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魂の追憶【16】

 ……んで、だ?


 キート国と言うのは、西側諸国の中でも伝統文化を重んじる先進国の一角でもあるんだよ。


 感覚的に言うと、ニイガに近いかな?

 魔導大国と言う意味で。


 魔法学に関して言うのであれば、ニイガにも勝るとも劣らない、世界屈指の実力を持つ国と表現して良い国だ。


 ただ、少しだけ分野が違うかな?

 ニイガの場合は、根本的に魔導力学に精通する技術が凄い。


 他方のキートは、どちらかと言うと神々の力を借りる事で、森羅万象を操る技術に長けている感じだ。

 ここに関して述べると、私も浅学な部分が多く存在するから、詳しく語る事が出来ない。

 しかしながら、超自然学なる物を独自に研究し、成果を上げている国でもある為、トウキでも一目置く先進国の一つでもあるんだよな。


 ……と、地味にタラタラと説明してしまったのだが……そろそろ極論に出よう。


 彼女の名前には、キートと言う名前がある。


 三番目の名前だな?


 前にも述べたかも知れないが、この三番目はその当人の家柄を意味する代物であり、根本的に貴族階級以上じゃないと存在しない部分でもある。


 そして、三番目を意味する名前が地名の一種であった場合……それは、その地区を統治している者が名乗る事になっているのだ。


 ルミが分かりやすいな?

 ニイガの王女でもあるルミの本名は『ルミ・トールブリッジ・ニイガ』だからな?

 もう、分かって貰えたかな? ニイガ国を統治しているお姫様だから、そう言う名前になる。


 ……と、言う事は? だっ⁉︎


 最後の三番目が『キート』で終わっているのなら……?


「アラビカ様は、キートのお姫様であらせるので、ござましょ〜か?」


 私はかなり緊張した笑顔で尋ねる。

 地味に言葉がおかしな事になっていたが、そこは気にするな!


「……はぁ? 違うけど? 単純に最後の名前が『キート』なだけ……ああ、でも、王族ではあるけど、分家の様な存在? そもそも、キートは民主主義国になって百年近く経っているから、王族だからって威張れる様な社会じゃないしさ? 名前だけ立派そうに見えるだけのハリボテみたいな物だし……まさか、初対面の人間にそこまで卑屈な態度を取られるとは思ってもみなかったんだけど?」


 イキリ女……じゃなかった、アラビカは眉を捻って答える。


 ……う、うむ。

 なるほどなっ!


 思えば、キートは百年前の世界戦争が勃発する以前から、近代国家として躍進していた国家だ。

 言うなれば、民主主義国家の先駆けとも言える国であり、王政からいち早く脱却した国でもある。


 ……つーても、未だ王室はあるんだけどな?

 

 まぁ、ここには色々と込み入った大人の事情と言う物がある。

 政権は王国の手から離れてしまった物の、国の象徴としての権威と言う物は失墜しておらず……つまるに、庶民とはちょっと違う立場でキート国を支える存在にはなっているのだ。


 よって、民主主義国だと言うのに、なんでかキート王は存在するし、城だってあったりもするんだから……やっぱりお国柄と言うか、中央大陸とは一風変わった文化の様な物があるのだろう。


 閑話休題それはさておき


「じゃあ、王族の分家で、大した権威はない……で、良いのか?」


 私は内心で少しばかり安堵する形でアラビカへと口を開く。

 アラビカは即座に頷いて来た。

 やたら素直なヤツだな。

 二週間ぐらいしか居ないのだから、黙っておけばキート王家の偉い人間で通せた物を。


「ぜーんぜん、ないから安心しな? なんなら、平凡な庶民との差なんて1ミリもないね? てか、庶民で良いし? むしろ、王族と思われる方が生理的に無理」


 ……あなたは、キート王家にどんな嫌悪を抱く経験をしたんだ?

 地味に毛嫌いしている風にも見えたアラビカに、私は思わず苦笑する事しか出来なかった。


「そんな事よりも、根拠を言えよ? さっきも言ったけど、私はこの学園に来て日が浅く、情報量が極端に低いんだ。リダ・ドーンテンが学園魔王ではないと言う証の様な物がなければ、私だって強くは言えない……ここは、私の意思ではどうする事も出来ないぞ?」


「ああ、そうだったな? んじゃ、どうする? 私が良い人である事の証明でもすれば良いのか?」


「それでも良いんじゃないの? 少なくとも、人に優しい魔王とか、聞いた事がないしな? 善行であれば、私も良い証明になると思ってるよ」


 ふむ……そうだよな?

 ならば、示そうではないか!


「良し、分かった! じゃあ、早速人助けと行こうか? 分かり易く、アラビカを助けてやろう。何が良い?」


「……え?」


 アラビカはポカンとなる。

 ちょっと、唐突過ぎたかな?


「……な、なんでも良いのか?」


 しばらくすると、アラビカはしどろもどろになって私へと声を吐き出して来た。


 何となくではあるのだが、少し悩んでいる風にも感じるな?


 そこから、一念発起する形で言う。


「なら……私とサービエ君を恋人同士にする手助けをしてくれないかっ⁉︎」


「……はい?」


 私の目は、秒でテンになってしまった。

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