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前々世【8】

 次に二つ目。

 リンネル君との戦闘によって生まれた、謎の高揚感について。


 話しによると、同じ波長の相手……ニュアンス的には少し異なるらしいのだが、簡素に言うと同族に値する相手と戦闘を行うと、結果的にそう『なってしまう』らしい。


 どうしてそうなるのかは、リンネル君にも良くわかってない。

 目下、研究中なのだと言う。

 ただ、結論として……一定の波長の様な物がリンクすると、共鳴の様な物を引き起こし……テンションが無秩序に上昇する傾向にあるのだと言う。


 場合によってはハイになり過ぎて、頭のおかしい狂人状態になってしまう場合もあるんだとか?

 私はそこまでにはならなかったが……ある意味、結構危険な心理状態にあったんだなぁ……と言う事を再確認する事になってしまった。


 続いて三番目。

 研究所とは?


 ここはドストレートな質問だな?


 一応、前にリーナから聞いてはいたんだけど……取り敢えず同じ組織なのかどうかの確認も兼ねてリンネル君へと質問させて貰った。


 ここも結論から先に述べると……まぁ、同じだな?


 リーナの知っている組織とは別の可能性をも視野に入れていたのだが……その可能性は限りなく絶無であると言う答えが、私の中でまとまった。

 

 ある意味、リンネル君の口からハッキリと言われた事で、私も考えをまとめ易くなって結構な話しと言えた。


 つまるに、人工邪神を研究している連中が一枚噛んでいる。

 これで確定したと言う事になる訳だ。


 そして、最後の四番目。


 ここが、ある意味で……私にとって一番の謎であり、根幹に位置する部分でもあると思っている。


 私の前々世について。


 この質問をぶつけた時、リンネル君は少し躊躇する感じの態度を見せた。


 まるで、全てをありのまま話しても良いのかどうかで、かなり悩んだ……そんな顔になっていた。


 どうしてそこまで悩むのだろうか?

 ふと、私は首を傾げたくなってしまう。


 私なりに知っている前世は、普通の女子高生だった。

 ここに捻りなんて一切ないし、変哲と言う単語とは無縁な……極々一般的な庶民でしかなかった。


 だからと言うのも変な話しではあるんだが……私の前々世だって、そこまでおかしな存在であるとは思えなかったのだ。


 故に……私はリンネル君の口から言われた台詞を耳にした時……思わず頭が真っ白になってしまった。



 リダさん……貴女あなたの前々世は、極めて強い力を持つ……邪神でした。



 一体、なんの冗談だ?

 私の前世……その更に前世が、邪神っ⁉︎


 しばらく悩む仕草を見せ……言葉を選ぶ様に思考を張り巡らせた後、意を決する形で口を動かしたリンネル君の言葉は、私の予想を遥かに上回る内容だった。


 だが、これで『人工邪神を研究している組織』が、私を研究対象にしている理由が分かった。


 なんて事はないな?

 私は、まさに研究対象となる邪神その物であったからだ。

 

 尤も……それは、飽くまでも過去の私に過ぎない。

 言うなれば、私の中に存在するだろう魂の追憶に眠っているのだろう、大昔の記録だ。


 もちろん、今の私と関連性があるのかと言われたのなら、ハッキリ言って無関係! と、声を大にして叫んでやりたいね!


 所が……そうでもないらしい。


 更に言うのであれば……私は前世にて、かつて所持していたのだろう邪神としての能力を研究する為に、自然な成り行きに見せ掛けつつも、接触を試みていたらしい。


 佐々木昌がそうだ。


 ………。


 まさか、ここに来て前世で出会った知人の名前が出て来るとは思わなかった。


 同時に思い出した事がある。

  

 確か、アインがこんな事を言っていた。


 佐々木に気を付けろ!……と。


 あの時の私は、どうして佐々木に気を付ける必要があったのか分からず……謎を残したまま、時間だけが過ぎ去ってしまったが……そうか、なるほど。


 ここで『佐々木に気を付けろ』と言うアインの言葉が……その意味合いが繋がった。


 厳密に言うと、ようやく理解する事が可能になった。


 そう言えば、リーナはアインと知り合いになっていたな?

 詳しい事は忘れたが……なんだかんだで助けて貰ったと言っていた気がする。


 そして、アインとの子供を持つ私をやたら目の仇にしている事も!


 私的に言うと、アインとは幼馴染だった挙げ句、前世との因果関係とかもあって、だな?

 色々と相思相愛になる要素がてんこ盛りにあったと思うんだよ?


 ……それに、アインとは死別しているしな?

 立ち位置的に言うと、私は未亡人と言う形になる訳だ?


 結婚とかする前に死んでるけどなっ!

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