魂の追憶【11】
「……あれ? 兄ちゃん達も来てたの? 凄い偶然もある物だねぇ〜?」
私がユニクスに引っ付かれて困窮していた頃、またもや思わぬ角度から軽やかな声が聞こえて来た。
……ん? おっ⁉︎
声がした方角を見ると……思わず二度見してしまいたくなるまでの美少年が!
うむっ!
これは、混じりっけナシの美少年!
まるで天使の様な可愛い顔をした、ショタ系の美少年だった!
きっと童顔!
だって、普通に中学生ぐらいに見えるものっ!
なんなら、小学生と形容しても良いんじゃないのかな?
どちらにせよ、なんて私好みな顔をしているのだろう!
そう思ったのも束の間……私はその直後に彼の背後に存在する守護霊を見てしまうのだ。
グォグォとうねる様な暗黒色だった。
闇より暗い闇とは、まさにこの事を言うのではなかろうか?
もはや、禍々しいレベルと形容出来よう少年の守護霊に、私は思わず息を飲む……そして、
「あわわわ……」
ルミが完全にパニックを起こしていた。
つか、然りげ無く逃げる気満々だった割りには、まだ居たのね?
「むぅ……」
他方、ユニクスも顔を顰めていた。
ユニクスには守護霊を見る能力はなかった筈だが……恐らくは、勇者としての能力に目覚めた事で、第六感の様な物が働いたのだろう。
「これは……リダ様に近付けては行けない予感がします! 主に顔が危険です!」
……と、思っていた時が、私にもありました!
どうやら、ユニクスが恐れていたのは、彼の外見だった模様だ。
言いたい事は分からなくもない程度に可愛い顔をしているけど……私はフラウの様な節操ナシではない!
少なからず、守護霊が暗黒色の時点で願い下げだ!
真っ白だったら、ちょっとは考えたかも知れないけどなっ!
「あれ? リダ姉じゃん? こんな所で、何してるの?」
程なくして、やや小走りで体育館へとやって来ては、私へと軽く声を掛けて来たのは……メイちゃんだ。
メイちゃんは特進科の一年生……って事は、この子はやっぱり私の後輩に当たるのか。
ぐ、ぐぅ……。
クソォ……後輩かぁ。
しかも、可愛い後輩かぁ。
惜しい! メッチャ惜しい!
こんな可愛い後輩が居たら、絶対に私的には可愛がってあげたい!
そりゃもう、丹精込めて可愛がってあげたいではないかっ!
でも、暗黒色の守護霊なんだよぉぉぉっ!
もう、絶対に性格が捻じ曲がってるんだよぉぉぉっ!
余りにも惜しい相手を前に、私は痛切な心の嘆きを心の中一杯に轟かせてしまった!
そんな時だった。
「ふぅん? なるほど? この人がリダ・ドーンテンさんか? あはは! 美人さんだね! 良かったよ!」
美少年は、朗らかに笑って言う。
ぐはぁぁっ!
なんて事だ! 猛烈に可愛いではないかっ⁉︎
もう、心が闇色でも良いんじゃないのかな?
やっぱり、ほら? 外見って大事だし?
「リダ様! お待ち下さい! あなたは何か悪い魔法に掛かっております! こうぅ……なんか、えぇと……ともかく悪い魔法です!」
どんな魔法なのかな? ユニクスさんよ?
美少年の笑みに、眼福と言う名の至福で心が満たされていた直後、ユニクスの顔面ドアップが……って、やめろぉぉぉっっっ!
「つか、ユニクス! お前はいつまで私に引っ付いている気だっ⁉︎ いい加減に離れろぉぉっ!」
「いやです! このユニクス! 死んでもリダ様を離しませんよ!」
「じゃあ、爆破してやろうか?」
「はい、離れました! これで良いですかっ⁉︎」
右手をユニクスの顔面に向けた瞬間にユニクスはソッコーで離れた。
本当に、こうでもしないと離れないからマジで困る。
「うん、やっぱり綺麗だね、リダさんは? これで、安心して言えるよ」
他方、美少年が私の近くにやって来ては、眼福レベルの笑みを柔和に浮かべてから、再び口を動かした。
「リダさんは、僕のお嫁さんに相応しいと思った」
………。
……え? なんて?
私はポケーっとなってしまった。
え? えぇっ!
こ、これ……って、つまり……告白っ⁉︎
いやいや、告白をすっ飛ばして、プロポーズなのではないのかっ⁉︎
「貴様ぁぁぁぁっ!」
直後、ユニクスが憤然とけたたましい怒鳴り声を美少年へと浴びせた。
完全に熱り立ったユニクスは、憎悪の権化状態のまま美少年の胸倉を掴んでやろうとするのだが……
「待って下さいユニクス先輩!」
……と、そこでトンネル君が素早く間に入って来た。
「……どけ。ソイツを生かしては置けない」
結果的にトンネル君の通せんぼを喰ったユニクスは、殺意の波動っぽい物を眼光に乗せる形で睨みながらも、トンネル君へと声を吐き出していた。
「だから、待って頂きたいのです。ユニクス先輩。弟のサービエがちょっと冗談めいた失言をしてしまった件については、僕からも謝ります……ですから、どうかこの場は穏便に済ませては頂けないでしょうか?」
答えたトンネル君は深々と頭を下げた。
うむぅ……。
普通に、外見だけを見ていると、本当に出来た人間なんだけどなぁ。
平和主義者の仲介者って感じの立ち位置だ。
だけど、守護霊は黒いんだよな?
ついでに、もう一つ思った事がある。
トンネル君は、どうしてユニクスの名前を知ってたのかな?
私との会話から、ユニクスの名前を知ったと言う事なのだろうか?
それにしては、最初から知っていたかの様にも見えたのだが……どうなのだろう?




