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魂の追憶【14】

 簡素にこれまでの経緯を話そう。


 お昼休みが始まったタイミングで、取り敢えずトイレに行った。


 ……で、今だ。


 うむ! 別段話す程の代物でもなかったな!


 ズバリ言って、私からすれば特別な事は一切してない。

 人間誰だってトイレ位は行くだろう?

 私だって人間なのだからして、とってもふつーに生理現象が起こる訳で。


 しかしながら、トイレに今の様な謎のモンスター女がいると分かっていたのであれば、絶対に違うトイレを使用していたがなっ⁉︎


 ともかく、私はこれから忙しいのだ。

 お昼休みは他の休憩時間よりも長いとは言え、それでも有限だ。

 この時間を有効的に活用する必要は十二分に存在する!


 良く分からない女に絡まれている様な不毛な時間など皆無に等しいと言えるだろう。


 よって、私はしれっと他人のフリをし、その場から離れようとしていたのだが、


「お前が噂のリダ・ドーンテンである事を知っていて話し掛けているんだよ! こっちはっ!」


 だったら『お前がリダ・ドーンテンだな?』なんて、わざわざ聞かなければ良いのに……。


 はぁ……やれやれ。

 ここで押し問答をしている時間も惜しいし……しらばっくれるのも、ここまでして置こうか。


「……アンタが言うリダ・ドーンテンかどうかまでは知らないが、確かに私の名前はリダって言う……言うけど、あたしゃアンタに恨まれる様な真似はしてないぞ?」


「やっぱりお前がリダ・ドーンテンか?……なら、お前に対しての恨み節を語ってやる! 私のサービエ君をどうするつもりだったんだいっ⁉︎」


 ……は?


 なんか、物凄く一方的な言動に聞こえるのは私だけであろうか?


 ただ確実に分かった事がある。

 コイツは、フラウと同じ性質の持ち主だ。


「どうするもないね? サービエ君ってのはあれだろう?……ウチの学園に交換留学生として来てる生徒」


 本当は可愛い子と言うつもりだったがやめた。

 なんとなく藪蛇になりそうな気がしたからだ。


 ……ま、そこはともかく。


「そうだ! そのサービエ君だ!……テメェ……私のサービエ君に色目を使ったろう? 昨日の放課後に!」


「……なんでそうなるんだ?」


「惚けるんじゃないよ! 昨日の放課後、アンタに会ってからと言う物、話題がアンタの内容で持ち切りなんだよ!」


 イキリ女は、額に血管を浮かび上がらせながらも、私へとがなり立てて見せた。


 ………。


 いや、それ……別に、私は悪くなくね?


「普段は、少し……本当に少しかも知れないけど、私の事を気に掛けてくれる言葉を出してくれるのに……今日は、一言もなかったんだぞ? 一言も、だっ!」


 更にイキリ女は、忌々しいと言わんばかりの形相で私へと叫んで来た!

 もはや完全なる八つ当たり。

 

 そもそも、だ?


「それで不服なら、サービエ君本人に直接伝えれば良いんじゃないのか?」


「そんな恥ずかしい真似が出来るかよっ⁉︎」


 それで、私へと八つ当たり気味に文句を言っている行為も、十二分に恥ずかしい行為だと思うんだが?


 まぁ、良い。


 この手のアホに正論を述べても、火に油を注ぐだけだ。

 むしろ怒りが倍増して、より感情がヒートアップして収集が付かなくなってしまうのがオチだ。


 しょうがない。


「……で? お前は何を求めてるんだ?」


 妥協混じりに私はイキリ女に尋ねてみる。

 

 すると、イキリ女はソッコーで私へと言って来た。


「金輪際、私のサービエ君に近付かないでくれない? それと、変に手を出されると彼女の私がイライラすんだよっ!」


 何とも一方的だった。

 てか、サービエ君って、こんな女と付き合ってんの?

 別に誰と付き合っていようと構わないが……趣味の悪い話しだ。


 私は内心でのみ、ぼやきにも似た台詞を吐き出しつつ、


「分かった、分かった。これで良いのか?」


 普通に頷いてみた。


 正直に言うと、サービエ君は眼福なので、実はちょっと勿体ない気持ちもある。

 近くに居ると癒されるからなぁ……。

 でも、守護霊オラが暗黒闘気みたいなんだよね。


 どちらにせよ、こんなイキリ女に付きまとわれるのであれば、合わないと言う選択肢を選んだ方が無難であろう。


 少なからず、サービエ君がこの学園の止まるのは、精々二週間程度なのだから。


「……へ? 本気で言ってるの?」


 直後、思わぬ肩透かしを喰ったかの様な顔になって言うイキリ女。

 かなり拍子抜けしてしまったのか? 顔も、地味に間抜けな表情になっていた。


「本気も何も、私は最初からアンタの邪魔をするつもりもないし……昨日だって、偶然バッタリ会っただけだしな? もっと言えば色目も使ってない。だから好きにすると良いさ?」


「そ、そうなの……か? はは……あ、案外、話しの通じるヤツだったんだな? すまない。なんかさ? 噂が噂だったから、私もちょっと身構えてた」


 イキリ女は苦笑しながら答える。


 ……うむ。


 その噂とやらは、どんな代物なのだろうか?

 私的には、そっちの方が気になるのだが?

 絶対に不本意な噂だって事だけは分かるけどさっ!

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