魂の追憶【20】
「やっぱりちょっとおかしいな?……何かあったのなら相談に乗るぞ?」
「うん……ありがとう。やっぱりリダには嘘が吐けないね……あはは」
眉を顰めて尋ねた私に、ルミはちょっとだけ困った顔になりつつ、お茶を濁す形で笑った。
そして答える。
「何となく……ね? あの子も交換留学生じゃない?……で、サービス・エリア君だっけ? その子の話しとかしてたでしょ? それで、その人との仲を取り持って欲しい……なぁ〜んて話しだったよね?」
「サービス・エリア君じゃなくて、サービエ君な? ま、そこは良いとしても……それがどうかしたのか?」
「うん……これは、私の勘でしかないけど、何となく関わらない方が良い……って『私の中にいる誰か』が言っている様な気がするんだよ」
ルミは比較的神妙な顔つきになって、私へと答えていた。
………。
これは、あれか?
私と同じ……魂の追憶が、ルミにもあると言うのか?
キーンコーンカーンコーン♪
……と、そこで本鈴が鳴る……って、ヤバッ!
「話しは後だ! 走るぞ、ルミ!」
「え? あ、うんっ!」
見れば、ちゃっかりアリンとルゥ姫は教室の方へと一足先に向かっていた。
そして、フラウも。
……ってか、私らを置いてくんじゃないよっ!
私とルミの二人は、まるで徒競走でもしているんじゃないのかと言わんばかりの勢いで自分達の教室へと向かって行った。
思わぬ形で転がり込んで来た交換留学生。
五人中、四人の交換留学生達と偶然顔を合わす事になったが……その内の三人は、確実に一癖も二癖もある様な連中だった。
ここに、リーナの言葉がある。
人工邪神を研究している組織が、ここに来て私を狙っている……と言う言葉を。
このタイミングでやって来た交換留学生とやらは、果たして偶然か?
それとも……必然なのか?
未だ会っていない、五人目の交換留学生の存在も気になる。
ともすれば……アラビカの様に、然程の警戒心を必要としない相手である可能性もあるのだが、用心に越した事はない。
今後の流れを注視する形で、様子を見る事にして置こう。
そして、最後に……ルミの台詞だ。
私の中にいる誰かが、私へと警告している。
この感覚は、密かに私も良く分かる……そう、分かるんだ。
仮に私の持っている感覚とルミの感覚がイコールで結ぶ事が可能であったとするのなら……もしかしたら、ルミにも前世の記憶がしっかりと存在している可能性があるのではないか? そう思えた。
ルミは……密かに、前世でも私の友達をしていた……かも知れない相手だった。
ここはちょっと自信がない。
けれど、私が今の私になるほんの少し前……確かに、私には一人の女友達がいたのだ。
高橋瑠美……と言う名前の友人だ。
今の私には何の縁もゆかりもない……遠い遠い前世に存在した、魂の追憶にのみ存在する友人だ。
奇しくも同じ名前だった。
これもまた、偶然なのか……必然なのか……私には良く分からなかった。
よって、ここはまだ仮定の領域だ。
仮にルミが瑠美であったとするのであれば、ルミの魂にも何らかの追憶が残されている可能性がある。
けれど、私の前世に置いて一定の警鐘を鳴らすに値するだけの過去があったであろうか?
私の知る限りで、そんな物はなかった。
もちろん、ルミも同じだった……筈。
しかし、警鐘を鳴らして来る。
私も……そして、ルミも。
………。
ああ、もうっ!
分からない事だらけで、頭がおかしくなりそうだ!
ともかく! ここらは可能な限り早急に解決して行く事にしよう!
……と言う所で、今回はここまで!
次回に続く。




