【6】
その類い希なる能力はまさに伝説を作るとされ、その実力を称賛する上でこう呼ばれた。
Legend・Rank……と。
つまり、伝説のランクだ。
頭文字を取っているので、Lランクと言う表示になる。
これも三段階に分かれており、L-・L・L+で、これら三つをL帯と言う。
正直、そうそうお目に掛かる事の出来ないランクなのだが……昨今においては、世界規模だと何人かいる。
ほんの数年前までは世界に一人いるかいないかだったんだが、世界ってのは広く、後々になって相応と思われる実力者達が、このランクに加わっていた。
世界ってのは、本当に広いよな。
「ハッキリ言うぞ? お前は小山の大将に過ぎない。世界は広い。驚く程の実力者もたくさんいる。ちょっと強くなった位で有頂天になってる様ではまだまだ人間初段だ!」
「………はい」
あ、へこんだ。
「ち、ちがうぞ! お前は強くはなったぞ? そこは素直に喜んでいいんだ! ただ、その強さに胡座をかいたらダメだぞと、言う意味だ」
「胡座をかく気はありませんでしたが、有頂天にはなっておりました。以後、気をつけます」
うむ、良い返事だ!
………うん? 良い返事過ぎるな?
「なんだ、ペッタン子? さっきから随分と素直だな?」
「そりゃ……総合協同組合の総本山である冒険者協会の会長様に変な口、聞けませんよ」
「そこは忘れて!」
うっかりしてたんだよ!
ただ、ペッタン子の言いたい事は分かる。
それだけ、この協会は無駄にデカい!
ギルドを知ってるヤツは結構いるかも知れない。
職業組合の事だな。
例えば、戦士とか魔導師とか魔法戦士とか、まぁ雑多にあるわな?
これら組合を一つに纏めた協同組合が各国にあるんだが、この協同組合を世界規模で纏めた総合協同組合ってのがある。
それで、この総合協同組合は、我が冒険者協会の一部でもある。
色々な物が完全に統一して出来たのが、世界冒険者協会と言う訳だ。
わけなんだが……。
「す、すまない……そ、そこは色々あって秘密にしないといけないんだ」
そして、自分でバラす私は世界屈指の大馬鹿者だ!
「お忍びなのですか?」
「簡単に言うとな……あと、私に関わらない方が良い。死にたくなければな」
「………」
絶句したか。
顔も青くなって、俯いてる。
許せ、ペッタン子。
本当は私もお前と仲良くしたいんだ。
しかし、お前は未来の希望だ。
今は小さな力でも、未来は誰よりも輝く一番星になれる。
その力を、ここで消す分けには行かない。
「じゃあな。もう私と関わる事はないと思うが、努力はして置くんだ。いつか、私と一緒に戦ってくれる事を切望して置く」
私は言い、ペッタン子から背を向けた。
「待って下さい!」
……なんだよ?
せっかく、格好良く決めたのに。
「私も、師匠に付いて行きます!」
「勝手に私の弟子になるんじゃないよ!」
お前は何処のお姫様だよ!
なんなの? 私の周りは弟子の志願者ばっかなの?
「じゃあ、会長と御呼びしますが?」
言って、ペッタン子はニィ……と不敵な笑みを作る。
つまり、こうだ。
弟子にしないと、バラす。
「………」
いや~な汗が出たね。
もう、なんか現実逃避したくなって来たね!
「分かった。弟子と言うか、色々と冒険者として必要な技術なんかは教えてやる。教えてやるから、せめて私の事はリダと名前で呼んでくれ!」
「わかりました! リダ会長!」
「会長言うな、ペッタン子ぉっ!」
「ペッタン子も言うなぁ!」
かくして、ペッタン子改めフラウは、私の教え子と言う事になった。
以下、次回!




