交換留学生からの洗礼【1】
学校の授業も全て終了し、後は帰宅するだけと言う状態になった頃、
ガララッッ!
私達の教室にあった入り口ドアが勢い良く開いた。
開けたのは、昼間にあったイキリ女……もとい、交換留学生のアラビカだ。
授業が終わり、放課後になって数分もしない内に私達の教室へとやって来たアラビカは、地味に興奮した顔になってフラウへと声を掛けて来た。
「聞いたよフラウ! アンタ凄いね? 学年首席の天才魔導師なんだって⁉︎」
驚きと喜びを程よくミックスした顔になって言うアラビカに、フラウはちょっとだけ気圧される感じで返答してみせる。
「いや……首席って言っても、ちょっと例外がいるから、実際には二位みたいな物でさ……はは」
「例外ってなに? 普通、首席に例外も特例もないでしょっ⁉︎ しかも、私と同い年なのに、もう上位魔導師の資格を持ってる……って話しじゃん? メチャクチャ凄いよっ!」
気圧された結果……ちょっと謙遜混じりの口調になってしまうフラウがいる中、アラビカは更にテンションを上げる形で叫んで来た。
フラウの苦笑レベルが更に上がった。
「そこは否定しないよ? うん……だって、頑張ったし」
「普通の人間は、頑張っただけで取れる資格じゃないよ? それ! やっぱりフラウは常人とはちょっと違うのか〜! 天才の言う事は一味違うねぇ〜!」
呆気に取られる形で、終始アラビカのテンションに飲まれていたフラウがいる中……無条件で褒め称えるアラビカは、ハイテンションのままフラウの肩をバシバシ叩いていた。
キート人ってのは、もっと穏やかなイメージがあったんだけどなぁ……。
これじゃ、まるでオーサ人みたいじゃないのか?
いや、別に悪いとは言わないんだけど。
ともかく、アラビカがいきなり私達の教室へとやって来たのは、昼間に交わした約束から来ているのだろう。
昼休み終了の予鈴がなった頃、フラウに向かって放課後に学年の近所にあるお店屋さんの案内を頼んでいたからだ。
すっかり意気投合していたフラウは、アラビカのお願いを二つ返事で快く承諾していた。
その結果、アラビカは放課後になって間もなく……一目散に私達の教室へとやって来たに違いない。
よって、アラビカがやって来た事だけを見るのなら、そこまで驚く事はない。
強いて言うのであれば、奥ゆかしいキート人らしく廊下で待っていたりするのかなぁ……と、私なりに予測していたのだが、その予測は見事にハズレてしまったと言う程度か?
後は、フラウに対する物の見方が大きく変わっていた……と言う所だろう。
「本当に凄いわ〜! 私、フラウと友達になれて光栄なぐらい! 未来の大魔導が学友だった……なんて、私も鼻が高い高い! そこらの高層ビルより高くなりそうで困っちゃうから!」
アラビカは心の中にある高揚を微塵も隠す事なく言い放ち、根負け状態のフラウを無駄に困惑させていた。
それにしても、やっぱり西側の人間はパワフルだな。
勢いが中央大陸の人間とは格段に違う!
こう言うメンタル的な強さと言うのも、西側諸国が他国よりも大きく発展した素因に繋がっているのかも知れない。
でも、トウキ人の視点からすると、ちょっとテンション高過ぎな気がするぞ。
「……あ〜。アラビカ? 少し荒ぶる気持ちを抑えてくれないか? フラウも少し困ってるみたいだし」
「あ、リダさん。居たの?」
「扱い、雑っ⁉︎」
私はガーンッ! ってなってしまった。
え? 何これ?
私とフラウとの態度に、物凄ぉ〜く差がないかっ⁉︎
「あれからさ? 一応、もう一回リダの事を聞いたよ? クラスの友達にね?……で、聞いた結果、右手で不良を教室の壁まで吹き飛ばした挙げ句、それでも勢いが止まらなくて壁に穴が空いて、そのまま廊下の壁まで貫通させて、外まで吹き飛ばした話しを聞いたよ? やっぱり魔王じゃないの? お宅?」
そして、苦い顔になって私へと言う。
「……はぁ? 待てよ、そんな事をした記憶は……」
直後、私はソッコーで反論しようとしたのだが……密かに心当たりがあった為、言葉はそこで止まってしまった。
確か……私が二学年に進級したばかりの時に、そんな感じの出来事があった様な……?
……えぇと。
……う〜んと。
「あれは事故だ! なんか、偶然……そう! 偶発的な悲劇が重なった結果、その様な形になってしまった事なんだよ!」
私はアラビカへと叫んでみせる!
うむ! そう……そうなのだ!
思えば、だ? 私に非がある様な事ではない。
何故なら、向こうが因縁を吹っ掛けて来たのだから!
「………事故? そんな事故が普通に起こる物なの?……ともかく、アンタは魔王。それで確定したよ」
「なんでだよっっ⁉︎」
私は再びガーンッ! って顔になってしまった。
リダさん、泣いちゃうぞっっ⁉︎




