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巨人の里・カウル【6】

 変な二人は空から降って来ては、何故かバラバラになっている丸太とセットで落ちて来て、


 ドッポォォォォンッ!


 眼前にあった海へと、ド派手な飛び込みをしていた。


 ……何がしたいんだ? アイツらは?


 しばらくすると、二人は必死の形相になって海から泳いで海岸……つまり、私達の真ん前にやって来ていた。


「はぁはぁ……ああ、酷い目にあった」


 肩で荒々しい息を吐いていたリンゴホッペの女は、ビショビショの状態で嘆息混じりに声を出していた。


「ぐむむむっ! ちょっと火力が足りなかったです~」


 いや、足りないのはお前らのオツムだよ……。

 もはや謎発言をしていたのは、足りない頭をマッシュルームの形にしていたキノコ頭の女。


 ういういとみかんの二人だ。


 何で、お前らは空から飛んで来るんだよ……?


「およ? リダじゃないですか? それにフラウさんやユニクスさんまで」


 唖然と呆れを程よくミックスした顔の私がいる中、みかんは私達の存在を見つけた事で、やんわりと笑みを作りながら声を描けて来た。


「一人、見た事ない男がいるな? 取り敢えず、よろしく」


 他方のういういも、パラスを見掛けた事ではじめましてチックな挨拶をすると、地味にフラウがういういを威嚇していた。

 お前は何処の番犬だ?


「所で……お前らは、どうして空から降って来たんだ? 新しい遊びでもやってたのか?」


「違うです。ちょっと海を越えるのに砲台を使ってジャンプしようとしたら、火力が少なくて手前で落っこちてしまったです」


「そうそう! カウルの島行きの船が無くてさ? 仕方ないから違う方法で島を渡ろうとしてさ? そしたらみかんが『丘に魔法で砲台を作ってからその上にイカダを乗せて、砲台の勢いで向こう岸まで行きますか~』とか言って来たから、面白そうだと思って話に乗ったら……こうなった」


「バカなのっ!」


 みかんとういういの説明を聞いて、私は思わずツッコミを入れた。

 本当に……ちょっと考えたらすぐに分かる事だろうに。


「まぁ、お前らがバカだって事だけは分かった」


 私は額に人差し指を当てた状態で二人へと答える。

 そもそも、だ?


「お前ら……と言うか、みかんがいるのなら魔法の絨毯じゅうたんとか使えば一つ飛びだろ? どうして絨毯使って飛んで行かなかったんだよ?」


「あああっ! 本当です! なんてこったい!」


「……忘れてたぜ」


「バカなの!」


 本気で今気付いた様な態度の二人を見て、私は再び痛烈なツッコミを入れた。


「どうして今まで気付かなかったんでしょ~? 目からウロコです!」


 本当にどうして気付かなかったのか、コッチが聞きたいぞ?

 みかんはナイスアイディアと言わんばかりに瞳をキラキラしていた。


「そうだな! よし、これでアトラスの秘宝を取りに行ける!」


 お前は相変わらず、金しか見てないのな?

 ういういもまた、未開の地へと新たな闘志……と言うか、物欲を燃やしていた。


 結構、長い付き合いではあるんだが、ここまで性格が変わらない連中も珍しい。

 進歩がないと言うか、成長しないと言うか……。


「そ~言えば、リダ達はここで何してたです?」


「観光で海岸にでも来てたのか?」


 まぁ、半分は旅行でもあるんだがな?

 ……うん? 待てよ?


「なぁ、みかんやういういは、この先にある巨人の里に行く予定なんだろ?」


「およ? それがどうかしたです?」


 私の問いかけにみかんはキョトンとした顔になった。

 まぁ、みかんらとは、ここでバッタリと言うかドッポォンッ! と会ったばかりだから、私達の目的なんか分からないんだろうけどさ?


「実は、私達もさ? あっちの方に渡ろうとしてたんだよ?」


 しかし、船を出してもらない可能性が極めて高く……どうしようかと悩んでいた所だった訳で。

 

 そんな中、タイミング良く飛んで来たのだから、ある意味で丁度良かった。


「ほむ、なるほど~。つまり、リダ達も向こう岸に渡る予定だったんですねぇ~」


 言うなり、みかんは魔法の絨毯じゅうたんを召喚して見せる。

 みんなが乗る事を考慮してか? 普段より大きい物を召喚していた。


「これで皆で行けますねぇ。ほじゃ、行きますか~」


 快活な笑みを朗らかに作ったみかんは、自分で召喚した魔法の絨毯を指差し、皆を招き入れた。


 程なくして、全員が魔法の絨毯じゅうたんへと乗り込む。


「みんな乗りましたねぇ~? そいじゃ、出発~」


 こうして私達は、みかんの召喚した絨毯に乗って、巨人の里へと向かって行くのだった。 

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