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巨人の里・カウル【3】

 その後、私は白パンを自費でルミに買ってくる事で、なんとか許して貰った。


 ……くそ。

 なんか、面白くない。


 卒業式も終わり、地味にフラストレーションが溜まってた所で、


「あ、リダ様!」


 ユニクスを見掛けたので、


 ドォォォォンッ!


 取り敢えず、爆破させて置いた。


「……な、なんで…?」


 きっと言われもない爆破を喰らったと思ってるのだろう。

 残念だが、その通りだ!


「なるほど、こうすれば少しは気が晴れるな」


「人を鬱憤うっぷん材料に使わないで下さいよっ!」


 納得混じりに頷いていると、速攻で復活を果たしたユニクスが、不本意極まりない顔して叫んで来た。

 ……元はと言えば、だな?


「お前が変な事を姫様に頼んだからだぞ?」


「……え? す、すると……リダ様に睡眠薬を飲ませて寝かせた隙に、リダ様と私の分身を作る計画を姫様は話してしまったと言うのですかっ!」


 ジーザス! って感じで狼狽えていた。

 そうかそうか。

 それ、もう完全な犯罪だからな!


「もう一回、爆発しとけ」


 超炎熱爆破魔法フレインダムド


 ドォォォォォォォォォォォォンッ!


「これじゃなかったのかぁぁぁぁっ!」


 ユニクスは思いきり吹き飛んで行った。

 ……お前は、なんで毎回毎回、バリエーション豊かに色々な策略をくわだてて来るんだよ!


「あ、リダ? 今、ユニクス姉が吹っ飛んで行った見たいだけど、なんでか知らない?」


 すれ違う形でフラウが私の近くにやって来る。

 ああ、今のな?


「さぁな? 多分、吹き飛びたい気分だったんじゃないのか?」


「どんな気分だよ……」


 うそぶく私に、フラウは呆れ眼で私に答えていた。

 

「それよりリダ? 春休みの予定はある?」


「うん? 特にないかな?」


 気を取り直して言うフラウに、私は軽い口調で返答した。

 実際問題、長い休みが来てしまうと、だたの暇人になってしまうだけだった。


「そう? ならさ? また、コーリヤマに来ない? どーせ暇してるならさ?」


「おお、良いねぇ」


 自室にコッソリ隠しては、一人でチビチビ飲んでたコーリヤマの秘蔵酒ダイオーガが、ちょうど切れそうだったからな!

 現地に行って、ゴッソリ買いだめしちゃろ!


 ウキウキ笑顔になって頷きを返した私がいた時だ。


「……そうか、残念だ」


 後ろから声がした。

 ……なんだよ?


 良く分からないが、声のトーンも残念そうだった。

 誰が出したのかは、声質でわかる。


「あ、パラス様! ど、どうかなさったのですか?」


 そして、眼前にいたフラウが猫を被り始めたのも、私には一瞬で分かった。

 相変わらずのパラス様ラヴだった。


 まぁ、コイツの場合、シチュエーション重視と言うか恋に恋してるタイプだから、他のイケメンにも目移りしてる残念さがあるんだがな?


 まぁ、そこは置いておこう。


「フラウもいたか……まぁ、良い。実は俺の里で、面倒な事が起こるかも知れないらしくてな」


 パラスは浮かない顔をして私に言った。

 起こるかも知れない?


 つまり、起こらないかも知れないと言う意味だ。

 なんとも曖昧で中途半端な表現だな。


「ちなみに、その面倒な事がもし起こったとしたら、どんな事が起きるんだ?」


「巨人族の抗争が起きる」


「……は?」


 私はポカンとなった。


「それは……なんてか、穏やかではないな」


「……そうだな。そこでお前に頼みたかったんだが……どうやら先約がいた見たいだ」


 答え、パラスはフラウを指差した。

 ああ、そうな?

 そう言う事か。


 前にも言ってるが、パラスは巨人だ。

 見た目は普通の人間をしていると言うか……普通の人間サイズになってはいるが、実際はその数倍はある。

 実際に巨人となったパラスを見た事がないから、どの程度の大きさなのかは知らないが、今の姿は人間の居住地に合わせた大きさになっている事だけは分かっていた。


 そんなパラスの地元は、当然かも知れないが巨人が住む里。


 前に一回だけ、それっぽい事を聞いた事がある。

 確か、カウルだったか?


「巨人の里で問題が発生してるんなら……」


 ここまで私が言った時だった。


「私達はパラス様を見捨てませんっっっ!」


 物凄い気迫で叫ぶフラウがいた。

 もう、これでもかって位の勢いだ。

 ……てか、コーリヤマの話は何処に行った?


「……そ、そうか」


 物凄い気迫で叫ぶフラウに、パラスは少しだけ後退りする形で声を返した。

 何となく気持ちは分からなくもない。

 ちょっとだけ根負けしていたパラスを前にして、フラウは更に気迫レベルを一つ上げる形でくわわっ! と、叫んで見せた。


「当然です! パラス様を見捨てるなんて誰が出来ますか! もちろん、私は行きます! てか、リダはコーリヤマでも私は絶対について行きます! ええ、そうですとも!」


「……いや、来て欲しいのはリダで、お前は無理に来る必要はない」


「そんな馬鹿なぁぁぁぁっ!」


 キッパリ言って来たパラスに、フラウは九回裏で逆転負けした高校球児のピッチャーみたいに四つん這いになってた。

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