


 ガチャ……


 そこで、掘っ立て小屋のドアが開いた。

 開けたのは、


「ああ、兄貴か」


「俺は貴様の兄貴になった覚えはないが?」


 外からやって来た、コーモランが兄貴と言っていたヤツが部屋の中に入って来た。


 ああ、コイツにはまずお礼を言わないとな。

 ついでに大切な事を聞かないといけない。


「まずは、寝れる所を準備してくれた事に感謝する。ありがとう」


「大した事じゃない。気にするな」


「……で、一つ確かめたい事がある。これはかなり重要だ」


 真剣な顔になった兄貴を前に、私は言った。

 ここはきちんとして置かないと行けない……そう思った私は、いつになく神妙な顔になっていた。


「……何だ?」


 真剣な顔になって尋ねて来た私をみて、兄貴も真剣な顔になる。

 心なしか? 緊迫感のある空気が生まれていた時、私は真剣な顔を崩す事なく聞いて見せた。


「名前を教えてくれないか?」  

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