交換留学生からの洗礼【20】
……その前、だと?
余りにも想像が出来ない……いや、想定外な台詞に、私はどんな返答をして良いのか? その言葉に迷ってしまった。
そんな中、リンネル君は滑らかに口を動かして行く。
「キミの前世は僕も良く聞かされているよ? 地球って言う星の日本って国で暮らしていたんだよね? そこで一般的な高校生をしていた。違うかな?」
「……そうだ」
リンネル君の言葉に私は頷いた。
……頷くしかなかった。
実際にその通りだとしか、他に言う事が出来なかったからだ。
「キミの前世で、今の僕に似ている友達とか居なかったかな? 名前は佐々木昌。多分、当時の幼馴染だったかな? その人の知人とかだったと思うんだけど?」
「……っ⁉︎」
リンネル君の言葉に、私は思わず息を飲んだ。
まさにその通りだった。
現状の私は、既に詳しい事を覚えていない。
前世の記憶であり、現状の私には関係のない記憶である事も相まって、曖昧な記憶がうっすらと残っている程度の代物であったからだ。
この調子だと、リンネル君の方がより詳しい内容を知っている可能性すらある。
……私の前世である筈だと言うのに、だ。
皮肉な事にも、しっかりと私の前世に関しての内容を鮮明に言い当てる事で、一種の証明が成されてしまった。
………。
困った。
これは、割りと本物かも知れない。
何が本物か?……って?
リンネル君が言っている『前世の話し』だな?
前世を知っていると述べたが、それは完全に知っていると言う意味ではない。
ついでに言うのであれば、前世の記憶だって、知ったのはつい最近だ。
それまでは、私だって他の人間と同じく……前世の記憶なんて全く持ち合わせていない、極々普通の人間だったのだ。
答えを先に述べるのであれば、前世の記憶は曖昧で……一応は知っている程度でしかないのだ。
そして、その曖昧ながらも知っていた部分を、きっちりしっかりと言い当てて来ている。
もちろん、こんな事を教えた記憶などない。
つまり、最初から知っていたと言う事になるのだ!
「……なぁ、リンネル君よ? どうしてキミは私の前世をそこまで詳しく知っているんだ?」
もはや謎でしかなかった私の問い掛けに対し、リンネル君は笑みのまま私にこう言った。
「知ってて当然と言うのは語弊があるかも知れないけど、僕が知っていてもおかしくはない事だと思うよ?……何故なら、僕のお父さんはキミの前世に関係する人物……佐々木昌、その人だったんだからね?」
「………っ!」
私が絶句する様な台詞を。
ど、どう言う事なんだ?
ハッキリ言って話しがメチャクチャ過ぎて、頭が追いつかないんだが?
突発的に答えたリンエル君の言葉に、私はただただ……唖然と立ち尽くす事しか出来なかった。
……と、言う所で今回はここまで!
次回に続くっ!




