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交換留学生からの洗礼【18】

 アリンが……もう……トウキではなく、西側諸国に?


 卒倒しそうな衝撃を受けた私は、その場にへたり込みそうな心理状態になってしまった。


 今の私にとってアリンちゃんは……生きる希望だ。

 日々、スクスクと成長と言う名の変化をして行くアリンちゃんの姿を見て行くのが、私にとって生き甲斐と述べて違いなかった。


 最近は、地味にクソ生意気になって来たり、自分の趣味に爆走している傾向があって、私のカミナリを落とされる事もしばしばではあったが……しかし、それらを含めて愛娘である。

 全てを受け止め、しっかりと愛情を注ぐ事だけは、しっかりと継続して来た。


 良い所も悪い所を含めてのアリンだ。

 どう変化をしても、私にとってアリンは大事な愛娘であり、それ以上でも以下でもない!


 そんなアリンが……。


「貴様ぁっ!」


 際限知らずの怒りが、自分の中から沸々と生まれて来るのが自分でも良く分かった!

 私的に初めての経験かも知れない。

 一定の相手に、純粋な殺意を抱いたのは。


「一つ大きな勘違いをしているかも知れないけど……アリンちゃんに危害は一切加えてはいないし、今後もそう言う事にもならないと思う。アリンちゃんが静かにしていれば……の、話しではあるんだけどさ?」


「……? どう言う事だ?」


「分からない? キミの娘だからだよ」


「……私の娘だから?」


 ハッキリ言って、訳が分からない。

 思わず眉を捩ってしまった。


 リンネル君達の後ろ盾として、人工邪神の研究施設が存在しているのは、もはや彼に直接言われるまでもない事実だろう。


 そこから考慮して、アリンが研究所側にさらわれたと言う理由は、愛娘の前世が大きく関与している物だとばかり思っていたのだ。


 前世と現在との因果関係がどの程度存在しているのかは知らないが……元々が邪神であったせいか? よわい三歳にして、早くもとてつもない知識力を持っている。

 ハッキリ言って、おおよそ三歳とは思えない知能の持ち主だ。


 流石は私の娘!……と、良く私は言っていた。

 半分は冗談もあったんだけどな?

 自分の娘だからと言って、三歳で天才児になっているとは思えない。


 むしろ、純然たる私の娘であったとすれば、三歳辺りだと近所の公園で砂遊びデヴューしてたら敢闘賞なのではなかろうか?


 ……てか、だ?

 普通に近所の公園とかで砂遊びとか、そう言う事をしているのが関の山と言うか……そう言うレベルであってくれた方が、親の私としては嬉しいと言うかなんと言うか。

 ともかく、私の娘である……と言う部分は、現在の天才アリンちゃんに直結する素因には繋がっていないと考えていた。


 実際問題、やはりこの天才的な部分は前世との関係があるとしか、私には思えないし、今後もこの考えを変える事だってないだろう。


 よって、アリンが『元・人工邪神であったから』と言う理由を口にされたのであれば、私も一定の納得を示したかも知れない。

 どの道、怒りの対象であるのだが、まだ分かるのだ。


 ……が、リンネル君は言った。


 私の娘であったから……と。


 ハッキリ言って、意味不明だ。

 一体……どうして、私の娘であっただけで、オーサへと連れて行かれる理由になってしまうと言うのか?


「話しが見えないんだが?……私の娘であると言う要素は必要か?」


「……ふむ。そう来たか。なるほど、なるほど」


 私の言葉に、リンネル君は軽く何度も相づちを打って来た。

 やたら悠長に……余裕を見せる態度にイライラする。


 なんとも腹立たしい気持ちが先を行く私がいた頃、依然として余裕のある微笑みを作っていたリンネル君は、


「キミは色々と知らない事が多そうだ……いや、冷静に考えれば、それは至って自然な事であり……むしろ、普通だ。普通ではあるんだけど……知っておくべき内容ではあるよね?」


 そうと答え、顔を引き締めて来た。


 ……?

 妙に神妙だ。

 

 まるで、これから話す事は紛れもない真実ですよ?……と、顔で言っているかの様な勢いだった。


 果たして。


「率直に……極論から先に言おう? リダさん……あなたは、人間ではない」


「……はぁ?」


 私はポカンとなってしまった。

 真剣な顔になって、何を言うかと思えば……?


「流石に、冗談を言うにしても、もっと他の寝言はなかったのかい? ちょっとばかり笑えないと言うか、信じろと言う方が無理な話しなのだが?」


「うーん……確かに、今のキミは純然たる人間だよ? そこは間違ってないし、僕も否定しない……けれど、ね? キミは考えた事があったかな? 自分の前世と言う物をさ?」


 ……前世も人間なんですが、何か?


 至って大真面目な顔になって答えるリンネル君に、私は少し呆れた顔になってしまった。

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