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巨人の里・カウル【8】

「うむぅ……なるほどねぇ……」


 パラスの心境を知り、私はそこで腕組みして考えた。

 人と巨人との共存。

 それは私にとっても願ったり叶ったりだ。


 最終的には全ての存在、あらゆる概念との共存・共有を図る事を目的としている。


 そんな私なりの目的を考慮するのなら、巨人だけで頓挫していたら話にならない。

 ここは一肌脱がないと行けない所だな。


「里の巨人はどうして排他的になってしまうんだ?」


 まずは聞いて見た。

 思うに、巨人以外の存在が複数人入ってしまう事は、聖地を汚す事になるからではないかと予測する。


「俺たちの里では、人間が俺達の聖地に入ると災いを呼ぶとされている。人間は貪欲で、己の得になる事ばかり考える為、いずれ里を島ごと自分の物にしてしまうと言う風潮がある」


「なるほど、そう来たか」


 どうやら、私の予測していたのとは少し違うみたいだ。

 宗教的な意味合いがある訳ではなく、根本的に人間の欲深さが素因だったのか。


 けど、まぁ……パラスの言ってる事は、当たらずとも遠からずだな。

 貪欲な人間は確かにいるし、あの島を観光地にしたいと考える人間が出て来ても何もおかしくはない。


 それに、顔を見ただけでどんな人間であるかなど、普通は分かり様がない。

 これら諸々を加味するのなら、最初から全ての人間をシャットアウトすれば、それで問題は解決してしまうのだろう。

 別段、自給自足でやって行けるのであれば、外部からの助けなど全く必要ない。


 ……だが、だ?


「それだと、いつかは大陸に住んでる者の能力が島の巨人を上回って……最後は淘汰されてしまうかも知れない。それでは本末転倒だ」


「……そうかもな。実際、俺の地元は原始的な生活を当然の様にやっている。魔法も一部の簡単な物しか使えない。戦闘的な能力以前に、文明レベルに大きな差が生まれている」


 ……うむぅ。

 ちょいとばかり危険な香りもしなくはないな。


「これは俺の予測に過ぎないが……このまま行けば、里はゴグ族とゴグマ族の末裔によって制圧されてしまう」


 まぁ、可能性はあるな。

 むしろ、今の今まで、良くもっていた物だと感心している位だ。


「最初、俺は島の暮らしに疑問を持ち……そして、外の世界を見てみたくなった。当時の俺は人間など巨人の敵ではないとバカにしていた……まぁ、何も知らない世間知らずのクソガキだったのさ……が、家を飛び出す勢いで外の世界……大陸に出て、世の中の広さを知った。俺は自分の想像以上にちっぽけな存在だった」


 言い、パラスは苦笑した。

 少しだけ大人になった……そんな表現をしたくなる様な、落ち着きのある態度を見せていた。


「そんなある日の事だ。俺は里が窮地に立たされれいると言う話を風の噂で聞いたんだ」


「それが、今回の話か?」


「そうなる。元々は己の好奇心から家を飛び出して来た身ではあったが、決して里の仲間を嫌っていた訳ではないからな? いずれは里に戻って、この島を今まで以上に繁栄させたいと本気で思っている」


 かなり真剣に言って来た。

 この気迫だけでも、パラスの真意がひしひし伝わって来た。

 

「だから……今回の噂が真実であるのなら、俺は里に戻って二人の族長と話し合いをしなければならない」

 

「二人? 一人じゃないのか?」


「いや、この島にはティタン族とギガンテス族の部族がそれぞれ協栄する形で住んでいる。元々は兄弟の様な部族だから、境界線もなく部族間での婚姻なんかもザラだ……ただ、名目上は別の部族である為に族長はそれぞれ別に存在しているんだ」


「なるほど……地味に複雑なんだな」


「慣れれば、それが普通になる物なのさ」


 そう言う物なのかねぇ。

 私は穏やかに説明をして来るパラスに、一応の相づちを打って見せた。


 そんな時だ。


「見て! 島が見えて来たよ!」


 フラウが指を差して叫んだ。

 やや、緊迫した空気が続いていた中、その空気をアッサリ掻き消してしまうかの様な能天気な声音を軽やかに吐き出す。


 そこかしこに、観光気分でいるんだろうなぁ……とか、内心でぼやき口調になる私がいたが、


「おお、本当だ! てか、デッカイなっ!」


 変に空気を重くしてしまうのも、それはそれでNGだろう。

 ここは、フラウに話を合わせてみる位が良いのかも知れない。


 思った私は、水平線の彼方から見えて来た巨人の里……カウル島を快活な笑みで見据えながら口を開いた。


 ……てか、本当に大きいな!

 小大陸は言い過ぎだとしても、小国の国面積程度はあるんじゃないのか?


「大きさ的に言うと、カントー帝国の半分程度だと思う。ちょっとした島国位の大きさはあるんじゃないか?」


 パラスは少しだけ誇らしそうに私達へと答えた。

 あれが、元々は一体の巨人だったと言うのか?

 神話の世界にあるおとぎ話ではあるんだが……真実であったら、ハチャメチャにでっかい巨人だったんだろうなぁ……。 


 そんな事を胸中で考えつつ、私は徐々に大きくなる島を見つめた。

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