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交換留学生からの洗礼【8】

「……なぁ、リダ・ドーンテン? お前はやたら余裕ぶってる様だが、ハッタリかましてんじゃねーぞ? 実はかなりビビッてんだろ?」


 ……は?

 いきなり、何を言ってんの? ガードレール?


「それは、私の質問に対しての答えにはなってないぞ?……敢えて返答してやるのであれば『どうしてそう思う?』だな? 私が不安を感じる材料など、ここには塵一つ存在して居ないからだ」


「マジで余裕コいてやがるな……ムカつく女だ」


「お前がムカつくのは勝手だが……そろそろ私の質問にも答えてはくれないか? 一つ目の問いは『出口を言え』で、二つ目の問いは『ここが故郷と言うのは何故だ? その根拠を言え』だ。今度はお前の様な馬鹿でも理解出来る内容だったろう?……ほれ、答えろ」


「どうして俺が、テメーの質問に答える必要がある? どうせ、言うだけ無駄だ。テメーはここからオーサの研究施設に入って、モルモットになるんだからよ?」


 ……ほう?


 なるほど?

 つまるに、やっぱりコイツはリーナの研究所と関わりがある輩の一人……って事になるのか。


「ふむ、それは良い情報だ。なんとなく、その可能性があるとは思っていたが、これで確定したな?……で? 私の質問には答えない、と?」


「だから言ったろう? テメーの質問に答える必要なんざねーって。単なるモルモットの分際で、この俺にどんな口を……ブホッッ!」


 ガードレールは吹っ飛んだ。

 言うが早いが、ぶん殴った。

 どうやら、コイツは口で言っても分からない奴っぽいからなぁ?


 平和主義のリダさんではあるが、たまには己の烈腕を振るう必要もあるだろう。

 こう言うのは臨機応変に対応せねばなるまい!


 吹き飛んだガードレールに合わせて、私も素早く跳躍する。


 ダンッッ!


 ……ふむ。

 どうやら、地面は普通に固いな?

 地面よりも固い何かで出来ている模様だ。

 抽象的に言うのなら、アスファルトに近いか?

 ともかく、これなら多少は力を入れて踏み込んでも問題はなさそうだ。


 ……思った私は、


 スーパー攻撃力上昇魔法オフェンス・アップレベル99!


 スーパー防御力上昇魔法ディフェンス・アップレベル99!


 スーパー身体能力上昇魔法スピード・アップレベル99!


 跳躍と同時に補助魔法を三つ同時に発動させる。


「……なっ⁉︎」


 一気に能力を上昇させた私を見て、ガードレールは大きく目を見開く。

 流石に、補助魔法を三連発で同時にやって来るとは思わなかったらしい。

 ……私の場合は割りと普通にやってはいるけど、常識の上で考えるのなら、結構高度な魔法でもあるからな。

 初めて見た人間であれば、かなり驚くかも知れない。

 私の知ったこっちゃないがな!


 ドンッッッ!


 能力を急上昇させた事で、動きも段違いに上がっていた私は、吹き飛んでいたガードレールに追撃を与える形で鉄拳を叩き込んだ。


「ふごぁっ!」


 アッサリ当たる。

 

 ……?

 なんだ、コイツ?

 びっくりするまでに歯応えの無い……?


「もしかして、お前こそ……私に大見得を切ってたりしないか?」


「はぁっ⁉︎ 何言ってんだ、テメー! 俺を馬鹿にすんじゃ……ふごっ! はがぁっ!」


 私の問いに、軽く返事をしたガードレールであったが、言葉の全てを言い終わらない内に、私の連撃を喰らう事で、後半は言葉になってなかった。


 私としても、ここまで簡単に当たると考えて攻撃していた訳じゃない。

 簡素に言うのなら、簡単に避けて来ると予測しての攻撃だった。

 面白い程に連続クリーヒットするんだよなぁ……。


「はぁはぁ……なんだよ……マジで?……リダ・ドーンテンってのは、まだ『普通の人間』だったんじゃねーのか?」


 私の連撃を受けて、かなり後方まで逃げる様に後退したガードレールは、苦り切った顔になって呟いていた。

 

 どうにも意味深長な台詞でもある。

 まるで、私がこれから人間ではなくなるかの様な物言いだ。


 あるいは、人工邪神の研究所で、私が研究対象となってしまった場合……私は人間ではなくなると言う事が言いたいのだろうか?


「今一つ、お前の言っている事が分からないが、私は普通の人間だ。ここだけは確実だぞ? 間違いなく人間の子として生まれている」


「それは、今のお前だろ?『昔は違うだろうが!』そこを言ってるんだよ、俺は!」


 ガードレールは癇癪かんしゃくを拗らせる勢いで喚き散らしていた。

 やれやれ……完全に冷静さを無くしているな?

 お陰で、かなり支離滅裂な事を言っている。


 まるで、昔の私は人間ではなかったかの様な口振りだ。

 自慢にもクソにもならないが、私は生まれてこの方、人間以外になった記憶なんぞ一度もないぞ!


 怒りで頭までおかしくなってしまったガードレールに、私は呆れる事しか出来なかった。 

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